姫発(武王)「ねえねえ、お姉様っ。このあいだ戦に勝って、そのままズンズンと敵の領土に進軍してるんだけど――でも、まだ落としきれてない大きな城があって。しかも、その外には別の敵軍が要所に立て籠もってて、わたくしたちをじーっとにらんでいるの。こんなとき、どうしたらいいのかしら?」
呂尚(太公望)「ふん、敵の分断にうまく対応しないと、こっちがヤバい状況になっちゃうわよ? 城を包囲するときは、まずは車隊と騎兵を遠方に展開して、内と外の連携を断つの。そうすれば城内の食料は底をついて、補給もできなくなる。そうなったら、敵の士気はガタ落ち。城主だっていずれ降伏するしかないってワケ。」
姫発「あらっ、それはお見事ですわ! でもでも――もしも城内の敵と、外にいた別軍が、こっそり結託してたら……? 闇に紛れて突撃してきて、しかも外からもバビューンと襲いかかってきたら、わたくしたち、二方向からボコられちゃうかも!?」
呂尚「ああもう、姫発ったら心配性ねぇ。そういうときは、軍を三つに分けて布陣すればいいのよ。まずは地形をしっかり見て、敵軍と城の配置をガン見。それから、ワザと抜け道を残してあげるの。ほら、敵ってそういうの大好きでしょ? 敵は“ラッキー!逃げ道があるじゃん!”って錯覚して、ワラワラ突撃してくる。でもこっちは全部計算済み。退路だと思ってたその道は、精鋭の騎兵が待ち伏せしてるお・も・て・な・し♡」
姫発「わあ〜っ!まさに“入口でニッコリ、出口でズドン”な感じですのねっ!」
呂尚「さらに、突撃してくるのは基本、敵のエース級ばかり。その間に、城内に残ってるのは老人や負傷兵ばっかりになるのよ。そこに我が軍の第三軍を一気に投入して、スパーンと蹴散らすの。」
姫発「すごい……!それって、敵の逃げ道をわざと作ってあげて、その“善意”を逆手に取るってことですのね? まるで心理戦ですわ!」
呂尚「ふふっ、戦場ってのは“やさしさ”すら武器になるのよ? でもね、肝心なのは――勝っても調子に乗らないこと! 城を落とした後は、民の家を燃やしちゃダメ。お墓の木も切っちゃダメ。降伏した者は、けっして殺しちゃダメ。“お前らの主君がバカだっただけ。お前らには罪はない”――って、ちゃんと知らせてあげるの。」
姫発「あぁ……それなら、敵の民たちも安心して、わたくしたちに心を許してくれますわねっ。」
呂尚「そうよ。そうやって武力だけじゃなくて、徳でも服させるの。真に天下を取るってのは、そういうことなのよ。……わかった?」
姫発「うふふ、お姉様……♡ お話を聞いていると、ますます心が引き締まってきますの。これこそ――天下を治める者の覚悟、でございますわねっ!」