ああ、陛下、わたくし韓非姫は、韓の国のお姫様として、再びこの御前に参上いたしますわ。八つの奸策について、心を込めてお伝えしますのよ。陛下のような賢明なお方なら、きっとわたくしの言葉を優しく受け止めてくださるはずですわね。どうか、わたくしの小さな警告を、温かいお心でお聞きくださいませ。
陛下、わたくし、申し上げますわ。臣下が君主を操り、国を乱す手口は八つございますわ! 同床、在旁、父兄、養殃、民萌、流行、威強、四方――これらは君主を滅ぼす毒ですわ。戦国の乱世、奸臣はこれで陛下の隙を突きますわ。わたくし、警告いたしますわ。この八つを知らなければ、国は持たないですわよ! ああ、わたくし、そんな奸策を思うと、胸が痛みますわ…。
同床とは、陛下の寵愛する夫人や若い側室のことですわ。彼女たちは美貌と甘言で陛下を惑わしますのよ。酒に酔い、楽しげなときを見計らい、欲しいものをねだるんですわ。陛下はコロッと従ってしまいますわ! 奸臣はこれを利用し、夫人に金や宝を贈って陛下を動かしますわ。わたくし、申し上げますわ。女に操られれば、陛下の目は曇りますわよ! 陛下、どうか同床の甘い罠にご用心くださいませ!
在旁とは、陛下のそばの道化や近侍ですわ。彼らは命令を待たず『はい、はい』と媚び、陛下の心を先に読みますのよ。一糸乱れず動く彼らは、同じ口調で陛下を操りますわ。奸臣は彼らに宝を贈り、宮外で悪事を手伝わせ、陛下を惑わしますわ。わたくし、警告いたしますわ。側近が裏切れば、国は揺らぎますわよ! 陛下、在旁の陰謀を厳しく見抜いてくださいませ!
父兄とは、陛下の兄弟や親族、大臣や廷臣ですわ。彼らは信頼を得て、政を議りますのよ。奸臣は音楽や美女で親族を籠絡し、甘言で大臣を買収しますわ。事が成れば、爵位や禄を約束し、陛下を邪魔させますわ。身内が敵になれば、陛下は孤立しますわよ! 陛下、親族の裏切りにご用心くださいませ! ああ、わたくし、家族の絆が壊れるのを思うと、涙が出てきそうですわ…。
養殃とは、陛下の贅沢な遊びですわ。豪華な宮殿や池、美女や名馬に溺れる君主は、奸臣の格好の標的ですわ。奸臣は民の力を尽くして宮殿を飾り、税を重くして美女や馬を整えますのよ。陛下の欲を満たしつつ、私利をむさぼりますわ。快楽に溺れれば、心は乱れ、国は傾きますわ! 陛下、贅沢は災いですわよ! どうか養殃の罠を避けてくださいませ!
民萌とは、民の心を掴むことですわ。奸臣は公の財をばらまき、小さな恩恵で民を喜ばせますのよ。朝廷や市井で自分を褒めさせ、陛下を出し抜きますわ。民が奸臣に靡けば、陛下の権威は落ちますわ。わたくし、申し上げますわ。民を味方につける臣下は、陛下の敵ですわよ! 陛下、民萌の甘い誘惑にご用心くださいませ!
流行とは、巧みな弁舌ですわ。陛下は議論を好まず、口車に乗せられやすいですわ。奸臣は雄弁な者を雇い、華やかな言葉で陛下を動かしますのよ。利をちらつかせ、害を恐れさせ、嘘で惑わしますわ。甘い言葉が耳に入れば、陛下の心は揺らぎますわ! 口先だけの臣下は、国を乱しますわよ! 陛下、ご用心くださいませ! ああ、わたくし、そんな流行の言葉を思うと、耳を塞ぎたくなりますわ。
威強とは、武力で民を脅すことですわ。陛下は臣下や民の支持で威勢を保ちますが、奸臣はそれを奪いますわ。剣客や死士を雇い、従う者に利を、逆らう者に死をちらつかせ、臣下や民を脅しますのよ。奸臣が威勢を振るえば、民は陛下を軽んじますわ。武力を握る臣下は、陛下を食う虎ですわよ! 陛下、臣下の武力を封じてくださいませ! わたくし、そんな威強の脅威を思うと、震えてしまいますわ…。
四方とは、他国を利用することですわ。小国や弱兵は、大国や強兵に逆らえませんわ。奸臣は税を重くし、国を弱らせて大国に仕えますのよ。大国の力を借りて陛下を脅し、ひどい場合は他国の軍を呼び、陛下を締め上げますわ。陛下が他国に屈すれば、国は臣下の手に落ちますわ! 外の力を借りる臣下は、国を売りますわよ! 陛下、四方の罠を断ち切ってくださいませ! ああ、わたくし、他国の影を思うと、心が暗くなりますわ。
陛下、八つの罠を防がないと、国は滅びますわ! 明君はどうすべきですの? 同床を防ぐには、夫人や側室の美を愛でても、願いを聞きませんわ。私人の請願を禁じますのよ。在旁を防ぐには、近侍の言葉を厳しく監視し、余計な口出しを許しませんわ。父兄を防ぐには、親族や大臣の意見を聞くが、罰を担保に責任を持たせ、勝手な推挙を禁じますわ。養殃を防ぐには、遊びや贅沢を法に基づき、臣下が勝手に進退させるのを許しませんわ。民萌を防ぐには、財や食糧の配布は陛下の名で行い、臣下が恩を私物化しないようにしますわ。流行を防ぐには、称賛や非難は才能や過失を検証し、臣同士の口裏合わせを禁じますわ。威強を防ぐには、軍功は法で賞し、私闘は許さず、臣下が財で人を買うのを防ぎますわ。四方を防ぐには、他国の要求は法に基づき、合法なら従い、違法なら断りますわ。陛下、八姦を断ち切ってくださいませ! わたくし、そんな防衛を思うと、心が引き締まりますわ。
亡国の君主は、国を失ったんじゃありませんわ。国の支配を臣下に奪われたんですのよ! 臣下が外の力で内を操れば、陛下は終わりですわ。他国の言うことを聞くのは、亡国への近道ですわ。わたくし、申し上げますわ。臣下が他国と結ぶのを断固として防いでくださいませ! ああ、わたくし、私欲の風を思うと、胸が痛みますわ…。
明君は、官職や爵禄を賢才の奨励に使いますわ。才能ある者に厚い禄と高い職を、功績ある者に尊い爵と重い賞を与えますのよ。それが陛下の道ですわ。なのに、今の世はどうですの? 賢愚を問わず、功績を無視し、他国の推挙や側近の請願で官職を決め、父兄や大臣は爵禄を売り、私党を増やしますわ。金で官を買う者、近侍の口利きで位を得る者。功臣は評価されず、官職は乱れますわ。役人は職を怠り、財を求め、外交に走りますわ。賢者はやる気を失い、功臣は堕落しますわ。これが亡国の風ですわよ! 陛下、賢才を活かし、官爵を正してくださいませ! わたくし、そんな正道を思うと、心が晴れますわ…。
ああ、陛下、わたくし韓非姫は、韓の国のお姫様として、再びこの御前に参上いたしますわ。権力を揚げることについて、心を込めてお伝えしますのよ。陛下のような賢明なお方なら、きっとわたくしの言葉を優しく受け止めてくださるはずですわね。どうか、わたくしの小さな忠告を、温かいお心でお聞きくださいませ。
陛下、わたくし、申し上げますわ。天には天の法則、人には人の法則がございますわ。戦国の乱世、美味な酒や肉、美しい女や贅沢は心を惑わし、身を害しますわ。度を超えた楽しみは捨ててくださいませ! 陛下の体こそ、国そのものですわよ! 法則を握れば、国は滅びませんわ! ああ、わたくし、陛下のお体を思うと、心配でなりませんわ…。
陛下、権力はむやみに見せてはいけませんわ。素のままで無為に治める、それが君主の道ですわ! 政事は四方の臣下に任せ、国の要は陛下が握りますのよ。聖なる君主は国の中心を押さえ、四方から臣民が従いますわ。虚静に待てば、臣下は勝手に動きますわ。天下が治まれば、静かな中から臣下の動きが見えますわよ! 陛下、無為でいてくださいませ! わたくし、そんな陛下の姿を思うと、心が穏やかになりますわ。
陛下、門を開き、文武の臣下を置きますが、方針をコロコロ変えてはいけませんわ。自然の法則と人の理に従い、ブレずに進むのが道理ですわ! 物事には適した使い道、才能には発揮する場がございますわ。鶏に夜を司らせ、猫に鼠を捕らせれば、陛下は無為でいられますわ。自分の得意をひけらかすと、臣下に隙を与えますわよ! 陛下、心を隠して理を履んでくださいませ! ああ、わたくし、陛下の御姿勢が完璧になりますように、心から願っていますわ。
陛下が自慢したり、口を滑らせたりすれば、臣下はそれを利用しますわ。能力を誇れば、臣下は騙し、才能を装いますわ。騒ぎを好めば、臣下はそれに乗じて動きますのよ。君臣の役割が逆転すれば、国は乱れますわ! 戦国の現実は厳しいですわ。陛下が隙を見せれば、臣下は国を食い物にしますわよ! 陛下、決して隙を見せないでくださいませ! わたくし、そんな欺きを思うと、悔しくてなりませんわ。
国の治め方は、名分を正すことから始まりますわ。名分が正しければ、物事は決まり、ズレれば乱れますわ。聖君は一つの道に静かに従い、名分を自然に定めますのよ。飾り立てず、臣下を純粋にさせますわ。臣下に任せ、仕事をさせ、成果を上げさせ、役割を定める。それが陛下の務めですわ! 陛下、名分を正してくださいませ! ああ、わたくし、陛下の秩序が輝くのを、心から信じていますわ。
陛下、臣下の言葉に基づいて仕事を任せ、行動を検証しますわ。言葉と行動が一致すれば賞を、一致しなければ罰を。賞罰が信頼できれば、臣下は本心を出しますわ。慎重に政を進め、自然の法則に従えば、聖君になれますわよ! 陛下、形名を照らし合わせてくださいませ! 治国の要を握る鍵ですわ! わたくし、そんな検証の厳しさを思うと、心が引き締まりますわ。
聖君は知恵や技巧を捨てますわ。自然の法則に従い、事の理を検証し、根本を突き止めますわ。虚静に留まり、意志を見せませんわ。主観を押し通せば、臣下に隙を与え、国は乱れますわよ! 陛下、智と巧を捨ててくださいませ! ああ、わたくし、陛下の無為が国を救うのを、心から祈っていますわ。
陛下の禍は、いつも同じ原因ですわ。好みや嫌いを明かせば、臣下はそれに乗じますわ。事を共にすれば、民は陛下を軽んじ、義を語れば、臣下は勝手に動きますわ。門を閉ざし、室内から庭を見、臣下の動きをじっくり監視してくださいませ! 信じても同調せず、万民を一に従わせますわよ! わたくし、そんな禍を思うと、胸が痛みますわ…。
するべき者を賞し、罰するべき者を罰しますわ。善悪に必ず報いれば、臣下は正直になりますわ。法を定め、道理を整えれば、臣下は従いますわ。陛下が神秘でなければ、臣下は隙を突きますわ。事が正しくなければ、臣下はそれを真似ますのよ。陛下、天と地のように賞罰を公平にしてくださいませ! それが聖君の道ですわよ! ああ、わたくし、陛下の公平さを、心から尊敬しますわ。
陛下が神秘さを失えば、虎が後ろに続きますわ。気づかねば、虎は犬を装い、止めなければ犬が増えますわ。虎が群れをなせば、陛下を殺しますわよ! 忠臣がいなければ、国はなくなりますわ。法を厳しく執行し、刑を徹底すれば、虎は人に戻りますわ。陛下、朋党を壊し、賞を正してくださいませ! 臣下が欲を出す前に、斧を貸さないでくださいませ! わたくし、そんな朋党の脅威を思うと、震えてしまいますわ…。
陛下が神秘でなければ、臣下は隙を突きますわ。事が正しくなければ、臣下は勝手に動きますわ。各官職に一人を置き、勝手な行動を許しませんわ。臣下の門下に人が集まるのを防ぎますのよ。法を貫き、名実を一致させれば、民は職を守りますわ。法を捨て別の道を探せば、混乱ですわ! 狡猾な民が増え、奸臣がそばを埋めますわよ! 陛下、朋党を防いでくださいませ! ああ、わたくし、陛下の統制が完璧になりますように、心から願っていますわ。
黄帝が申しましたわ。『君臣は一日百回、戦う』と。臣下は私欲を隠し、陛下を試しますわ。陛下は法で切り返しますのよ。法は陛下の宝、朋党は臣下の宝ですわ。臣下が陛下を殺さないのは、朋党が未熟だからですわ。陛下、臣下を貴ばせず、城を大きくせず、太子を早く定めてくださいませ! 法を握り、陰謀を断ってくださいませ! わたくし、そんな戦いを思うと、心臓がドキドキしますわ…。
ああ、陛下、わたくし韓非姫は、韓の国のお姫様として、再びこの御前に参上いたしますわ。二つの柄について、心を込めてお伝えしますのよ。陛下のような賢明なお方なら、きっとわたくしの言葉を優しく受け止めてくださるはずですわね。どうか、わたくしの小さな忠告を、温かいお心でお聞きくださいませ。
陛下、わたくし、申し上げますわ。賢い君主が臣下を従えるには、たった二つの武器でいいんですのよ! その武器とは、『刑』と『徳』ですわ。刑は罪人を厳しく罰する力、徳は功を立てた者に報いる賞賛ですわ。この二つを握れば、臣下は陛下を恐れ、従いますわ。陛下、刑と徳をしっかりお手にしてくださいませ! それが君主の力の鍵ですわよ! ああ、わたくし、陛下の御手が輝くのを、心から信じていますわ。
臣下は罰を恐れ、賞を欲しますわ。陛下が刑と徳を自ら操れば、臣下は陛下の威厳を恐れ、賞の利益を求めて動きますのよ。戦国の世は、人の心が利益に揺れますわ。陛下がこの二つを握れば、臣下は自然と従いますわ! 陛下、刑と徳で臣下を動かしてくださいませ! わたくし、そんな陛下の統治を思うと、心がわくわくしますわ。
でも、奸臣は違いますわ! 嫌いな者を陛下に罰させ、好きな者を陛下に賞させるんですのよ。もし陛下が賞罰を臣下に任せたら、国中の民は陛下を軽んじ、奸臣に媚びますわ。これじゃ、臣下が陛下を操りますわよ! 国は滅びますわ! 斉の田常は爵位や禄を勝手に配り、民に大盤振る舞いして簡公を殺しましたわ。宋の子罕は賞を君主に任せ、罰を自分が握って宋桓侯を脅しましたのよ。田常は徳を、子罕は刑を奪い、どちらも君主を滅ぼしましたわ。陛下、賞罰を臣下に渡してはいけませんわ! ああ、わたくし、そんな奸臣の罠を思うと、震えてしまいますわ…。
陛下、虎が犬を従えるのは、鋭い爪と牙があるからですわ。もし虎が爪と牙を犬に渡したら、虎が犬に支配されますわ。君主も同じですわよ。刑と徳を臣下に渡せば、陛下は臣下に操られますわ! わたくし、申し上げますわ。賞罰をしっかり握ってくださいませ! さもないと、臣下が王になってしまいますわよ! わたくし、そんな逆転を想像して、心が痛みますわ。
奸臣を防ぐには、どうすればいいでしょう? わたくし、申し上げますわ。形名を検証してくださいませ! 形名とは、臣下が言うことと、実際の仕事が一致することですわ。臣下が意見を述べたら、陛下はその言葉で仕事を任せ、成果が言葉と合っているか厳しく見ますわ。合えば賞を、合わなければ罰を。大きな口を叩いて成果が小さければ罰、控えめに言って成果が大きすぎても罰ですわ。なぜですって? 言行が一致しないのは、奸臣の兆しだからですわ! 陛下、言と行を照らし合わせてくださいませ! ああ、わたくし、陛下の鋭い検証が、国を守るのを信じていますわ。
韓の昭侯が酒に酔って寝ていたとき、掌帽官が寒そうだと見て服をかけたんですわ。昭侯は目を覚まして喜びましたが、誰が服をかけたか聞いて、掌帽官と掌衣官の両方を罰しましたのよ。なぜですって? 掌衣官は服をかける職務を怠り、掌帽官は帽子以外の仕事を勝手にやったからですわ。昭侯は寒さを嫌ったんじゃないんですのよ。臣下が職務を超えるのが、国を乱す元だと知っていたんですわ! 陛下、越権を許さず、言行が一致しない者を罰してくださいませ! わたくし、そんな厳格さを思うと、心が引き締まりますわ。
陛下、君主には二つの過ちがありますわ。一つは賢者を重用しすぎること。臣下が賢者の名声を利用して陛下を脅しますわ。もう一つは適当に人を登用すること。仕事が失敗し、国が乱れますわ。賢者を好めば、臣下は賢さを装って媚び、陛下は真実を見抜けなくなりますわ。陛下、賢さや適当な登用に気をつけてくださいませ! ああ、わたくし、陛下の過ちを防ぎたいんですのよ。
戦国の歴史は、君主の失敗で溢れてますわ。越王が勇気を好んだから、民は死を恐れなくなりましたわ。楚霊王が細い腰を好んだから、国中が飢えましたのよ。斉桓公が内廷を好み、豎刁は自ら去勢して仕え、美味を好んだから、易牙は我が子を蒸して差し出しましたわ。燕の子哙は賢者を好み、子之に国を譲ろうとして乱で死にましたのよ。子之は賢を装い、豎刁や易牙は陛下の欲を利用しましたわ。結果、子哙は死に、桓公は死体が腐っても葬られませんでしたわ! 陛下、好悪を明かさないでくださいませ! 臣下に乗じられ、国が乱れますわよ! わたくし、そんな悲劇を思うと、涙が出てきそうですわ…。
陛下、臣下は陛下を愛してるんじゃありませんわ。利益を求めてるだけですのよ! 陛下が好悪や意図を漏らせば、臣下はそれを利用して権力を奪いますわ。子之や田常のような奸臣が生まれますわ。子之は賢を装い、豎刁や易牙は欲に乗じて君主を侵しましたわ。結果、子哙は乱で死に、桓公は虫が這う死体も葬られませんでしたわ。陛下、好悪を捨ててくださいませ! 臣下の本心が見え、惑わされませんわよ! ああ、わたくし、陛下の御心が純粋に守られますように、心から祈っていますわ…。
ああ、陛下、わたくし韓非姫は、韓の国のお姫様として、再びこの御前に参上いたしますわ。法の度について、心を込めてお伝えしますのよ。陛下のような賢明なお方なら、きっとわたくしの言葉を優しく受け止めてくださるはずですわね。どうか、わたくしの小さな忠告を、温かいお心でお聞きくださいませ。
陛下、わたくし、申し上げますわ。国にいつも強いなんてことも、いつも弱いなんてこともありませんわ。法を奉じる者が強ければ国は強く、弱ければ国も弱りますのよ。荊の莊公は二十六国を併せ、三千里を拓きましたけど、死んで荊は亡びましたわ。斉の桓公は三十国を併せ、三千里を開きましたけど、死んで斉も亡びましたのよ。燕の襄公は河を境とし、薊を都に、涿や方城を襲い、斉を破り、中山を平らげ、燕を重んじましたけど、死んで燕も亡びましたわ。魏の安釐王は趙を攻め、燕を救い、河東を取り、陶や魏を尽くし、平陸を奪い、韓の管を抜き、淇下で勝ち、楚を睢陽や蔡、召陵で破り、天下に威を振るいましたけど、死んで魏も亡びましたわ。陛下、法を奉じて国を強くしてくださいませ! 法がなければ、国は必ず衰えますわよ! ああ、わたくし、そんな盛衰を思うと、心が痛みますわ…。
荊に莊公、斉に桓公があれば霸を成し、燕に襄公、魏に安釐王があれば強国でしたわ。でも、今は皆亡国。なぜですって? 群臣や官吏が乱を務め、治を務めなかったからですわ。国が乱れ弱り、みんな国法を捨てて私欲を追い、まるで薪を背負って火を消しに行くようなもの。乱れはひどくなるばかりですわ! 陛下、私欲を捨て、公法を行ってくださいませ! それが国を救う道ですわよ! わたくし、そんな私欲の害を思うと、ため息が出てしまいますわ。
今の時代、私欲を捨てて公法に従う者は、民が安らぎ、国が治まりますわ。私的な行動をやめて公法を行う者は、兵が強く、敵が弱りますのよ。得失をきちんと量り、法度で臣を統べれば、陛下は詐欺に惑わされませんわ。権衡で遠方の事を見極めれば、天下の軽重に誤りませんわ。陛下、法度を立て、詐偽を防いでくださいませ! 法術は陛下の目となり、国を固めますわよ! ああ、わたくし、陛下の御目が輝くのを、心から信じていますわ。
陛下、誉で人を登用すれば、臣下は陛下を離れ、下で結託しますわ。党派で官を挙げれば、民は交際ばかり務め、法を軽んじますのよ。官が能力を失えば、国は乱れますわ。誉で賞し、毀で罰すれば、賞を欲し罰を嫌う者は、公を捨て私術に走り、結託しますわ。陛下を忘れ、外交を進め、仲間を増やせば、臣下の忠誠は薄れ、亡国の本となりますわ。陛下、誉や党派を斥け、法で官を任じてくださいませ! それが乱を防ぐ道ですわよ! わたくし、そんな誉の惑わしを思うと、悔しくてなりませんわ。
こんなことでは、臣下は法を捨て私を重んじ、公法を軽くしますわ。能人の門には何度も通い、陛下の廷には一度も来ませんわ。私家の都合を百も考え、国のことは一つも考えませんのよ。仲間が多くても陛下を尊びませんし、百官が揃っても国を支えませんわ。すると、陛下は名ばかりの君主で、実質は臣下の家に国を預けてしまいますわ。亡国の廷は無人、なんて寂しいことですわ! 陛下、私家を滅し、廷を満たしてくださいませ! ああ、わたくし、陛下の廷が賑わうのを、心から願っていますわ…。
明主は法で人を選び、自分で挙げませんわ。法で功を量り、自分で判断しませんのよ。能人は隠せず、敗者は飾れず、誉は進まず、非は退きませんわ。こうすれば、君臣は明らかで、治めやすくなりますわ。陛下、法を徹底してくださいませ! 法術で臣を統べれば、国は明るく治まりますわよ! わたくし、そんな明の治を想像して、心がわくわくしますわ。
賢い臣下は、北面して陛下に忠誠を誓い、二心を持ちませんわ。朝廷で卑しい役目を辞さず、軍旅で難しい任務も引き受けますのよ。陛下に順い、法に従い、虚心で命令を待ち、是非を口にしませんわ。口は私を語らず、目は私を見ず、すべて陛下に委ねますわ。陛下、臣下を手に如くしてくださいませ! 法に従う忠臣が、国を固めますわよ! ああ、わたくし、陛下の御手が強くなるのを、信じていますわ。
爵禄を軽んじて主を選ぶのは、廉潔じゃありませんわ。詐欺の説で法に逆らい、強諫するのは忠誠じゃありませんのよ。恵を施して名を求めるのは仁じゃありませんわ。俗を離れて隠居し、主を非難するのは義じゃありませんのよ。諸侯を使い、国を耗し、危機を伺って主を脅し、『私が親しまれ、怨みを解く』と言い、主を信じ込ませ、国を操り、名を卑しめて自分を高め、国を毀して私を利するのは、智じゃありませんわ! これらは危険な世の説、先王の法が斥けるものですわ。陛下、偽を罪し、先王の法を行ってくださいませ! わたくし、そんな偽の罪を思うと、胸が熱くなりますわ。
先王の法はこうですわ。『臣下は威を作らず、利を作らず、陛下の指に従い、悪を作らず、陛下の道に従う』と。古の治世の民は、公法を奉じ、私術を捨て、一つの道に専念し、任を待ちましたわ。陛下、法を簡明にし、勢を制してくださいませ! 詐佞を絶ち、国を治めるのが先王の道ですわよ! ああ、わたくし、陛下の御業が先王に倣いますように、心から祈っていますわ。
陛下、百官を自分で察するには、時間が足りず、力も尽きますわ。上目を使えば、臣下は見かけを飾り、耳を使えば声を飾り、慮を使えば言葉を繁くしますのよ。先王はこれらを不足とし、己の能を捨て、法に依り、賞罰を審らかにしましたわ。…法は貴を阿えず、縄は曲を撓めませんわ。法が加われば、智者は辞せず、勇者は争いませんのよ。刑は大臣を避けず、賞は匹夫も見逃しませんわ。上の失を正し、下の邪を詰め、乱を治め、誤りを断ち、余分を抑え、非を揃え、民を一つの軌道に導くのは、法しかありませんわ。官を統べ、民を威し、淫靡を退け、詐偽を止めるのも、刑しかありませんわ。刑が重ければ、貴賤は変わらず、法が審らかなら、陛下は尊く侵されませんわ。尊く侵されなければ、陛下は強く、要を守れますわ。先王がこれを貴び、伝えたんですのよ。陛下、法を釈し私を用いれば、上下が乱れますわ! 法を不阿にし、刑を重んじてくださいませ! ああ、わたくし、陛下の治世が永遠に続きますように、心から願っていますわ…。
ああ、陛下、わたくし韓非姫は、韓の国のお姫様として、再びこの御前に参上いたしますわ。君主の道について、心を込めてお伝えしますのよ。陛下のような賢明なお方なら、きっとわたくしの言葉を優しく受け止めてくださるはずですわね。どうか、わたくしの小さな教えを、温かいお心でお聞きくださいませ。
陛下、道とはすべてのものの始まり、善悪を決める基準ですわ。戦国の乱世では、道を理解しないと国は滅びますのよ。賢い君主は道の根本をつかみ、万物の本質を見抜き、成敗の理由を明らかにしますわ。わたくし、申し上げますわ。道を握れば、国の行く末が見えますわよ! 陛下、どうか道を心に留めてくださいませ! ああ、わたくし、陛下の御業が道に沿いますように、心から願っていますわ…。
明君は心を空っぽにして、静かに待ちますわ。物事は勝手に名前を付け、形を作りますのよ。心を虚にすれば、真実が見えますわ。静かであれば、動きの正しさがわかりますのよ。臣下が意見を言えば、それが彼らの主張となり、仕事の成果が彼らの形となりますわ。陛下はそれを照らし合わせて、真相をつかむんですのよ。わたくし、申し上げますわ。陛下は好みや考えを絶対に見せてはいけませんわ! 好みを明かせば、臣下はそれを飾って媚び、考えを見せれば、偽りの意見を並べますわ。心を隠せば、臣下の真実が見えますわよ! 陛下、どうか虚静でいらしてくださいませ! わたくし、そんな陛下の姿を思うと、心が穏やかになりますわ。
賢い君主は、知恵や勇気をひけらかしませんわ。頭が良くても考えすぎず、万物が自然に正しい位置に収まるようにしますのよ。賢くても行動で示さず、臣下が何を頼りに動くか見見極めますわ。勇気があっても怒らず、臣下が全力で戦うよう仕向けますのよ。こうして、知恵を隠して明察を保ち、賢さを抑えて功績を上げ、勇気を封じて強さを保ちますわ。陛下、臣下を活かせば、国は強くなりますわ! 無為の力が、天下を動かしますわよ! ああ、わたくし、陛下の無為の統治を想像して、わくわくしますわ。
臣下に職務を守らせ、百官に法を徹底させ、才能に応じて使いますわ。これが常の道ですわ。わたくし、申し上げますわ。明君はまるでそこにいないかのように静かに振る舞い、臣下は陛下の心がどこにあるかわかりませんわ。明君は上から無為に治め、臣下は下で恐れおののきますわ。陛下、こんな姿が理想の君主ですわよ! 見えず、知られず、なのに国は動くんですのよ! わたくし、そんな神秘的な陛下を、心から尊敬しますわ。
道は見えないところにあり、使い方は知られないところにありますわ。虚静でいれば、暗闇でも臣下の過ちが見えますわ。見ても見ず、聞いても聞かず、知っても知らぬふりをしますわ。臣下の言葉を聞き、変えずに検証しますのよ。各官職に一人を置き、互いに相談させませんわ。そうすれば、万物の真相が明らかになりますわ。陛下、心を隠して臣下を監視なさってくださいませ。過ちを見抜くのが、君主の道ですわよ! ああ、わたくし、陛下の鋭いお目が、国を守るのを信じていますわ。
陛下、君主は動きを隠し、考えを封じますわ。臣下が陛下の心を推測できないようにしますのよ。権力の柄を固く握り、臣下の野心を断ち、企みを砕きますわ。門を固く閉ざさなければ、虎のような奸臣が飛び込んできますわ。用心を怠り、意図を漏らせば、賊が生まれますわよ。君主を殺し、位を奪う者を「虎」と呼び、そばで過ちを探り、隙を突く者を「賊」と呼びますわ。戦国の世は、こんな虎や賊がうようよしてますのよ! 陛下、用心に用心を重ねてくださいませ! わたくし、そんな恐ろしい者を思うと、震えてしまいますわ…。
臣下の仲間を解散し、残党を片付け、門を閉ざし、側近を排除しますわ。そうすれば、国に虎はいませんわ。君主の道は大きく、深く、測り知れません。法を厳しく守り、勝手な行動は許しませんわ。そうすれば、賊も生まれませんわよ。わたくし、申し上げますわ。君主を惑わす五つの障壁がありますわ。臣下が陛下を閉ざす、財を握る、命令を勝手に下す、恩を私物化する、仲間を増やす。これらは全部、君主を惑わしますわ! 陛下、これらを独占し、臣下に渡してはいけませんわ! ああ、わたくし、陛下の権力が守られますように、心から祈っていますわ。
君主の道は、静かに退くことが宝ですわ。事を自分でせず、巧拙を見抜き、考えすぎず、福禍を判断しますわ。口数を減らし、臣下に応じさせ、約束を強制せず、臣下を動かしますのよ。臣下が意見を述べたら、それを証拠にし、仕事の成果を基準にしますわ。成果が意見と合えば賞を与え、合わなければ罰しますわ。明君の賞は、春の雨のように民を潤し、罰は雷のように恐ろしいんですのよ。むやみに賞を与えず、罰を許しませんわ。どんなに遠い者も功があれば賞し、どんなに近い者も罪があれば罰しますわ。そうすれば、遠い者は怠らず、近い者は傲慢になりませんわ。陛下、これが明君の統治ですわよ! わたくし、そんな公正な陛下を、心から愛しておりますわ…。