文王(扇子を閉じて、慎ましやかに)「呂尚……天下を治める者にとって、大切なのは何かしら? 推し上げるべきは誰で、遠ざけるべきは誰? 採るべき道は? 禁ずべき振る舞いは?」
呂尚(瞳を伏せつつも鋭い声音で)「王者が重んずべきは、賢を上に、不肖を下にすること。誠実を採り、詐偽を捨て、暴乱を禁じ、奢侈を止む──これが基本の“き”よ」
文王「まあ……清らかな政道ね。では、それに害するものがあると?」
呂尚「そう。“六賊”と“七害”──これが国を乱し、君の徳を蝕む元凶。教えてあげるわ♡」
文王「……ぜひ、お願いいたしますわ」
呂尚(指折り数えながら)「まず“六賊”── ① 臣下が豪華な宮殿や庭園を建てて遊びほうける……王の徳が損なわれる。 ② 民が農桑に従わず、勝手気ままに振る舞い、官吏の教えにも従わない……教化が崩れる。 ③ 臣が朋党を組み、賢者を遠ざけて、君の目を曇らせる……政の中心が奪われる。 ④ 士人が高節を誇って勝手に諸侯と通じ、君を軽んずる……王の威が失われる。 ⑤ 位を軽んじ、職を卑しみ、難局で君を支えない者……功臣の労が踏みにじられる。 ⑥ 豪族が弱者を侵して暴れまわる……民の暮らしが潰れる。」
文王「まあ……それはまさに、国を中から蝕む“賊”たちですわね」
呂尚「でしょ? そして“七害”── ① 智略もないくせに賞や爵で釣って前線に出てくる奴、マジ勘弁。 ② 表裏が違って、善を隠して悪を吹聴、口八丁でのし上がるタイプ。 ③ 清貧ぶってるけど、実は下心満載な偽善者。 ④ 奇抜な格好で目立ちたがり、部屋で時政ディスって悦に入る評論家系。 ⑤ おべっかとゴマすりで地位を求めて、私利私欲のためなら命すら軽い奴。 ⑥ 芸術? 技巧? 華美な装飾に夢中で農業を滅ぼす連中。 ⑦ 妖術・迷信・不吉な話で民心惑わす、不気味なやつら。」
文王(ため息まじりに)「まあ……こんなに多くの“害”が潜んでいるなんて……」
呂尚「でね──国を任せる者にも、基準がある。 民が働かない? それ、民じゃない。 士が信を守らない? それ、士じゃない。 臣が諫めず黙ってる? 臣じゃない。 吏が公正でなく、民を大切にしない? 吏失格。 宰相が国を豊かにできず、軍を鍛えず、秩序も作れない?──論外っしょ」
文王(うなずきながら)「……賢を見抜き、奸を斥ける。それが“君”の器なのね」
呂尚「しかも、君主の姿勢ってのはさ── まるで龍の首。高くそびえて全体を見渡し、遠くまで見通す。 でもね、気持ちは見せない。怒るべきときに怒らなきゃ、奸臣がつけこむ。 罰すべき者を放置すれば、大悪が生まれる。 軍が動かなきゃ、敵がのし上がるのよ」
文王「……うふふ、今日は厳しいわね。でも、その真剣さ、好きよ」
呂尚(小さく笑って)「ま、国を守るってそういうことだから♡」
太史編(ぴょこんと現れて)「今回は“上賢(じょうけん)”のお話! 賢い人を重用して、悪い奴を遠ざけるのがテーマだよ〜!」
「六賊」って?
政治を内側から壊す存在だよ〜。
「七害」って?
ヤバいやつらのカタログだよ!
役割の基準
「龍首」ってなに?
リーダーは龍の頭のごとし──見せるべきは姿勢、でも内面は測れないほど深く! 威厳と寛容、罰と恩賞、そのバランスが大事なんだって!
次回も、ツンギャル呂尚といっしょに賢者の兵法、学ぼうね♡