武王(ぱちっとした瞳で)「お姉様……“勢”って、一体なんなのでしょう? ただ力を集めることとは、違いますの?」
呂尚(微笑を浮かべ)「ふふっ、姫発ちゃん、良い質問ね。“勢”というのは、ただの“力”じゃないの。力をどう動かすか──それが“軍勢”よ」
武王(目を輝かせて)「どう動かすか……?」
呂尚「そう。兵の動きは、敵の動きで決まるの。敵が進めば下がり、敵が止まれば動く。その変化の“はざま”にこそ、勝機が生まれるの」
武王(神妙な面持ちで)「まるで……舞を舞うときの“間合い”のようですわね」
呂尚「素敵な喩えね、姫発ちゃん♡ しかもね、“奇策”も“正攻”も、その源は尽きることがないの。勝者は、その湧き出る知恵を止めない者なのよ」
武王「でも、その知恵を敵に知られたら……?」
呂尚(ぴたりと指を立て)「そこが肝心。“至事は語らず、用兵は語るべからず”──つまりね、いちばん大切な作戦ほど、口にしてはいけないのよ」
武王「……黙して語らず、ですのね」
呂尚「その通り。敵に知られたら終わり。“兵”とは、議されず、見られず、知れられず、判じられず……それが理想」
武王「まるで幻のようですわ……!」
呂尚(すっと目を細めて)「そう、まさに幽霊のごとく。だから善く戦う者は──軍を並べる前に勝利を得、敵の刃が届く前に勝敗を決するの」
武王「……戦わずして勝つ。それこそ、最も高貴な兵法ですのね」
呂尚「ええ。そして、そうした者は──弱く見せておいて強く、遅れているようで先んじている。敵が気づいた時には、もう負けているの」
武王(唇を結んで)「では……恐れてはいけませんのね。迷ってもいけませんのね」
呂尚「“三軍の災い、狐疑に過ぎず”──軍を滅ぼす最大の原因は、恐れや迷いなの。時機が来たら、雷より速く、稲妻より鋭く。疾く、そして狂おしく!」
武王(胸に手をあてて)「わたくしも、いざという時には迷いませんっ。──信じるものを守るために!」
呂尚(そっと撫でて)「……そうね。姫発ちゃんがその心を持ち続ける限り、どんな敵にも負けないわ。だって、それが“軍勢”の本質なんだから」
太史編(元気に登場)「今回のテーマは“軍勢”だよっ! 力って言っても、ただの数じゃ勝てないの。勢(いきおい)って、もっとカッコイイ秘密があるんだ〜!」