武韜「順啓篇」〜天下を抱くは、心を抱くに似たり
武韜「順啓篇」〜天下を抱くは、心を抱くに似たり
登場人物
- 文王(姫昌):優雅で聡明なお嬢様。呂尚への敬意と信頼を深めつつ、王道の理想を求めて日々研鑽中。
- 呂尚(太公望):理知的でギャル魂を秘めた軍師。真剣な議論では一切妥協せず、熱をもって語るが、最後にはふっと微笑む優しさも。
会話シーン
夕陽に照らされた書院。欄干に指を置き、文王が静かに口を開く。
文王「ねえ、呂尚──あたくし、思うのです。どうすればこの広き天下を、誰一人取り残すことなく治められるのかしら……。その道、あるのでしょう?」
呂尚(風に髪を揺らしながら)「もちろんあるわよ。あたしが“順啓”って呼んでるやり方──これはね、天下を抱くための六つのステップ。要は、どれだけ本気で“みんなを受け止める覚悟”があるかって話よ」
六つの順の徳
- 器を大にして、天下を包む:「まずは、心のキャパがデカくなきゃダメ。自分と違う考えも、違う立場の人も、み〜んな受け入れる器量が必要よ」
- 信をもって、天下を束ねる:「次に大事なのが“信”。言ったことはぜったい守る。信じてくれる人がいなきゃ、国なんてまとまらないでしょ?」
- 仁を以て、天下を懐ける:「思いやりの心──ただ情けをかけるだけじゃなくて、ちゃんと理解して寄り添う姿勢。それが“懐ける”ってことよ」
- 恩を施して、天下を守る:「優しさを示せば、みんな『この王に守られてる』って思うわけ。そうすれば、誰も勝手に裏切ったりしない」
- 権をもって、天下を失わぬ:「ただの優しさじゃダメ。ちゃんと統治できる力も見せていかないと、ナメられて奪われるのがオチよ」
- 迷わぬ意志は、天地すら動かさぬ:「最後は“決断”。優柔不断は百害あって一利なし。あたしらが“これ”って決めたら、時の流れだって逆らえない──そのくらいの覚悟がなきゃ、天下なんて無理無理っ」
文王(感嘆の溜息)「まあ……それほどの高みまで至らねば、天下は託されぬものなのですね……!」
呂尚「天下ってのは、“あたしのモノ”って思った時点で、もうダメなの。天下は“みんなのモノ”。それを預かる覚悟がある人だけが、トップに立てるってワケ」
天下が愛してくれる者、天下が拒む者
- 利益をもたらせば……みんな歓迎!
- 害をなろえば……みんな拒絶!
- 生を与えれば……感謝される
- 殺せば……憎まれる
- 通じれば……信頼される
- 窮乏させれば……恨まれる
- 安らぎを与えれば……頼られる
- 危機を招けば……災いとされる
呂尚「要するに──天下の民の心は、鏡みたいなもん。あたしらがどういう存在か、ぜ〜んぶ映し返してくれるってことよね」
文王(やわらかく微笑み)「なんと慈愛に満ちた理なのかしら……。そして、なんと厳粛な覚悟が求められるのかしら……」
呂尚(照れ隠しに髪をかきあげながら)「ま、あたしに任せときなよ。うちの王様なら、ちゃんと“天下に愛される王”になれるって、信じてるから」
文王「まあ……ふふっ。なんて心強い軍師でいらっしゃるのでしょう。……ありがとう、呂尚♡」
太史編のやさしい解説コラム
太史編(元気に登場)「今回は“順啓篇”! 天下を治めるための心の持ち方を教えてくれるよ〜!」