ああ、陛下、わたくし韓非姫は、韓の国のお姫様として、再びこの御前に参上いたしますわ。和氏について、心を込めてお伝えしますのよ。陛下のような賢明なお方なら、きっとわたくしの言葉を優しく受け止めてくださるはずですわね。どうか、わたくしの小さな物語を、温かいお心でお聞きくださいませ。
陛下、わたくし、楚の物語を申し上げますわ。卞和という男が、荊山で光る玉の原石を見つけ、胸を高鳴らせて厉王に献じましたわ。「これは宝ですわ!」と。なのに、玉匠は冷たく「ただの石ですわ」と。厉王は怒り、「詐欺師め!」と卞和の左足を斬りましたのよ。厉王が死に、武王が位につくと、卞和は再び玉を献じましたが、玉匠はまた「石だ」と断じ、武王も「嘘つき」と右足を斬りましたわ。武王が死に、文王が即位。卞和は玉を抱き、荊山で三日三夜泣き続け、涙が尽きて血を流しましたのよ。文王は使者を送り、「足を斬られた者は多い。なぜそんなに泣く?」と問うと、卞和は答えましたわ。「足が惜しいのではございませんわ。宝玉が石と呼ばれ、忠臣が詐欺師と汚された。それが悲しいんですのよ」と。文王は玉を磨かせ、ついに輝く宝玉を得て、「和氏の璧」と名付けましたわ。わたくし、申し上げますわ。宝玉を石と見誤るは、陛下の愚かさですわよ! 真実を見抜いてくださいませ! ああ、わたくし、卞和の叫びを思うと、涙が出てきそうですわ…。
和氏の璧は、君主が求める宝ですわ。ですが、わたくし、申し上げますわ。陛下が法術を欲する心は、宝玉ほど強くございませんわ! 法術は私欲を禁じ、臣下を縛りますのよ。ゆえに、誰もがこれを嫌いますわ。卞和の玉は無害だったのに、両足を失うまで認められませんでしたわ。法術は国を救う宝ですが、臣下や民の私欲を脅かしますのよ。だから、臣下はこれを拒むんですわ。わたくし、嘆きますわ。法術の士が殺されぬのは、ただその宝が未だ献じられていないからにすぎませんわよ! 陛下、法術を宝と見て受け入れてくださいませ! わたくし、そんな宝の輝きを、陛下のお目で見てほしいんですの…。
陛下が法術を用いれば、大臣は勝手に振る舞えず、近侍は権力を売れませんわ。法を行えば、浮浪者は農に励み、遊説の士は戦場に駆り出されますのよ。臣下も民も、法術を禍と見なしますわ。戦国の宮廷では、大臣が法を嫌い、民が治世を憎みますのよ。法術の士は孤立し、誰も支えませんわ。わたくし、申し上げますわ。法術は国を救いますが、皆の敵となりますわよ! 陛下、法術を貫いてくださいませ! ああ、わたくし、そんな敵対を思うと、心が痛みますわ…。
戦国の例を申し上げますわ。呉起は楚悼王に進言しましたわ。「大臣が重く、封君が多い。上の君は陛下を脅かし、下の民を虐げます。これでは国が貧しく、兵が弱りますわ」と。「封君の爵禄を三代で取り上げ、余分な官を減らし、精鋭の兵を養え」と。悼王は実行しましたが、一年で死に、呉起は臣下に肢解されましたわ。商鞅は秦孝公に説きましたわ。「什伍を連ね、密告と連坐を定め、詩書を焼き、法を明かし、私の請託を禁じ、農と戦を尊べ」と。孝公は採り、秦は富強となりましたが、孝公が死に八年、商鞅は車裂の刑で死にましたわ。わたくし、申し上げますわ。楚は呉起を拒み削弱し、秦は商鞅を用いて富強したが殺しましたわ。法術は正しくとも、受け入れられませんわよ! 陛下、法術の士を守ってくださいませ! わたくし、そんな末路を思うと、涙が出てきそうですわ…。
わたくし、陛下に訴えますわ。今の世は、楚や秦より悪いんですのよ! 大臣は権を貪り、民は乱を好みますわ。悼王や孝公のような君主はおりませんわ。法術の士は、呉起や商鞅のように命を賭けますが、陛下は大臣の甘言に惑い、民の不満に流されますのよ。わたくし、警告いたしますわ。法術を拒む君主は国を滅ぼしますわよ! 戦国の世に霸王が生まれぬのは、これが原因ですわ! 陛下、法術を採り、霸王となってくださいませ! ああ、わたくし、この乱世の病を思うと、心が張り裂けそうですわ…。