姫発(おずおずと)「お姉様……この間“騎士”の選び方を教えていただきましたけれど……。その、騎兵って……どうやって戦うのでございましょう……? わたくし、ちょっぴり、いえ……かなり不安で……」
呂尚(柔らかく笑って)「ふふっ、姫発ちゃんったら可愛いんだから♡ でも不安になるのも当然ね。騎兵の戦い方は、とっても特殊で、しかも──勝てるときと、負けるときが極端に分かれるの」
姫発「極端……?」
呂尚「そう。騎兵は、“十勝九敗”──十の勝機と九つの敗地があるのよ。使いこなせば雷のような勝利を呼ぶけれど、間違えれば一瞬で壊滅するの」
姫発(息をのんで)「ま、まるで……刃の上を駆ける戦術ですわ……」
呂尚(真剣に指を立てて)「じゃあまず、“十勝”から話すね。たとえば──敵がまだ布陣できていないとき。旗が乱れてるとき。士気が低いとき。夕暮れで陣に戻ろうとしているとき──そういうときに両翼や後方を突けば、一撃で崩せるわ」
姫発「なるほど……つまり、騎兵は“速さと奇襲”が命なのですね……!」
呂尚「そのとおり。しかも、昼夜にわたって旗や服を変えて混乱させる“心理戦”まで使うの。平地で四面が見える地では、車と連携して一気に制圧することもできるわ」
姫発「まぁ……まるで、風と雷が合わさって、嵐になるような……」
呂尚(にっこり微笑んで)「そうね♡ でもね──それだけに“九つの敗因”も忘れちゃだめ。たとえば、敵がわざと逃げて誘い出し、車や伏兵で背後を断つ。あるいは、入る道が狭く出る道が遠い地で、少数に囲まれる。深い谷や林が動きを封じたり、泥沼で足を取られたり──一度足が止まれば、騎兵は瓦解するのよ」
姫発(手を握りしめて)「……こ、怖いですわ……。でも……知っていれば、避けられるのでしょうか……?」
呂尚「ええ、それこそが明将の務め。勝てる十、負ける九──その境界を見極める目があるなら、騎兵はどの兵よりも広く、速く、深く、戦局を動かせる存在になるのよ」
姫発(うなずいて)「はい……! わたくし、風のように駆けるその兵を、しっかり導いて差し上げたい……。たとえ、嵐の中を進むとしても……!」
呂尚(優しく頭を撫でて)「その決意があれば、どんな嵐でも勝てるわよ。姫発ちゃん♡」
姫発(そっと目を伏せて)「お姉様……馬の戦も恐ろしく思えましたけれど、戦車となれば、なおさら……あのような巨きな車が駆ける戦場に、どう立ち向かえば……」
呂尚(微笑みながら、静かに手を取って)「怖がらなくていいのよ、姫発ちゃん。戦車はたしかに、軍の“轟く大牙”──でもね、どんな牙でも、使い方次第で王の刃にもなるし、災いにもなるの」
姫発(きょとんとして)「使い方……?」
呂尚(軽く指を立てて)「戦場には三種の兵がいるの。歩兵・車兵・騎兵。この三つ、名前は同じ“兵”でも、役目がまるで違うのよ」
姫発「まぁ……! では、それぞれどのように違うのでしょうか?」
呂尚「ふふっ、よく聞いて。歩兵は“変に応じて動く者”。車兵は“地形を読む者”。騎兵は“裏道・奇道を知る者”。──この三つ、すべてが異なる武器であり、役割なの」
姫発(真剣に頷きながら)「つまり……“同じ兵”という言葉でも、地に立つ者・車に乘る者・馬に乗る者では、まったく考え方が違うということですのね……」
呂尚(鋭くも優しく)「その通りよ♡ それを理解していないと──戦車はたちまち“死地”に沈むの」
姫発(小さな声で)「……し、死地……」
呂尚「そう。戦車には“十の死地”と“八つの勝地”がある。どんな将も、これを知らなければ必ず破れるわ」
姫発「どうか、教えてくださいませ……わたくし、どんな死地があるのか、知っておきとうございます」
呂尚(真剣な面持ちで)「行けても戻れぬ地。険阻を越えて敵を追えば、車は疲弊する。前が平らで後が険しいなら、逃げ道は消える。沼や泥、左右非対称の坂、草深く水を渡る道、車が少なく兵と噛み合わぬ地形……さらには、大雨で道が崩れて前進も後退もできぬような“落とし穴”もあるの」
姫発(手を口元に当てて)「まぁっ……それでは、ほんとうに……進めば滅び、退けば陥る……そんな恐ろしい戦地が……!」
呂尚「でも、怖がるだけじゃダメよ。そうした“十の死地”を避けることこそが、名将の証。そして逆に、八つの好機を知っていれば、戦車は“突破の牙”に変わる」
姫発「……八つの好機……?」
呂尚「そう。敵が隊列を組み終えていないとき。旗が乱れ、人馬が揺れるとき。前後左右がバラバラなとき。兵の心が迷い、恐れ、陣が崩れるとき。夜の宿営前、長旅の直後──そういう隙に、車を繰り出せば一気に崩せるの」
姫発「……それはまるで、雷のように一瞬の好機を斬る……」
呂尚(にっこり)「そうよ、姫発ちゃん。戦車はまさに雷の兵。これを使いこなす王には、敵の包囲も、千乗万騎も、恐れるものはないわ──」
姫発(胸に手を当てて)「はい……! わたくし、戦車の道を見極める目を、必ず育ててみせます……!」
呂尚(優しく微笑んで)「うん、その志があれば、もう“王”としての一歩は踏み出せているわよ♡」
太史編(ひょこっ!)「こんにちは〜っ! 今日は《戦車篇》! あのドドドド〜!って走る巨大車兵の話だよっ さっそくポイントまとめていくねっ!」
姫発(小首を傾げて)「お姉様……先ほど、戦車に乗る兵のことを教えていただきましたけれど……馬に乗る方々も、やはり選び方がございますの?」
呂尚(優しく微笑んで)「ええ、もちろんよ姫発ちゃん♡ 馬に乗って戦う“騎士”たちは、軍の“閃光”──動く刃よ。選ぶ基準も一切の妥協は許されないわ」
姫発(まなざしを輝かせて)「まぁ……! その方々は、どんな風に選ばれますの? わたくし、とっても知りとうございます!」
呂尚(指を立てて真剣に)「まず、年齢は四十歳以下、そして身長は七尺五寸以上──つまり、背が高くて若く、しなやかな筋骨を備えていなければダメ」
姫発(うっとりと)「まるで……風のようなお姿ですわね……」
呂尚「でもね、見た目だけじゃダメなの。強靭な体躯、俊敏な脚、電の如き反応速度──そうでなければ、馬上戦なんて務まらない」
姫発「たしかに……馬に乗って走りながら矢を放つなど、並大抵のことでは……」
呂尚(うなずいて)「その通り。疾走する馬上から彀弩を引き、前後左右に矢を放ち、敵の包囲を突き崩す力が必要なの。それだけじゃない──溝を越え、丘を登り、濡れた大地を駆け抜け、深い川をも渡る。あらゆる障害を、馬とともに突破できることが条件よ」
姫発(思わずため息をついて)「まぁ……なんて……なんて勇ましい……」
呂尚「そしてね姫発ちゃん。そういう騎士こそ──敵の大軍を混乱させる“飛将”となる存在なのよ。このような者を、“武騎の士”と呼ぶの。そして──絶対に、厚遇しなきゃいけない」
姫発(小さな手を胸に当てて)「……はい。わたくし、覚えておきますわ。馬の背にて戦う者も、鋼の如き忠義を抱いてくださる方々……。わたくし、その方々に恥じぬ王になってみせます!」
呂尚(そっと頭を撫でて)「ええ、きっとね……♡ 姫発ちゃんなら、誰よりも立派な“王”になれるもの」
太史編(ぴょこっ!)「こんにちは〜っ! 太史編だよ〜 今回は《武騎士篇》! 馬に乗って戦うエリート中のエリート、“騎兵さん”の選び方を見ていくよっ!」
武王(姫発)(小首をかしげて)「お姉様……戦車って、あんなに大きくて怖そうなのに、乗ってる方々はとても凛々しくて……。どうやって、ああいう戦士をお選びになるのかしら?」
呂尚(太公望)(にっこり微笑み、指を立てて)「ふふっ、それはとっても大事な質問ね♡ 戦車を操る者は、軍の“牙と爪”──だから、選び方は一切の妥協なし。基準は、これよ!」
姫発(ぱちぱちとお手を打って)「ぜひ教えてくださいませっ!」
呂尚(真剣な瞳で語る)「まず年齢は四十歳以下。若くてしなやか、そして──身長は七尺五寸以上。つまり、背が高くて堂々としていることが条件なの。ただの背伸びじゃダメ。走って疾駆する馬を追いかけられて、そのまま跳び乗れるくらいじゃないと」
姫発(きゃっ、と驚いた様子で)「と、跳び乗る……!? まるで武芸の達人のようですわ……」
呂尚(うなずいて続ける)「そうよ。それだけじゃないわ。戦車の上では、前後左右、さらには上下──あらゆる方向に機敏に対応できることが大切。さらに、旗を扱うのも戦車士の役目。部隊の指揮にも関わるの。それに……“八石”の弩を引ける腕力も要るわよ♡」
姫発(目を丸くして)「八石……!? それって、とっても強い弓ではございませんか?」
呂尚(笑ってうなずく)「そう♡ そして、その弩を前後左右すべての方向に正確に射られるよう、日々訓練を積んでるのよ。そういう人こそが、“武車士”──戦車の華にして、守護の刃」
姫発(うっとりと見つめて)「……まるで、鋼鉄の中に咲く花のよう……。わたくし、そんな戦士たち、とても尊敬いたしますわ♡」
呂尚(微笑みながら)「だからこそ、大切にしなきゃいけないの。彼らには相応の厚遇をして、その志と忠誠に報いないとね──それが王の責務よ、姫発ちゃん」
姫発(胸に手を当てて)「はい……! わたくし、忘れません。お姉様の教え、いつか王として……必ず!」
太史編(ぴょこっ!)「やっほー! 今回は《武車士》のお話だよ〜! 大きな戦車に乗って大活躍する精鋭戦士たちなのっ!」
姫発(おっとりと顔を上げて)「お姉様……ご相談がございますの。たとえば、わたくしが戦車を一輌、敵軍の歩兵部隊に向けて出しましたなら……それって、兵卒何人分の価値がございますの?」
呂尚(涼しげに笑みを浮かべて)「ふふっ、面白い質問ね。じゃあ今日は、車と騎兵と歩兵の《バランス》、つまり“均兵”について教えてあげるわ」
姫発(目を輝かせて)「まぁ……素敵ですわ! いったいどなたが、いくつの敵と釣り合うのかしら……♡」
呂尚(真顔になって)「まずは兵種の特性を知らなきゃダメ。戦車ってのは軍の“羽翼”。ガツンと突撃して、敵の要を潰して、逃げ道まで塞いじゃう。つまり《破壊と制圧》の要ね」
姫発(こくこくと頷き)「では騎兵は……?」
呂尚(指を立てて)「騎兵は“目と刃”。偵察して、負けた敵を追って、補給線を断つのが仕事。要するに《機動と制裁》の役どころなのよ」
姫発「うふふ、どちらもカッコいいですわ……♡」
呂尚「でもね、使い方を間違えると、一騎の騎兵でさえ歩兵一人に勝てないのよ」
姫発(小声で)「まぁ……そんな……でも……お姉様は、勝てますわよね?」
呂尚(くすりと笑って)「あたしが負けるわけないじゃない。でもこれは《編制と地形》の話。だから《条件ごとの換算》を教えてあげる」
姫発(指を折って数えながら)「では……八十人の兵で、一輛の戦車に釣り合って……十人の騎兵で、一輛の車と……あぁん、わたくし、計算が追いつきません……♡」
呂尚(苦笑して)「いいのよ、覚えるのは感じで十分。次は《険しい地形》ね」
姫発(小声で)「坂道では、戦車がちょっと不利なのですね……」
呂尚「そう。だからこそ、どの兵科も《適材適所》。使いこなせば……」
姫発「天下無敵……ですわね♡」
呂尚(微笑んで)「その通り。ちなみに――十輛の戦車で千人の敵を蹴散らし、百輛なら万人すら退けるの。騎兵も、十人で百人を、百人で千人を崩すことができる。それが《武の威》よ」
姫発「まぁ、軍にも《部長》や《課長》がございますのね♡」
姫発(ふうっと息をつき)「……兵科も、陣も、こんなに細やかで……お姉様は、どこまで見通していらっしゃるの?」
呂尚「ふふ、戦場ってのは、計算と直感の両方でできてるの。大切なのは、命を預ける相手が信じられるってことよ」
姫発「はい……お姉様が教えてくださる兵法なら、わたくし、きっと間違いません!」
太史編(ぴょこっと登場)「はろろ〜! 今回は戦車と騎兵と歩兵のお値段バランス、いわゆる《均兵篇》のおはなしだよ〜!」
今日のおさらい:
太史編(ぴょこっ!)「はーい! 太史編だよっ✨ 今回は《戦騎篇》! 騎兵って、じつは“超・ハイリスクハイリターン兵”なのっ! 一緒に見ていこうっ♪」