(ある星の美しい夜、軍営の天幕にて。姫発は夜空を見上げ、呂尚に問う)
姫発「お姉様……ひとつお訊ねしてもよろしいかしら? わたくし、戦の布陣には 天陣・地陣・人陣 の三つがあると聞きましたの。それぞれ、いったいどういう意味なのでしょう?」
呂尚(頬に手をあてて微笑みながら)「んふっ♡ 姫発ちゃん、なかなかイイとこ突いてくるじゃん。それは兵法における“天地人三才”ってやつよ。じゃ、あたしがバッチリ教えてあげるね!」
姫発「まぁ……ありがとうございます、お姉様♡」(小さな手を胸に当てて、わくわくした眼差し)
呂尚「まずね――日月・星辰・斗杓(とひしゃく)、つまり太陽や月、星々の運行を観て、陣形を決めるのが《天陣》。左か右か、背を向けるか正面に据えるか――この空の配置に従うことで、運も味方につけられるってワケ♡」
姫発「なるほど……星の導きに従って布陣するなんて、まるで神秘の術ですわね!」
呂尚「次に《地陣》。これは言わずもがな、丘陵・泉・川・谷とか、地形を活かした陣形よ。前後左右、どの地勢が有利かを見極めて、ズバッと配置する。たとえば高所を取るか、水を背にするか――そういう“場の力”を利用するの」
姫発「まさしく“地の利”ですわね! 戦いって、地図を読む力も大切なのですね……!」
呂尚(軽くウィンクして)「さすが姫発ちゃん、わかってきてるじゃん♡ ラストが《人陣》。これは人の力と知恵による布陣――戦車・騎馬・歩兵、それぞれの兵種をどう動かすか。さらには“武力で攻めるか” “言葉で降伏させるか”って判断もここに入るのよ」
姫発「わたくし、まだ未熟ですけれど……人の心を見極めて、戦わずして民を守れる王を目指しますわ!」
呂尚(優しく頷きながら)「それが本当の“人陣”よ、姫発ちゃん♡ 天を読み、地を測り、人を知る――この三つを合わせてこそ、兵法の真髄なんだから!」
姫発(小さく拳を握り)「はいっ! お姉様、わたくし……もっと勉強いたしますわっ!」
宮廷の庭に並ぶ模型たち――戦車、矛、盾、謎の仕掛け。春の陽光に包まれて、姫発は今日も瞳をきらきらさせながら、呂尚のもとへ駆けてきた。
武王・姫発「ねえ、呂尚お姉様♡ わたくし、国を守るには何が必要か、もっとちゃんと知りたいんですの。戦のとき、軍を動かす王として、装備ってどのくらい整えるべきなのでしょう? なんとなくじゃダメで、決まりごとがあるんじゃなくて?」
呂尚「ふふっ、姫発ちゃん、いきなり核心くるじゃん♡ でもね、それってホントに超重要なテーマなの。戦って“気合い”だけじゃダメでさ、装備の数と種類――ぜんぶバッチリ決まってるんだよ。王者が軍を率いるなら、まずはそこから!」
姫発「まあ……やっぱりちゃんと法があるのね。では、お姉様、その“基準”ってものを教えてくださいませ♡」
呂尚「オッケー、それじゃまずは“1万人規模の軍”を基準にして説明いくよ!」
呂尚「まず基本!戦車は超大事。たとえば――」
姫発「震駭……!なんて強そうなお名前なの♡」
呂尚「でしょ?続いて――」
姫発「連弩……バンバン飛ぶ矢なんて、想像しただけでドキドキしますわ!」
呂尚「そして見た目も重要!」
姫発「なんてオシャレな戦車たち……お姉様、素敵すぎますわ♡」
呂尚「夜襲に備えるならこれ!」
姫発「暗闇の中でも……こんなに準備されているなんて……王ってすごいですわ……!」
呂尚「武器も種類がいっぱい!」
姫発「鉄棒に斧……本当に、たくさんあるんですのね……!」
呂尚「敵の侵攻を止めるのも兵法だよ♡」
姫発「守るにも、これほどまでの種類と戦略があるなんて……!」
呂尚「地形にも対応してるよ!」
呂尚「木を伐ったり設営したりするための工具も!」
呂尚「この編成が、“兵1万人の基本セット”ね!」
姫発(深く頷きながら)「なるほど……まさに“備えあれば憂いなし”ですわね♡ わたくし、これからは装備のことも、もっとしっかり学びますわ!」
呂尚(微笑みながら髪をかき上げて)「うん、姫発ちゃんがそうやって真面目に聞いてくれると、教えるあたしもめっちゃやりがいあるってば♡」
太史編「やっほー♡ 今回のテーマは戦の装備とその規模!
1万人の軍を動かすときって、実は兵だけじゃダメなの。戦車・障害物・投擲武器・防具・橋・工具――ぜーんぶ揃ってこそ『動ける軍』なんだよ!
しかも、昼夜・平地・山・水辺と、どんな地形にも対応できるように準備するの。武王さまみたいに“全部知ってる王”って、兵たちからもめっちゃ信頼されるよね♡」
戦とは、準備と整備の総合芸術である。
姫発のような若き王がその重みを知ること――それこそが真の「虎の巻」!
次回もお楽しみに♡
武王(膝に頬杖をついて)「ねえ、お姉様。今みたいに天下が平和なとき、兵器とかお城の守りって、わざわざ整える必要ありますの?」
呂尚(微笑を浮かべて)「うふふ、姫発ちゃん……甘いわね。そういう“何もない今”こそ、いちばん大事なのよ」
武王(小首をかしげる)「ええっ、戦もないのにですの?」
呂尚(ゆっくりと語る)「そもそも兵器ってね、急に天から降ってくるもんじゃないの。人の営みの中から、自然に生まれてくるものなのよ。たとえば──」
武王(感嘆の声)「わぁ……ぜ、全部、普段の暮らしにあるものでございますわ……!」
呂尚(真剣な瞳で)「そうよ。だからね、“民を豊かにする”ことがそのまま“国を強くする”ことに繋がるの。国を治めるって、まず田畑を守り、民の手を止めないことなのよ」
武王(胸に手を当てて)「……つまり、畑で耕しているお父様や、お家で糸を紡いでいるお母様が、未来の軍を支えているってこと……?」
呂尚(優しく頷いて)「その通り。戦うために鍛えるんじゃない。暮らしを守るために、鍛えられていくの。だから将来、姫発ちゃんが国を治めるなら──」
武王(きゅっと手を握って)「ええ、わたくし、きっと良い田畑をたくさん増やして、民の暮らしを豊かにしてみせます! それが、強い国の第一歩ですものね、お姉様♡」
呂尚(ふふっと微笑んで)「うん……そうやって強くなっていく姫発ちゃんの姿こそ、あたしにとって一番の誇りよ」
太史編(ちょこんと登場)「今回は“農器篇”だよ〜! 実はね、昔の戦争道具って、ほとんどが“農業の延長”からできてたの!」
Too史編(にっこりと)「天下泰平でも手を抜かないのが真の将。『平時こそ、備える時』──それが“農器篇”の教えなんだね!」
武王「民の営みが、そのまま戦いに繋がっているなんて……兵法って、こんなに深いものだったのですね……。お姉様のおかげで、わたくし、またひとつ賢くなれましたわ♡」
武王(真剣なまなざしで)「お姉様……戦う前に、勝つか負けるかが分かれば、どんなに素晴らしいことでしょう……。けれど、そんなこと、本当に可能なのでしょうか?」
呂尚(穏やかな声で微笑み)「ふふ……まさに、それを見抜けるのが将帥の器よ、姫発ちゃん。戦の勝ち負けは、剣ではなく“気配”が決めるの。人の心、軍の雰囲気、それこそが兆し──“兵征”なのよ」
武王(胸に手を当てて)「兆し……それは、風のように目には見えず、けれど確かに感じるもの……でしょうか?」
呂尚(頷きながら)「そう。たとえば──」
呂尚(少しだけ表情を引き締めて)「もっとわかりやすく言えば、軍の音と動きが“清らか”であれば勝ち、乱れて濁れば負けるのよ」
武王(小さく息をのんで)「たとえば……?」
呂尚(軍鼓の手振りを真似て)「金の鈴が澄んで響き、鼓が軽やかに鳴り、旗が一糸乱れず進めば、神明が味方している証。だけど……もし旗が迷い、馬が怯え、鼓が重く鈍く濡れていれば──それは破滅の予兆よ」
武王(そっと自分の鼓動に手を当てて)「わたくしにも、感じ取れるでしょうか……? その、兆しというものを……」
呂尚(優しく微笑んで)「姫発ちゃんのように、周りをよく見て、よく聴く子なら大丈夫。兆しは風のように心に届くの。目に映る色、耳に届く音、兵の声、すべてが教えてくれるわ」
武王(微笑みながら)「まるで……戦の精霊たちが、わたくしたちにささやいてくれるようですわね」
呂尚(やや照れながら視線をそらし)「……かわいいこと言うわね、ほんと。──けどね、本当にそうかもしれない。風も空も、私たちの味方になることがあるのよ。たとえば……」
太史編(ふんわり登場)「やっほ〜! 兵法っていうと難しく聞こえるけど、“兵征”っていうのはカンタンに言えば、勝つ兆しと負ける兆しの見分け方なんだよ♪」
太史編「ね、戦う前でも、こういうサインを見ていれば、なんとな〜く分かってくるんだよ! 姫発ちゃんも、きっとわかるようになるよ♪」
呂尚(さらりと説明口調で)「攻城戦ではね、“城の上に立ちのぼる気”を読むの。死灰のように沈んでいれば──攻略の好機。けれど、南に立ちのぼれば、堅く守られて攻めるべからず。東ならば、下手に手出しすると返り討ちにあうわ。こうした兆しを読むには、自然を味方につける心が必要なの」
武王(感嘆しながら)「まるで、空の言葉を読むようですわ……♡」
呂尚(小さく頷いて)「それこそが兵征。兵を導く、風のささやきよ」
「勝ち負けは、剣ではなく空気が教えてくれる──」
この篇では、まだ戦っていないうちから「兆し」によって勝敗を見極める兵法、「兵征」の極意が語られました。
呂尚はそれを、軍の音や気配、そして兵士たちの心の状態から読み取るよう姫発に教えました。
姫発はそれを「風のささやき」「空の言葉」と表現し、兵法をただの戦術ではなく、美しい感性として受け取っていきます。
武王(姫発)「お姉様ぁ、今日は音楽のお話なんて……まるで雅楽の授業のようですわねっ」
呂尚「ふふ、たしかに“律章”というと、王宮の音楽に思えるかもしれないけれど──兵法における“五音”は、それとは違う側面を持っているの」
武王(首をかしげて)「ちがう……のですか?」
呂尚「そう。“五音”とはすなわち──宮・商・角・徴・羽。これは天地自然の“気のゆらぎ”を五つに分けたもの。そしてこのゆらぎは、戦場にもはっきりと現れるのよ」
武王「まぁ……音のゆらぎが、戦の行方を……?」
呂尚(頷いて)「その通り。宮は静寂、商は鉄の響き、角は鼓のうなり、徴は火のきらめき、羽は人の声。これらが、五行(金・木・水・火・土)と響き合って、戦の“兆し”を告げてくれるの」
呂尚「たとえば──晴れた夜半、雲も風もない静けさの中で、軽騎兵を敵陣の九百歩手前まで遣わせるの。そして“律管”を構え、敵に向かって気を送るのよ」
武王(きらきらした目で)「律管って……ほら貝のようなものでしょうか?」
呂尚「もっと繊細よ。音を“聴く”ための管。そこに微かに返ってくる音によって、敵陣の気配がわかるの」
武王「音が返ってくるなんて……」
呂尚「そう。もし鼓のような振動が響けば“角”──つまり、西から攻めるべきと知れる。“火の揺らめき”が返れば“徴”──北からが良い。“兵器のぶつかる音”なら“商”──南から。“人の怒声”が羽、中央から。そして音なき静寂、これが“宮”──東こそ勝機」
武王(思わず胸に手を当て)「まるで……五音と五行が導いてくださるようですわ」
呂尚「その通りよ。そして、それぞれの音色が示す方向には、青龍・白虎・朱雀・玄武・勾陳──五神の加護がある」
武王「でも……そんな繊細な音、敵に気づかれてしまいませんの?」
呂尚(微笑んで)「だからこそ、音が大切なの。静寂の中の一音、鼓、火光、武器の響き、叫声……それらすべてが“気”を映す鏡になる。耳を澄ませば、戦場は語りかけてくるのよ」
武王(うっとりと)「お姉様……まるで音楽のような兵法ですわね……♡」
呂尚「ふふ、それは姫発ちゃんが心を澄ませてるから感じられるのよ。音は心に応えてくれる。軍の気配、士気の高さ、将の冷静さ──すべて音に出るの」
太史編(ちょこんと登場)「やっほ~! 今回はちょっと音楽っぽい兵法、“五音”のお話をまとめるよ♪」
この「五音篇」では、兵法における「音」の繊細な扱いを、まるで楽譜を読むように描きました。
呂尚は耳と心で聴く将。
姫発は無垢で澄んだ感性を持つ聴き手。
そして読者もまた、「音」を通じて戦の空気を感じていただけるよう工夫いたしました。
もしこの雰囲気をお気に召していただけましたら、次の篇もこのトーンで続けてまいりますわね✨
太史編「『三陳篇』のキホンをやさしく整理♡」
つまり!
天地人――この三つを見極めてこそ、名将の一歩♡ 姫発ちゃんのように志高く、学びを重ねることで「戦わずして勝つ」理想の統治が目指せるのです!