武王(ぱちっと目を輝かせて)「お姉様っ! わたくし、もっともっと士卒たちと心を通わせたいんですの。戦のとき、みんなが“我こそ先に”って走り出すような、そんな軍隊にするには──どうしたらよいのでしょう?」
呂尚(そっと頬に手を添えて)「うふふっ、姫発ちゃんらしいわね……その志、ほんと尊いわ。じゃあ、今日は“励軍”──兵たちの士気を高める方法を教えてあげる」
武王(姿勢を正して)「はいっ! お姉様のお話、心してうかがいますわ!」
呂尚(静かに頷いて)「いい? 兵たちが命を懸けてくれるのは、命令だけじゃダメなの。大事なのは──“将が、どれだけ同じ目線で寄り添ってくれるか”ってこと」
武王(首をかしげ)「同じ目線……?」
呂尚「うん。たとえばね、冬でもぬくぬくした裘(かわごろも)を着ない。夏でも扇(おうぎ)で風をあおがない。雨でも傘を差さない。兵とまったく同じように、寒さも暑さも、全部一緒に過ごすの」
武王(感動したように)「それは……とっても大変ですけれど、とっても素敵ですわ……!」
呂尚(微笑んで)「こういう将を“礼の将”っていうの。そして、険しい山道や泥道では、真っ先に馬を降りて歩く“力の将”──自分が楽してちゃ、兵たちの苦労なんてわからないもの」
武王(思わず立ち上がり)「それならわたくしも、みんなと同じご飯を食べて、同じお布団で寝ますわっ!」
呂尚(優しく微笑んで)「ふふ、そういうのを“止欲の将”って呼ぶのよ。自分だけ贅沢したり、先に休んだりしない。兵士たちがご飯を食べ終わってから、自分も食べる。火を焚かないなら、自分も焚かない──それが信頼を生むの」
武王(うっとり)「お姉様……まるで聖王さまのよう……」
呂尚「こういう将がいたらね、兵たちは、進軍の太鼓を聞いただけで胸が躍るの。“あの将のために、この命を懸けたい”って。逆に、退却の鐘が鳴ったら、悔しさで涙をこぼすくらいになるのよ」
武王(きゅっと拳を握って)「だからこそ──高い城や深い堀も、みんなが怖れず立ち向かえるのですね!」
呂尚(静かに頷いて)「そう。矢が雨のように降っても、剣が交わるその瞬間も──彼らは死を好んでるわけじゃない。ただ、心から“理解してくれる将”がいるから、全力を尽くせるの」
武王(小さな手を胸に当てて)「わたくし……そういう王になります。兵と共に笑い、共に苦しみ、共に進む──“皆と共にある”王に、きっとなってみせます!」
呂尚(その手をとって)「うん。姫発ちゃんなら、きっとなれるわ。──さあ、これが“励軍”の極意。兵法の根っこには、やっぱり“心”があるのよ♡」
太史編(えへへっと登場)「今回は“励軍”! つまり、どうやって兵士たちのやる気をMAXにするかってお話だよ〜!」