武王(緊張しながら)「お姉様……ついに、わたくしの軍にも十万の兵が集いましたの……。でも、これほど多くの人々を一糸乱れず動かすなんて、果たしてできるのか不安ですわ……」
呂尚(優しく微笑みながら)「ふふっ、心配しないで姫発ちゃん♡ 三軍を指揮するには、ちゃんと順序立てて“教えて”“練って”“戦わせる”ってステップがあるのよ。教戦って言うの」
武王(目を輝かせて)「きょうせん……教えて戦う、でございますのね!」
呂尚(語調を引き締めて)「そうよ。まずね、将は軍中で“金鼓”──つまり、金属の打楽器と太鼓──を用いて号令を整えるの。これは進退のリズムを合わせるための音律。ひとつひとつの合図に意味があるの」
武王(小首をかしげて)「太鼓の音で兵たちを動かすのですね……可愛らしく思えますけど、戦場では命がかかっているのですわよね」
呂尚(頷きながら)「その通り。だから、教練はこうやって進めるの──まず一人の兵を鍛える。そしてその一人が出来たら、十人で合わせる。十人出来たら、百人で合わせる。百人、千人、万人……そして百万、すべてが一致して動くようになるまで、ね」
武王(ぽつりと呟くように)「ひとりから、百万へ……。まるで、わたくしの夢もそうですわ……」
呂尚(姫発の頭を撫でながら)「夢も軍も、一歩ずつ積み重ねていくものよ。ちゃんと育てていけば、いつか全土を制する百萬の軍にもなるの。だからこそ、教戦は大事なのよ♡」
武王(顔を赤らめて)「……お姉様、わたくし、必ず教戦を学びますわ。兵たちと心を通わせ、一糸乱れぬ軍を築いてみせますの……!」
呂尚(満足げに)「えらい♡ その決意こそ、百万の軍の“旗”よ」
武王「お姉様……兵法って、鍛えれば鍛えるほど“わたくしの鏡”になるのですね……♡」
武王(うっとりと目を伏せて)「お姉様……兵を選ぶのって、ただの筋力や体力だけじゃないんですのね? 人の志とか、心に燃える想いとか……そういうものが、軍を強くするのでしょうか……?」
呂尚(優しく微笑んで)「ふふっ、さすが姫発ちゃん♡ 鋭いところに気づいたわね。実はね──兵士たちの“内に秘めた動機”こそが、戦場での真の強さを決めるのよ」
武王(目を輝かせて)「まぁ……! では、教えてくださいませ! わたくしも、お姉様のように兵の心を見抜けるようになりたいのです!」
呂尚(真顔で語り始める)「兵の訓練とは、ただ武器を振るうだけではないの。それぞれの素質や背景に応じて、最適な隊に配属することが──軍全体の力を最大限に引き出すカギになるのよ」
武王(そっと両手を重ねて)「なんて……熱くて、切なくて、力強いのでしょう……! それぞれの心に、物語があるのですわね……!」
呂尚(頷きながら)「そう。軍とはただの鉄の塊じゃない。一人ひとりが──生き様を持っているのよ。だからあたしは、兵の名簿を見るとき、必ず“心”も読み取るの」
武王(潤んだ瞳で)「……わたくしも、そんな王になってみせます。皆の想いを知り、彼らの運命を導ける王に──!」
呂尚(微笑んで姫発の手を取って)「ええ……きっとなれるわよ、あたしの誇りの妹♡」
太史編(ちょこんと登場)「やっほーっ☆ 今回は“練士”っていう、兵の分類について解説するねっ!」
姫発(不安げに)「お姉様……このごろ、わたくし、心配になってしまうのです。もし戦場で敵が強大で、戦車や騎兵がものすごい勢いで迫ってきたら──わたくしたち、どうすればよいのでしょう……?」
呂尚(やさしく微笑みながら)「あらあら、姫発ちゃんったら♡ でもそれ、とっても大事なことよ。戦にはね、“先鋒”っていう──一番槍の部隊がいるの。いち早く敵の動きを察して、チャンスが来たときだけ、一撃必中で討ちかかるのよ」
姫発(真剣に)「では、その“チャンス”とは……いかなるとき?」
呂尚(静かに目を伏せ、低く語り始める)「それを見極めるために、敵の“十四の変”を観察するの」
姫発「十四も……!? どれも覚えなければ、ですね……!」
呂尚(指折り数えながら)「そう──敵が新たに集まったばかりのとき、食事してないとき、天候が悪いとき、地形が不利なとき……」
姫発「そ、それだけじゃないですわよね……!」
呂尚(やや険しい声で)「疲れてるとき、油断してるとき、長旅の途中、指揮官が不在のとき……川を渡る最中、混乱しているとき、狭道に入ってるとき、陣形が乱れていないとき、そして──心が怯えているとき」
姫発(ぎゅっとスカートを握って)「十四……どれも、わたくしが軍を率いるようになったら、ぜったいに見落とせないことばかりですわね……!」
呂尚(ふっと笑って)「そのときは、あたしが横でちゃんと支えてあげる♡ でも──“見抜く”のは王の責務。姫発ちゃんなら、できるわ」
姫発(頬を赤らめて)「お姉様……わたくし、戦場に立つときは、この十四の変、必ず心に刻みます!」
太史編(ぴょこっ)「は〜い! 今日は《武鋒篇(ぶほうへん)》っていう“先鋒隊”のお話だよっ!」
春の霞がただよう野営地。姫発は作戦図を前に小さなおでこにしわを寄せている。
姫発「お姉様……今回の戦、三軍を分けて進軍いたしますのね? でも――それぞれ違う場所にいる軍を、決まった日にぴったり集めて、一緒に戦うなんて…… そんなこと、できるのでしょうか? みんな迷子になってしまいませんの?」
呂尚(にこっと笑い、髪をくるくる)「あら♡ だからこそ将の采配がモノを言うのよ。 あたしたちがやるのは、ズバリ――“分兵”作戦ってやつ!」
呂尚「まずね、総大将があらかじめ戦場の場所と日付を決めるの。 “この日、この城を攻める!”ってハッキリ決めてから―― すぐに檄文(げきぶん)っていう通達を、ぜ〜んぶの将軍たちに配るのよ!」
姫発(目を輝かせ)「なるほど……“○月×日、〇〇城で集合ですわよ〜!”と、ちゃんとお手紙で……♡」
呂尚「そ。しかもただの手紙じゃなくて、“この日、この時刻、絶対来い”っていう軍律つき。 “到着が早かったらご褒美、遅れたら――斬首!”ってね♡」
姫発(ビクッ)「お、恐ろしいですが……遅刻は禁物、ですのねっ……!」
呂尚「でしょ? でもこうすることで、三軍の誰もが遅れずにやってくる。 遠くの部隊も、がんばって走ってくるの♡ こうやって、全軍が一斉に集まって、一気に攻め込む! これが、分兵を成功させるカギってわけ♡」
姫発「わたくし……そんなぴったりな連携、実現できるなんて、びっくりですわ……!」
呂尚(そっと肩を抱きながら微笑んで)「ふふっ、大丈夫よ姫発ちゃん♡ あたしがきっちり采配してあげるから、心配いらないわ」
太史編(元気に登場)「今回は“分兵”のお話! 軍隊を分けて動かして、でもちゃんと集まる戦法だよ〜!」
木洩れ陽が揺れる森の奥――小鳥のさえずりが、まるで戦場に訪れた静けさのように響いていた。
姫発(ぴた、と立ち止まり)「お姉様……。森の中で戦うというのは、とても難しそうですわ……」
呂尚(太公望)(静かに頷き)「うん。林中の戦大型いってのは、ふつうの平地戦より数段ムズいのよね。でも――ちゃんとやり方があるのよ。教えてあげる♡」
姫発(真剣な表情で頷いて)「お願いいたします……!」
呂尚「まずは、三軍をそれぞれ《衝陳》っていう陣形で分けて配置するの。これはね、敵に当たってもすぐ反応できる、いわば“突撃型”のフォーメーションって感じ!」
姫発「まぁ……! 森の中でも、陣形はとっても大切なのですね……!」
呂尚「そう♡ で、配置する場所も大事。“便兵所處”――つまり、動きやすくて見通しの利くところを選ぶの。外側には弓と弩、内側には戟と盾を配置して、バランスのとれた布陣にするわ」
姫発(ふむふむとメモをとり)「弓と弩が“外側”、戟と盾が“内側”…。はいっ、覚えましたわっ!」
呂尚(木の枝を手に取り、地面に描きながら)「それから、林の中ではね……道を切り拓くの。草木を刈って道を広げて、旗を高く掲げて、部隊の位置がバレないように動くのよ」
姫発(小さく息を呑んで)「森の中でも、隠れているようで実は“見せるべきもの”はしっかり見せるのですわね……」
呂尚(ニヤリと微笑んで)「その通り♡ 旗は高く、でも兵の動きは静かに、慎重に。敵にこちらの“意図”を悟らせないってことが、森の戦いでは特に大事なのよ」
姫発(顔を上げて、強く頷き)「お姉様……。林戰って、まるで“静かなる嵐”のようですわね……」
呂尚(その言葉に目を細めて)「ふふっ……姫発ちゃん、いい感性してるじゃない♡」
呂尚「もし木がまばらな場所だったら……そこでは《騎兵》を使うの。その背後に《戦車》を配置して、隙を見て一気に攻める!」
姫発「なるほどっ! 木の多さに応じて兵の種類を変えるのですねっ!」
呂尚(キリッと指を立てて)「でも、林の中って進みにくいし、伏兵がいっぱい隠れてるかもだから――《衝陳》で備えて、前後の守りもバッチリね!」
姫発「敵が多くても、こちらが素早く動ければ、勝てますのね!」
呂尚(そっと微笑んで)「そう。敵がいくら多くても……こちらの布陣と心構えが整っていれば、絶対勝てるわ♡ そしてね……戦った兵たちは、ちゃんと休ませてあげるの。交代で戦って、交代で休んで……勝つまで繰り返す。それが、森の中で勝つ“林戰の紀(き)”――つまり、鉄則ってわけ♡」
姫発(胸に手を当てて)「わたくし……今なら、森の中でも戦える気がしてきましたわ……!」
呂尚(優しく姫発の肩を抱き寄せて)「大丈夫よ。あたしがそばにいるもん♡」
姫発(しみじみと)「森の中にも、こんなにも深い戦法があるのですわね……。お姉様から学べて、本当に良かった……♡」
呂尚(優しく微笑んで)「ふふっ、そう思ってくれるなら、あたしも嬉しいわ♡ 姫発ちゃん、どこでだって戦える立派な王様になれるわよ」
太史編「やっほー!太史編だよ♡ 今日は《林戰篇》、つまり森の中での戦いのことを分かりやすく解説しちゃうね!」
太史編(にっこり笑って)「ということで、林戦は“静と動の駆け引き”がカギなんだね♡ ちゃんと備えて、柔軟に戦えば――敵将だって逃げてっちゃうかもっ♪」
太史編(ぴょこんと登場☆)「こんにちは〜! 今日は《教戦篇》だよっ。大軍をまとめるコツ、ぜんぶ詰まってるのっ!」