武韜「文伐篇」〜策略の華は、剣よりも鋭く
武韜「文伐篇」〜策略の華は、剣よりも鋭く
登場人物
- 文王(姫昌):優雅なマリーアントワネット風お嬢様。呂尚への信頼と尊敬が深まりつつある。
- 呂尚(太公望):ツンデレな軍師ギャル。戦略の話では凛として真面目に語るが、最後にはほんの少しデレる。
会話シーン
静かな書院。窓の外では風に舞う花弁。文王は玉扇を静かに伏せ、呂尚を見つめる。
文王「ねえ、呂尚。戦といえば、剣や矛だけではございませんわよね? 言葉や策で敵を討つ──そのような“文伐”という手法、どのように行うべきかしら?」
呂尚(目線を上げ、真剣な表情で)「ふふん、ようやくそこに気づいたわね。あたしが“文伐”って呼ぶやり方には、ぜ〜んぶで十二のステップがあるの。ちゃんと聞いてよね?」
文伐十二の術
- 迎合して堕とす:「まずは、敵が好きそうなことを調べて、それに合わせてあげるの。そうすると向こうは気が緩んで慢心しはじめて──最終的には悪事に走るから、そこを突けば一撃よ。」
- 信を割って力を裂く:「敵の取り巻きに親しげに接して、主君への忠誠心を揺らがせるの。身内に裏切り者ができれば、その政はもうガタガタよ。」
- 近臣を買収する:「王の側にいる人間をこっそり懐柔して、心だけあたしらの方に向けさせる。国内にいながら敵じゃないって──それ、めちゃくちゃ怖いでしょ?」
- 享楽に溺れさせる:「美女と宝石と甘い言葉で相手を夢中にさせる。真面目に政をやる気なんて失せるわよ、ぜったいに。」
- 忠臣を丁重に扱って逆に排除させる:「敵の忠臣に礼を尽くしながら、あえて成果を与えない。そしたら敵の王様が『使えないやつ』って思って、自分から遠ざけちゃうのよ。」
- 外に才を流し、中に乱を仕込む:「有能な家臣に国外とのパイプを作らせて、国内の秩序を揺るがせる。敵の中枢がぐちゃぐちゃになれば、あとは時間の問題ね。」
- 贅に慣れさせ、国を疲弊させる:「贅沢品と特権を与え続けて、敵の王様をどんどん堕落させるの。財政が破綻して兵糧も尽きる──それでも気づかないんだから笑えるわ。」
- 利益で絆を結び、最後に突き落とす:「うまく利益を与えて懐に入り込んだら、相手はこっちを完全に信じちゃう。そのまま主導権を握って、思うがままに操る──って寸法よ。」
- 誉で釣って、虚をつく:「名誉や地位をちらつかせれば、敵はすっかりいい気になっちゃう。でも本質を見失ってるから、いつの間にかワナにはまってるのよね〜。」
- 親しさで懐に入り、時が来たら収める:「一緒に育ったようなフリして仲良くしといて、タイミングが来たら一気に回収。相手は何が起きたかすら分からないまま沈むの。」
- 視野を塞ぎ、真実を遠ざける:「王様って、耳に入ることが全部じゃない。だから、あたしたちの都合のいい情報だけ届けてあげればいいのよ。反対意見? 聞こえませ〜ん。」
- 堕落させ、惑わせ、疲れさせる:「悪徳家臣を支援して、いい人は遠ざける。美女と宴と贅沢で毎日ぐったりさせとけば、心も体も衰えて、もう何も判断できなくなる。あとは……見てるだけでいいのよ。」
呂尚(口元に微笑を浮かべて)「ね? 文の戦いって、ちょっと怖いけど……効果は絶大なのよ。これらをぜんぶ使いこなせれば、剣を抜かずに天下を取れるってワケ。」
文王(感嘆の溜息を漏らし)「まあ……なんて恐ろしい、けれど精妙なお話。これこそ、まさに戦わずして勝つ道ですわね……!」
呂尚(肩をすくめつつ)「ま、あたしとしては最後の仕上げにちょこっとギャルの感覚を足してるだけなんだけどね?」
文王「ふふっ、呂尚ってば……本当に頼もしいお方ですわ♡」
太史編のやさしい解説コラム
太史編(元気に登場)「今回は“文伐”! 剣を使わずに、言葉と策略で敵をやっつける方法だよ〜!」