武王(姫発)「お姉様……! もしも、わたくしが敵の国へ兵を進めた時に……その敵が、わたくしの食糧を運ぶ道を断ち、さらに前と後ろから挟み撃ちにしてきたら……!? 進めば勝てませんし、守っても長くはもちません。……こんな時、どうすればよいのでしょう……?」
呂尚(太公望)「ふっ、姫発ちゃん、そういうとこ偉いわね。でも安心して。そーゆーヤバい展開、兵法ではちゃんと想定済みなのよ☆ まずね、敵国に深く攻め入る時は“地形”マジで大事! 山とか森とか、水源とか崖とか──自然の地形を味方につけるの。そこにしっかり拠点を築いて、橋や関所をがっつり守る! さらに、城とか古墳みたいな起伏のある地形も活かして布陣しとけば──\じゃーん!/ 敵はアンタの糧道(補給路)を断つことも、後ろに回ることも、ムリ♡」
武王(姫発)「まぁ……! つまり、最初の陣取りで負けてはいけないのですわね……! でも……もし、わたくしたちが大きな森や沼や広い平地を進んでいるときに──“援軍はまだ来ておりません! 敵軍がこちらへ!”なんて、急に敵が来てしまったら!? しかも……進むにも勝てそうになく、守っても崩れそうで……わたくしたち、敵に左右からも、後ろからも包囲されてしまいましたの……! どうすれば……!」
呂尚(太公望)「姫発ちゃん、そーいう時こそ冷静に! 戦いの基本は──\情報戦♡/ まず、あたしなら敵から200里離れたとこに偵察部隊(遠候)をバシッと出すね。敵の居場所や動き、完璧に把握しておくの。それができてたら、地形がヤバくても“武冲(ぶちこみ系の戦車)”でバリケードつくりながら前進する! そして主力部隊の後ろに、後衛部隊を2つ配置しておく。遠いほうは100里、近いほうは50里くらいね。で、いざって時は──\全軍で相互カバー♡/ 前も後ろも万全の救援体制♡ これで敵に囲まれても、絶対に負けないから!」
武王(姫発)「まぁ……! そうしていれば、わたくしたちの三軍は……常に完全な備えで、どんな包囲にも負けない軍になりますのね……!」
呂尚(太公望)「そ♡ だから言ったでしょ? 王者の軍は、備えの時点で勝ってんのよ♪」
姫発「これまで教わった中でも、一番ドキドキする戦いのお話でしたわ……! でも、わたくし……もう怖くありません。お姉様が教えてくださった通り、備えあれば、勝ちもある! ……ですわよね♡」
武王・姫発(小声で)「お姉様…ちょっと聞いてもいいかしら…?」
太公望・呂尚(ちらと視線を上げ)「……あぁ? 今日は何? また兵法の続き?」
姫発(まじめに)「もし、敵の国に軍を進めていたら、ちょうど酷い寒さとか、暑さとか、大雨が続いて…溝も壕も崩れちゃって、守るべきところも守れなくなって、哨戒の兵たちも怠け始めて、皆が油断してる中で…敵が夜に襲ってきたら…」
呂尚(軽くため息まじりに)「……ふん、ありがちな状況ね。つまり、三軍がぜーんぶ油断して、上下がパニックってるときに夜襲かけられたらどうすんの?って話でしょ?」
姫発(こくりと頷く)「はい…!」
呂尚(真剣に目を細めて)「兵を率いるってのはね、まず“油断しない”ってことが前提。『三軍は、備えあれば堅し、怠れば必ず敗れる』…これは兵法のイロハよ。」
姫発(メモしながら)「はい…“戒めこそ、三軍の命”ですね…!」
呂尚「夜でも垒(とりで)には絶えず“誰何(すいか)”を叫ぶ哨戒を立てて、人は旌旗を持ち、内と外が互いに合図で繋がるようにしておく。金や鼓の音を絶やさず、皆が常に外を向いて、戦えるようにするの。わかった?」
姫発「はい、お姉様!」
呂尚「でね、一屯は三千人で構成して、それぞれにしっかり“戒めと約束”を叩き込むの。…こうして備えが整ってれば、敵が来てもね、あいつらは“うわ、ガチ警戒されてる!”ってビビってすぐ帰ってくわ。」
姫発(嬉しそうに)「うふふ、お姉様の軍、かっこいい…!」
呂尚(すこし照れながら)「……バカね。で、そこからが本番。敵が油断して帰ろうとしたとこに、こっちの精鋭をぶつける。後ろからスパーンとね。」
姫発「でも…もしその敵が、お姉様のそういう行動を先に読んでて…わざと撤退するふりをして、伏兵を隠してたら…?」
呂尚(目を細めてニヤリ)「……やるじゃん、姫発。そういう想定、大事よ。」
姫発「えへへ…」
呂尚(真面目なトーンで)「そんなときは、軍を三隊に分けて慎重に追跡。絶対に敵の伏兵の“中”に入らないようにね。三隊が同時に敵に接触して、後ろを叩き、側面を突き、明確な号令で一斉にズバッと攻める。そうすりゃ、伏兵だろうが混乱して負ける。」
姫発(キラキラ目で)「……お姉様、やっぱり凄いです…!」
呂尚(ふっと優しい笑みで)「当然でしょ? 兵法を語らせたら、アタシが最強なんだから♡」
太史編「金と鼓──それは軍の呼吸」
古来、戦場では「金(鐘)」と「鼓(太鼓)」を合図に、進軍・停止・戦闘・撤退などを制御しました。本篇は、そんな“軍の生命線”ともいえる金鼓の重要性を通じて、夜襲時の防衛・反撃・追撃の基本構造を説いています。
本篇では夜襲への警戒と対処、そして敵の偽装撤退への追撃戦術が中心テーマ。姫発の「素直な学び」と、呂尚の「戦術的冷徹さ」が対比されつつも信頼で結ばれる構成。兵法としては伏兵対策と、追撃時の冷静さが肝。
武王(姫発)「お姉様……今回は、少し困った場面について、教えてくださいまし。わたくし、軍を率いて敵国へと進軍しました。でも……敵もわたくしたちも、同じくらいの兵力。強さも、ほとんど互角。両軍、陣を構えてにらみ合っているけれど、どちらも動けませんの。ここで、敵の将軍たちを怖がらせて、兵たちを不安にさせて、陣を崩して、逃げ出させたいのですけれど……どうすればよいのでしょう?」
太公望(呂尚)「ふふっ、いい質問じゃん姫発ちゃん。こういうときはね、敵の“心の動き”をつかんで揺さぶるの。まず、うちらの軍をこっそり敵の背後10里(=40キロくらい)に移動させる。そして、その道の両脇に伏兵を配置しておくの。さらにね、別働隊として戦車や騎兵を100里も遠くに派遣して、敵の前後をぐるっと回る! 旗をいーっぱい立てて、太鼓や金属の鳴り物をガンガン鳴らして、“あれ? 敵がいっぱいいる?”“なんか包囲されてる!?”ってパニクらせるの♡」
武王「わあ……! まるで幻みたいな演出ですのね!」
太公望「でしょ? そうなると、敵の将軍たちはマジでビビる。兵たちは怖くなって、誰も助け合わなくなるの。上の人も下の人も、お互いに見捨て合って、勝手に逃げ始める――これで勝ち確♡」
武王「けれど……お姉様。もし敵の陣地がすごく堅くて、両側に伏兵を置けない場合は……? それに、車や騎兵も動かしにくくて、敵が先にうちの作戦を察知して、わたくしたちの軍の気持ちがどんより沈んでしまったら……それでも、戦って勝てますの……?」
太公望「ふふっ、姫発ちゃん、ほんっとに鋭いじゃん♡ その問い、マジで兵法の核心だわ。」
太公望「そういう時はね、勝負は“準備”で決まるの。まず、戦う予定の5日前から、遠くに斥候を派遣して、敵の動きや様子をチェック! しっかり観察して、敵が動いたらすぐに対応できるように、事前に伏兵を配置しておくの。」
武王「ええっ、5日前から……!?」
太公望「そう。で、戦いが始まったら、あえてこちらの旗を遠くに置く、陣列をスカスカに見せるの。兵たちは敵の正面に並んで、戦うフリだけしておいて……“あっ、ヤバい!”って感じでいきなり後退! でも、わざと“退却の合図(金)”を出さずに、そのまま三里(約12km)下がる。」
武王「わざと、混乱させるため……ですのね?」
太公望「そうそう♡ で、敵が“よっしゃ追撃だ!”ってノってきたところに――伏兵たちが一斉に登場! 敵の両側からも、前後からも、一気にズバッと挟み撃ち! ここでうちらの軍が一斉に突撃すれば、敵はもうどうしようもないの。崩れて、逃げて、バラバラになって、完敗ってワケ♡」
武王「すごい……! わたくし、お姉様のこと……ますます尊敬いたしますわ♡」
太公望「……ふふ♡ やーん、そんな真顔で見つめられると照れるっつーの♡」
太史編「 この章の要点」
この章では、いわゆる「敗走を装った勝利戦法」の典型例が示されている。特に、撤退→伏兵→挟撃という連携は、兵法上でも非常に高等技術であり、孫子でも同様の例がある(例:作戦篇「佯北而誘之」)。精神面での揺さぶりを重視し、「戦わずして勝つ」道筋を構築している点も高評価。
春霞のたなびく国境地帯――静かに向かい合う二つの軍勢。空気は張り詰め、まるで風も息をひそめているよう。
武王(姫発)(ぐっと拳を握りしめて)「お姉様……わたくし、悩んでいますの。敵もわたくしも、互いに陣をしっかり張って、動かない。向こうが攻めてきたら、わたくしも迎え撃てますし、逆にこちらから仕掛けることもできそう……でも、こちらが攻めたら、逆に向こうも来るかもしれないじゃありませんの! そんな時は……どうすれば良いのでしょうか?」
呂尚(髪をくるくるしながら、ふっと微笑み)「なるほどね、姫発ちゃん♡ こういうのはね、マジで頭脳戦なの。ズバリ、作戦は“三分割”よ!」
呂尚「まずは軍を《前軍》《中軍》《後軍》の三つに分けて――前軍は、ガッツリ堀掘って壁も作って、守るふり♡ でも、旗や太鼓はチラ見せしといて、あくまで“守ってるだけ”って演出ね。後軍は、めちゃくちゃ食料貯めといて! でもね、それを敵にバレないようにするのがキモなの! で、中軍――ここが本命よ♡ 超精鋭だけ集めて、敵のスキを見て――バチッと奇襲♡ 敵が油断してる隙を突けば、まさかの不意打ちが成功しちゃうってワケ!」
武王「まぁ……♡ なんだかドキドキしてきましたわ。正面からの激突じゃなくて、裏をかくのですのね!」
呂尚(キリッと目を光らせ)「そ、でも――もし敵にこっちの作戦バレてたら? それも想定済みよ。たとえばさ、敵の精鋭が草むらとか隘路にバッチリ伏兵してて、あたしたちの動きを逆に狙ってくるとしたら――どうする?」
武王(ビクッとしながらも、真剣な眼差しに)「それは……とても危険ですわ。お姉様、どうするのですの?」
呂尚(唇をつんと尖らせて)「カンタン♡ 前軍を使って、毎日わざと挑発するの。“今日はこっち〜!”“やっぱりそっち〜!”って感じで。あと、老兵たちに木の枝とか引きずらせて、砂煙をバーッと上げさせて、太鼓や笛でド派手に音も立てちゃうの! これで敵は『なにコレ、どこが本命なの!?』って、マジで疲れちゃう♡」
武王「……っ♡ なるほどですわっ! 挑発して、混乱させて、こちらの動きを見えなくするのですのねっ!」
呂尚「そうそう! で、その間にこっちは本命の中軍で――ちゃっかり攻め込む♡ 敵はもうボロボロよ。三軍一斉にバチッと突撃しちゃえば、そりゃもう――勝つしかないでしょ♡」
武王(目を輝かせて)「お姉様……やっぱり天才ですの! わたくし、もっともっと学びたくなってまいりましたわ♡」
太史編「* 今日の兵法ポイント! *」
前軍は守る演出、後軍は補給役、中軍は突撃の主力♡ 奇襲成功のカギは、敵の意識を逸らす挑発と撹乱! 疲弊した敵に、一気に三軍で総攻撃! 勝利まっしぐら!
(風の強まる夕刻、渡河の準備中の陣中にて――)
姫発「お姉様……っ、大変ですわ! 渡ろうとしていた川が、急な豪雨で氾濫してしまいましたの! それに、まだ全軍が渡りきっておりませんのに、水嵩がどんどん……!」
呂尚(眉をひそめながらも冷静)「ふーん……これだから、天候ってやつは手強いのよね。でも、それは計画不足ってこと。兵法じゃね、こういうのが一番ヤバいの。」
姫発「えっ……わたくしの指揮が、甘うございましたの?」
呂尚(姫発の手をとって)「違う違う。こういう非常時に焦る必要はないの。だけどね――『器械の備えなし、訓練もしてない、地形の読みもない』って三重苦は絶対NG。王者の軍は、常に最悪を想定して備えておくのよ。」
姫発(小さく頷き)「は……はいっ。では、今すぐどう動くべきでしょうか?」
呂尚「よし、兵器の総点検からいこっか。これが『軍略』の真髄だよ。攻城には轒轀(ひんうん)、臨衝(りんしょう)――敵の城を登るには雲梯(うんてい)、監視には飛楼(ひろう)。行軍と停陣には、武冲(ぶちゅう)・犬橹(けんろ)で前後をガード。道を塞ぐときは、材士に強弩(きょうど)持たせてサイドからズバッと!」
姫発「武器が……戦術そのものになってるんですのね……!」
呂尚(ウィンクしながら)「その通り♡ さらに、陣地を守るには天羅(てんら)、武落(ぶらく)、行馬(こうば)、蒺藜(しつり)。昼は五色の旗で合図、夜は煙火や太鼓、鈸、笳で指令を伝えるのよ。」
姫発「わたくし、もっともっと勉強したいですわっ!」
呂尚(頭をぽんぽんしながら優しく)「いい子ね♡ 最後に、川を越えるには飛橋、転関、天潢(てんこう)、飛江(ひこう)……全部使いこなせば、どんな大雨だって渡れるんだから。」
姫発「どんな困難でも、兵器があれば必ず突破できるんですのね……!」
呂尚「そうよ。三軍の準備が完璧なら、主将は何も恐れる必要なし。これが――王者の軍ってわけ♡」
姫発「お姉様……兵器って、ただの道具じゃないんですのね……。それは、民を守るための“翼”なんですのね!」
呂尚(静かに頷き)「うん。それを活かせるかどうかが、君主の器ってことよ、姫発ちゃん♡」
太史編「やっほ〜! 今回は“軍略篇”! 雨でも川でもぜ〜んぶ兵器で乗り切る兵法の極意を紹介しちゃうよ♡」
どんな困難が立ちはだかっても、兵器の準備と訓練があれば勝てる! 「軍略篇」は、兵器=戦略という真理を教えてくれる神回なのです♡