姫発(きゅっと眉を寄せて)「お姉様……これは、なんと難しい戦場ですの……!」
呂尚(太公望)(地図を広げて)「そうよ、姫発ちゃん。ここは左に山、右に川。その逆が敵。互いに隘路を挟んで向かい合う――“分險”の構えってわけ」
姫発(おそるおそる)「まるで、逃げ道のない谷底のようですわ……。こんな場所で戦えば、どちらも身動きが取れなくなって……」
呂尚(真剣な眼差しで)「そう。だからこそ、配置と準備が命取り。油断すれば、一瞬で全軍崩れる。まずは“備え”からよ」
呂尚(指先で図を指しながら)「左にいるなら、右側の山を警戒。右にいるなら、左山が危ない。敵の視線を読んで、あたしたちの“背中”をまず護るのよ」
姫発(こくりと頷いて)「背を守る……つまり、“狙われる位置”を先に想定しておくのですね……!」
呂尚(うなずいて微笑む)「その通り♡ それから、川を渡るなら舟が要るけど、もし無ければ《天潢(てんこう)》っていう即席の筏を使うのよ。でも、渡ったあとはすぐ道を広げて、戦える布陣に整えるのが先決!」
姫発(不安げに)「道も狭く、兵も多く……もし混乱してしまったら?」
呂尚(指をピンと立てて)「だから、《武冲(ぶしょう)》っていう戦車で前後を固めて、そこに強弩(きょうど)兵を配置。さらに要所には“車で作る城”を築くの。高く旗を掲げた“軍城”よ♡」
姫発(ふと顔をあげて)「……でも、それだけ堅く守っていても、戦えば兵が疲れてしまいますわ。交代は、どうすれば?」
呂尚(にっこりと)「交代こそが、勝利の鍵。三千人単位で分けて、輪番で戦わせる。戦った者は休み、休んだ者が出る。これを繰り返して、勝つまで止めない。それが“分險の極意”よ♡」
姫発(胸に手を当てて)「……なるほど……山と水に挟まれていても、考え方ひとつで突破口は開けるのですね!」
呂尚(頭を撫でながら)「ふふっ、そうよ。状況が苦しいときほど、兵法の力が輝くの。――だから、どんな險地でも恐れないで。あたしが、ずっと一緒にいるから♡」
姫発「隘路に怯えていたわたくし……お姉様のおかげで、道が見えましたの」
呂尚「その目に迷いがなくなれば、もう勝ったも同然よ♡」
薄曇りの空の下、黄土の丘に風が吹きつける。姫発は小さく拳を握りしめ、お姉様の背に問いかけるように目を向けた。
姫発(うつむきながら)「お姉様……もし、わたくしの軍が少なくて、敵は何倍もの兵を擁していたら……どうすれば良いのでしょう? 勝てる道など、あるのでしょうか……?」
呂尚(太公望)(ゆっくりと振り返り、やさしく微笑んで)「あるわよ、姫発ちゃん♡ あたしたち、少ない兵でだって勝てるの。その方法、ぜーんぶ教えてあげるから、ちゃんと聞いてね?」
姫発(ぱっと顔を上げて)「はいっ、お願いしますっ!」
呂尚「まずね、少ない兵で多勢を撃つときは――“日暮れ”と“伏兵”と“隘路”を使うのよ!」
姫発「日暮れと……伏兵と……?」
呂尚(指を立てて)「そう。日が落ちる時間を狙って、草むらに伏せておくの。敵が細い道を通るとき、ばちーん!と待ち伏せ攻撃♡」
姫発(メモを取りながら)「ふむふむ……狭い道を選んで、夕暮れに……」
呂尚(急に真剣な顔で)「でも、もし草もない。隘路もない。日もまだ高い。そして……大国も、味方もいない。そんな絶望的な状況だったら、どうすると思う?」
姫発(顔をこわばらせて)「そ、それは……も、もう……だめですわ……!」
呂尚(すっと姫発の頬に手を添え、優しく)「だめじゃないわ、姫発ちゃん♡ そのときこそ、“智謀”の出番よ」
呂尚(指先をくるくる回して)「まず、敵将の心を揺さぶるの。嘘の情報、ニセの部隊、偽りの道筋――“こっちが本隊よ~”ってフリをして、敵を遠回りさせるのよ。そしたら、ちょうどいい時間に、ちょうどいい場所に誘導できる♡」
姫発(目を輝かせて)「わたくしの思うように……敵を、動かすのですのね!」
呂尚「そう。敵が水を渡りきってない。宿営地にたどり着けてない。そんなバラバラな瞬間を狙って、――伏兵が左右から! 馬車と騎兵が前後から! その一撃で、敵将はパニック♡ 軍は混乱して、いくら兵が多くたって意味なし、ってわけ♡」
姫発(頬を赤らめて)「お姉様……かっこいい……!」
呂尚(照れ隠しに髪をくるくる)「まぁ、あたし天才だから?♡ それにね、戦うだけじゃないの。外交っていう手段もあるのよ」
姫発「外交……ですか?」
呂尚「うん。大国の王様には、丁寧にお願いする。近くの国の将軍には、お礼とともに味方になってもらう。そのためには――“おカネはたっぷり、言葉はへりくだって”ってね♡」
姫発(こくんと頷いて)「なるほど……お金と礼節ですのね……!」
呂尚(ニッと笑って)「そう! それがね、“弱者の武器”なのよ♡」
姫発「少ない兵でも……工夫次第で勝てるのですね……! わたくし、勇気が湧いてまいりましたわ!」
呂尚「うん……その調子♡ 少なくても、負ける理由にはならない。勝てるかどうかは――“知恵と決意”次第よ、姫発ちゃん♡」
太史編(ぴょこっ)「こんにちは~! 今回は《少衆篇》のまとめだよっ!」
武王(姫発)「お姉様……。もし、もしも……我が軍が敵国の奥深くに進軍して、そして川を挟んで敵とにらみ合う状況になったら、どうすればよろしいのでしょうか? 敵軍は豊かで兵力も多く、我が方は貧しく少ない……。渡河して攻め込もうにも前に進めず、長期戦に持ち込もうにも糧食が底を尽きてしまいます。しかも……この地は塩気の強い荒れ地で、まわりに村も森もなく、牛馬に草を与える場所もなくて……三軍ともに、掠奪も放牧もできないのでございますの……。このようなとき、わたくし……どうすれば……?」
武王の頬にはうっすらと疲れの影。指先で地図をなぞりながら、呂尚の袖をきゅっと引いた。
呂尚(太公望)(静かに頷いて)「ふむ……そーゆー状況なら、そもそも戦う以前の問題って感じ? 三軍は戦の備えができてない、牛馬も餌が無くてヘロヘロ、兵士たちもお腹ペコペコってヤバくない? そしたらさ――もう選択肢はひとつ。敵を騙して、さっさと撤退。それが最善策なのよ。そのうえで、追撃されないように伏兵もちゃんと置くこと!」
武王「あっ……に、逃げるのですか……?」
呂尚「うん、ここで粘っても全滅コース。てか、そんな土地に居座ってどーすんの。騙し討ちと伏兵は兵法の華よ? アンタにはまだ早いかもだけど♪」
武王(首をかしげながらも頷いて)「では……もし、敵が騙されてくれませんでしたら? 我が軍の兵たちは混乱して、敵は前後から襲ってくる……三軍は逃げ惑い、陣形も崩壊してしまいます……」
呂尚「やれやれ……それ、想定済みよ♪ 敵を惑わすには、金銀財宝で釣る! これ鉄則。それも――敵の使者を買収して、情報を誘導するのがミソってわけ。しかもね、やるなら精密に、バレずに、マジで繊細にやんないと逆効果だから、そこは慎重にね?」
武王(息を呑み、唇を噛む)「それでも、敵がこちらの伏兵に気づき……本軍を動かさず、わずかの部隊で渡河して攻めてきたら……? その一部隊の動きに、我が軍は動揺して、三軍みな恐れおののくかもしれません……」
呂尚(眼差しは真剣そのものに)「OK、それも読んでる。まずは、我が軍を“四武衝陣(よんぶしょうじん)”に配置して、戦いやすい地形を押さえる! そして、敵が全軍渡りきるのを待って、そこから伏兵発動! 後方から襲撃、左右からは強弩(つよゆみ)でバッサバッサ射かける。――もうそれ、勝ちパターン入ったってコトよ☆」
武王「そ、そんな陣形が……」
呂尚「さらによ。戦車と騎兵を“鳥雲の陣”に配置して、前後警戒バッチリにしとくの。敵が小部隊との交戦に気を取られてる隙に、伏兵が本軍の後ろを襲う。鳥雲の陣で左右からガンガン攻める……はい、将軍逃走コース確定ッ!」
武王(瞳が輝いて)「“鳥雲の陣”とは……?」
呂尚(笑って)「あたしの命名だけど、カッコよくない? 鳥が散って、雲が集う――つまり、散開して機動し、集まって殲滅! 兵の配置も自在に変化させる。これぞ“奇”の用法ってやつよ!」
武王「ああ……なんて麗しき兵法の機微……!」
呂尚(ウィンクをひとつ)「今のアンタなら、理解できるって思ってたわ♪」
太史編「鳥雲澤兵篇は、沼地や河川地帯での対敵戦術に特化した内容です。敵が豊かで兵も多く、味方が貧しく劣勢な時、どう生き延びるか?」
春風なお冷たき山風が吹く――岩山の峻嶺に立つ姫発の顔には、不安と決意の入り混じった表情が浮かんでいた。
武王(姫発)「お姉様……この山、なんだか怖いですわ。高くて、木もなくて、しかも四方から敵が来そうで……。こんな場所で、どうやって戦えばよいのかしら……?」
呂尚(太公望)(真剣な表情で)「いい質問ね、姫発ちゃん。こういう場所に軍を置くの、ホント危険なの。山の上にいれば孤立するし、下にいれば包囲される――。だから、ここでは“鳥雲の陣”ってやつを使うのよ!」
武王「と、鳥雲……の陣?」
呂尚(頷きながら)「そ。雲のように柔らかく、鳥のように俊敏に構える布陣って意味。山の陰にも陽にも、左右どちらにも、ぜーんぶ気を配るの。左に陣を張ったら右を警戒、陰にいれば陽を守る――そんな感じにね♡」
武王(一生懸命にメモを取りながら)「……“左にあれば右を備え、陽にあれば陰を備えよ”。ですねっ」
呂尚「うん、それだけじゃないよ。敵が登って来れそうな道には、強い部隊を配置する。それに、谷や大通りみたいな場所には、戦車を並べて通せんぼ♡」
武王(ふと顔をあげて)「つまり、敵が来そうなところ全部に備えておくのですね……!」
呂尚(満足そうに微笑んで)「さすが姫発ちゃん♡ 鳥雲の陣さえ張れれば、こんな山の中でも絶対にやられない。逆に、うまく使えばこっちが勝てるのよ♪」
武王「お姉様……鳥雲の陣、まるで翼を広げたようで……とても優雅で強いですわねっ」
呂尚「ふふっ、姫発ちゃんに似合う陣形よ♡ しっかり覚えて、いざって時に使える王様になろうね」
太史編「やっほ〜! 今回は《鳥雲山兵篇》! テーマはズバリ、山の上でどう戦うかだよっ!」
武王(姫発)(怯えた声で)「お姉様……っ! わたくしの軍、いま敵の領土深くへ進んでいたところ……突然、ものすごい大軍が現れて、左右から包囲してきたのです! 敵の戦車も騎兵も、とても猛々しく……わたくしたちの三軍は動揺して、逃げ出す者まで……! 止めることができません……どうしたらよいのでしょう……?」
呂尚(太公望)(静かに目を細めて)「……それは、まさに《敗兵》の兆しね。でも、安心して姫発ちゃん。善く用いる者ならば、そこから《勝ち》を掴める。けれど、策を誤れば――その軍は滅ぶ。この差は、紙一重よ。」
武王(胸に手を当てて)「わたくし……滅びたくありませんっ……っ 民のためにも、この手で“勝ち”を掴みたいです……! どうすれば……!」
呂尚(真剣な表情で)「ならば、聴いて。材士(すぐれた兵士)と強弩(強弓部隊)を集めて、戦車と騎兵で両翼を編成しておくの。そして、彼らには《常に本軍から三里ほどの距離》を保たせて動かす。なぜなら──敵が追撃してきたとき、その車騎部隊で敵の左右をバチッと奇襲するためよ♡ それで敵は混乱し、逃げ出す兵も止まり、戦列も整え直せるの。」
武王(目を見開いて)「まぁ……っ! 敵の包囲に対して、こちらの動揺した軍を立て直す方法が……っ! お姉様、まるで天の知恵でございますわっ!」
武王(さらに眉をひそめて)「ですが、お姉様……もし今度は敵の方が車騎で押し寄せてきたら? 敵は多数、こちらは少数……しかも、敵軍の整列は美しく、士気も高い……。こちらの兵は萎縮し、陣を整えることも出来ません……! そんな時は、いったいどうすれば……?」
呂尚(指先を唇に当てて)「フフ、いい質問ね♡ そんなときは、まず──精鋭の弓兵を左右に伏せて配置するの。そして戦車と騎兵は、かっちりと堅く陣を組ませて待つ。するとね、敵軍がその伏兵の手前を通る瞬間が来るわ。そのとき──」
呂尚(キリッと目を光らせ)「左右の伏兵が、一斉に矢を放つの! さらに、戦車と騎兵が一気に突撃! 前からも後ろからも! 敵が多くても、混乱と動揺が広がれば、その将軍すら逃げ出すしかないわよ♡」
武王(両手を胸に握りしめて)「わたくし、もう震えていたのが嘘のよう……お姉様がいる限り、どんなに強い敵でも、きっと乗り越えられますわっ!」
呂尚(微笑みながら)「ふふっ……あたしも、姫発ちゃんを信じてるから♡」
太史編(ぴょこっ♡)「今回は《敵武篇》! なんと《三節構成》だよ〜! それぞれ違う危機に、ちゃんと対応策があるのっ!」
太史編(ぴょこんと登場!)「やっほー! 今回は《分險篇(ぶんけんへん)》だよ〜☆」
ポイントまとめ
まとめ