春の陽光が差し込む宮殿の庭で、文王が静かに呂尚に問いかける。
文王「ねえ、呂尚。国を末永く守るには、どうすればよいのかしら? わたくし、心から知りたいの」
呂尚(少し目を伏せて、深呼吸)「……ったく、文王ったら真剣すぎ。でも、いいよ。まず、七日間斎戒して、心を清めてから聞いてね。そしたら、天の経、四季の生、聖人の道、民の機…全部教えてあげる」
文王(静かに頷き)「ええ、わたくし、謹んでお受けいたしますわ」
(文王は七日間の斎戒を行い、再び呂尚の前に座る)
呂尚(穏やかな声で)「天には四つの季節があって、地には万物が生まれる。天下には民がいて、それを仁聖が導くの。春は万物が芽吹き、夏は成長、秋は実り、冬は静かに眠る。そしてまた春が来る…これ、永遠の輪廻なのよ」
文王(目を閉じて聞き入り)「まあ…なんと美しい巡りでしょう」
呂尚(優しく微笑んで)「そう。聖人はこの自然の理を倣って、天下を治めるの。天下が平和な時は静かに隠れて、乱れた時は立ち上がって正す。それが“道”ってやつ」
文王(小さく息を呑み)「では、民が動揺する“機”とは何ですの?」
呂尚(真剣な眼差しで)「民がざわつき始めたら、それが“機”。聖人は陰で準備して、陽で行動するの。まず理を説いて、天下がそれに和す…そうやって、静かに、でも確実に変を起こすのよ」
文王(感嘆の声を漏らし)「まるで天地の摂理を読むような政治ですわね…」
呂尚(頷きつつ)「うん。でも、ことが終わったら、功を争わない。位も奪わない。淡々と、秩序を守る。それが“守国”の真髄なの」
文王(静かに目を閉じ)「…この道を歩めば、天地とともに輝ける…そんな気がいたしますわ」
呂尚(くすっと笑って)「そ。国を守るって、ただの防衛じゃないの。自然と足並みそろえて、民を導く…まさに“ガチで尊い”ってやつ♡」
春風がそよぐ庭園で、文王が優雅に扇を手に持つ。向かいには呂尚が、ちょっと緊張した顔で座っている。
文王「ねえ、呂尚。君主と臣民の礼って、いったいどうあるべきなのかしら? お教え願える?」
呂尚(一瞬目をそらしつつ、深呼吸して姿勢を正す)「はぁ…ったく、文王ったら真面目すぎ。あ、いや、御意にございます! 君主は民にちゃんと寄り添って、遠ざけちゃダメ。で、民は君主に隠し事なしでガチで尽くす。それが礼の基本っす…じゃなくて、ございます!」
文王(目を細めて微笑みつつ)「まあ…まるで天と地のような関係ね。美しい調和だわ」
呂尚(少し頬を染めて、真剣な眼差しで)「そ、その通りでございます。天が雨降らせて万物育て、地がそれをしっかり受け止めるみたいに。君主はみんなに恩をバーンと与えて、臣下はその徳に安心して従う。それで礼が成り立つんですよ」
文王「それじゃあ…君主としての務めって、具体的に何なのかしら?」
呂尚(少し考えて、落ち着いた声で)「安らぎと静けさをキープして、柔らかく政を進めること。欲とか捨てて、心はフラットに、物事は正しく処理する。それが君主の在り方でございます。…まぁ、簡単に言えば、優しくて強いリーダーって感じ?」
文王(感心したように頷き)「では、そんな君主はどうやって意見を聞くべきなのかしら? 教えてちょうだい」
呂尚(目をキリッとさせて)「軽々しく『オッケー!』とか言わないし、頑なに『NO!』って拒否もしない。なんでも受け入れたら自分の軸がブレるし、全部シャットアウトしたら民の声が届かなくなる。君主って、山みたいに高くて、深淵みたいに底が見えない存在じゃなきゃダメなんです。…わかります?」
文王(ため息をついて)「まあ…まるで神聖な徳そのものね。なんて崇高なのかしら」
呂尚(ちょっと得意げに微笑んで)「そーゆー清らかで正しい在り方こそ、天子にふさわしいってわけでございます。文王なら、きっとできるっしょ…じゃなくて、できますよね」
文王「それじゃあ、天下のすべてを見渡すにはどうすればいいのかしら?」
呂尚(穏やかに、でも力強く)「目はクリアに、耳は鋭く、心は賢く。民の目で一緒に見て、民の耳で聞いて、民の心で考えれば、ぜーんぶ分かるんです。だって、天下のことって民と繋がってるから。そーゆー感じで、四方から意見を集めて、正しく政を動かすんですよ」
文王(目を輝かせて)「なるほど…民と共に在ることで、すべてが明らかになるのね。なんて素晴らしい考えなのかしら!」
呂尚(ニヤッと笑って、少しギャル語が復活)「っし! 今日のあたし、めっちゃ真面目モードだったでしょ? でもさ、やっぱ民のためっしょ。民の声ガチで聞ける君主が、マジで“神レベル”って感じ♡」
文王(くすりと笑って)「ふふっ、最後にいつもの呂尚に戻っちゃったけど…それでも素敵よ。ありがとうね」
太史編「こんにちは〜! 太史編だよっ♡ 今回は《大礼篇》! 君主と民の“礼”について、超やさしく解説しちゃうよ!」
姫発(静かに呟いて)「お姉様……いままで騎兵や戦車のことをたくさん教えていただきましたけれど……では、“歩兵”の戦いは、どうなっておりますの……?」
呂尚(静かに微笑んで)「ふふ……ついに来たわね、姫発ちゃん。歩兵こそ、軍の礎──最後に語るにふさわしい者たちよ」
姫発「礎……それはつまり、いちばん“地に近い”兵ということですの?」
呂尚「そう。“地に足がついている”ということは、動きが遅いぶん、崩れたら全体が壊れるってこと。だから歩兵は、いちばん堅く、いちばん備えていなきゃダメ」
姫発(こくりと頷き)「では、お姉様……もし歩兵が、車や騎兵と戦わねばならぬ時は……どうすればよろしいのでしょうか……?」
呂尚(少しだけ声を鋭くして)「そのときこそ、“地形”を使うの。丘陵や険阻、つまり高低差や障害物を利用して、長兵・強弩を前に、短兵・弱弩を後ろに並べ、交代しながら戦う──それが基本よ」
姫発「なるほど……交代しつつ、地に拠って耐えるのですね……。ですが、お姉様──」
呂尚「──ええ。“もし、丘も無く、隠れる場所も無い平地だったら”って言いたいんでしょ?」
姫発「は……はいっ……! それで、戦車と騎兵に左右と前後を挟まれてしまったら……もう、逃げ場などございません……!」
呂尚(真剣に語りながらも微笑んで)「でもね、備えあれば、必ず活路はあるの。敵が来ると見れば、行馬(移動式の障壁)や木の蒺藜を敷き、牛馬の部隊を盾とし、名付けて“四武衝陣”を築くのよ」
姫発(息をのんで)「し、四武衝陣……それは、まるで……移動要塞のような……!」
呂尚「そう。さらに周囲には“命籠”という五尺四方の壕を掘り、敵の突撃を封じる。その中で、壊れた車を壁として使い、動かせば前後移動、止めれば陣地になる。左右には強弩兵を配置して防ぎ、そして──全軍一斉に、怯まず戦うのよ!」
姫発(拳を握りしめて)「……すごい……たとえ地の利が無くても、知と備えがあれば、歩兵は最後まで抗える……!」
呂尚(優しく見つめて)「ええ。歩兵はね、逃げ場がないからこそ、最も強くあらねばならない。そして、王がその“備え”を怠らなければ、どんな兵よりも堅固になる──」
姫発(涙ぐみながら微笑んで)「……わたくし、歩兵の皆様を……もっと誇りに思います……。お姉様、最後の教え……心に刻みますわ」
呂尚(そっと手を重ねて)「おつかれさま、姫発ちゃん。兵法はまだ続くけれど──この“犬韜”は、あなたの歩みの第一章として、とても美しかったわ♡」
太史編(ぴょこっ!)「こんにちは〜! 太史編だよっ✨ 今回は最終回! 《戦步篇》──つまり、“歩兵の戦い方”だよっ!」
姫発(おずおずと)「お姉様……この間“騎士”の選び方を教えていただきましたけれど……。その、騎兵って……どうやって戦うのでございましょう……? わたくし、ちょっぴり、いえ……かなり不安で……」
呂尚(柔らかく笑って)「ふふっ、姫発ちゃんったら可愛いんだから♡ でも不安になるのも当然ね。騎兵の戦い方は、とっても特殊で、しかも──勝てるときと、負けるときが極端に分かれるの」
姫発「極端……?」
呂尚「そう。騎兵は、“十勝九敗”──十の勝機と九つの敗地があるのよ。使いこなせば雷のような勝利を呼ぶけれど、間違えれば一瞬で壊滅するの」
姫発(息をのんで)「ま、まるで……刃の上を駆ける戦術ですわ……」
呂尚(真剣に指を立てて)「じゃあまず、“十勝”から話すね。たとえば──敵がまだ布陣できていないとき。旗が乱れてるとき。士気が低いとき。夕暮れで陣に戻ろうとしているとき──そういうときに両翼や後方を突けば、一撃で崩せるわ」
姫発「なるほど……つまり、騎兵は“速さと奇襲”が命なのですね……!」
呂尚「そのとおり。しかも、昼夜にわたって旗や服を変えて混乱させる“心理戦”まで使うの。平地で四面が見える地では、車と連携して一気に制圧することもできるわ」
姫発「まぁ……まるで、風と雷が合わさって、嵐になるような……」
呂尚(にっこり微笑んで)「そうね♡ でもね──それだけに“九つの敗因”も忘れちゃだめ。たとえば、敵がわざと逃げて誘い出し、車や伏兵で背後を断つ。あるいは、入る道が狭く出る道が遠い地で、少数に囲まれる。深い谷や林が動きを封じたり、泥沼で足を取られたり──一度足が止まれば、騎兵は瓦解するのよ」
姫発(手を握りしめて)「……こ、怖いですわ……。でも……知っていれば、避けられるのでしょうか……?」
呂尚「ええ、それこそが明将の務め。勝てる十、負ける九──その境界を見極める目があるなら、騎兵はどの兵よりも広く、速く、深く、戦局を動かせる存在になるのよ」
姫発(うなずいて)「はい……! わたくし、風のように駆けるその兵を、しっかり導いて差し上げたい……。たとえ、嵐の中を進むとしても……!」
呂尚(優しく頭を撫でて)「その決意があれば、どんな嵐でも勝てるわよ。姫発ちゃん♡」
太史編(ぴょこっ!)「はーい! 太史編だよっ✨ 今回は《戦騎篇》! 騎兵って、じつは“超・ハイリスクハイリターン兵”なのっ! 一緒に見ていこうっ♪」
姫発(そっと目を伏せて)「お姉様……馬の戦も恐ろしく思えましたけれど、戦車となれば、なおさら……あのような巨きな車が駆ける戦場に、どう立ち向かえば……」
呂尚(微笑みながら、静かに手を取って)「怖がらなくていいのよ、姫発ちゃん。戦車はたしかに、軍の“轟く大牙”──でもね、どんな牙でも、使い方次第で王の刃にもなるし、災いにもなるの」
姫発(きょとんとして)「使い方……?」
呂尚(軽く指を立てて)「戦場には三種の兵がいるの。歩兵・車兵・騎兵。この三つ、名前は同じ“兵”でも、役目がまるで違うのよ」
姫発「まぁ……! では、それぞれどのように違うのでしょうか?」
呂尚「ふふっ、よく聞いて。歩兵は“変に応じて動く者”。車兵は“地形を読む者”。騎兵は“裏道・奇道を知る者”。──この三つ、すべてが異なる武器であり、役割なの」
姫発(真剣に頷きながら)「つまり……“同じ兵”という言葉でも、地に立つ者・車に乘る者・馬に乗る者では、まったく考え方が違うということですのね……」
呂尚(鋭くも優しく)「その通りよ♡ それを理解していないと──戦車はたちまち“死地”に沈むの」
姫発(小さな声で)「……し、死地……」
呂尚「そう。戦車には“十の死地”と“八つの勝地”がある。どんな将も、これを知らなければ必ず破れるわ」
姫発「どうか、教えてくださいませ……わたくし、どんな死地があるのか、知っておきとうございます」
呂尚(真剣な面持ちで)「行けても戻れぬ地。険阻を越えて敵を追えば、車は疲弊する。前が平らで後が険しいなら、逃げ道は消える。沼や泥、左右非対称の坂、草深く水を渡る道、車が少なく兵と噛み合わぬ地形……さらには、大雨で道が崩れて前進も後退もできぬような“落とし穴”もあるの」
姫発(手を口元に当てて)「まぁっ……それでは、ほんとうに……進めば滅び、退けば陥る……そんな恐ろしい戦地が……!」
呂尚「でも、怖がるだけじゃダメよ。そうした“十の死地”を避けることこそが、名将の証。そして逆に、八つの好機を知っていれば、戦車は“突破の牙”に変わる」
姫発「……八つの好機……?」
呂尚「そう。敵が隊列を組み終えていないとき。旗が乱れ、人馬が揺れるとき。前後左右がバラバラなとき。兵の心が迷い、恐れ、陣が崩れるとき。夜の宿営前、長旅の直後──そういう隙に、車を繰り出せば一気に崩せるの」
姫発「……それはまるで、雷のように一瞬の好機を斬る……」
呂尚(にっこり)「そうよ、姫発ちゃん。戦車はまさに雷の兵。これを使いこなす王には、敵の包囲も、千乗万騎も、恐れるものはないわ──」
姫発(胸に手を当てて)「はい……! わたくし、戦車の道を見極める目を、必ず育ててみせます……!」
呂尚(優しく微笑んで)「うん、その志があれば、もう“王”としての一歩は踏み出せているわよ♡」
太史編(ひょこっ!)「こんにちは〜っ! 今日は《戦車篇》! あのドドドド〜!って走る巨大車兵の話だよっ さっそくポイントまとめていくねっ!」
太史編「こんにちは〜! 太史編だよっ♡ 今回は《守国篇》! 国を守るための自然の理を、超やさしく解説しちゃうよ!」