武王「論将之道奈何――将たる者の道とは、いかなるものでしょうか?」
太公望「将には、五つの“美点”と、十の“過ち”があるわ」
武王「そのひとつひとつ、ぜひお教えくださいまし!」
太公望(静かに頷きつつ語る)「五つの美点とは――勇・智・仁・信・忠よ。」
太公望「けれど同時に、“十の過ち”を知ることも大切よ。」
武王「そ、それでは……そのような将を、敵に見つけたら?」
太公望(冷然と微笑んだ)「十の過ちを持つ者には、必ず付け入る隙があるわ。」
太公望「兵とは、国家の大事。存亡の岐路にして、命運は将に懸かっている。 将とは、国家の柱。かつての王たちがもっとも慎重に選び抜いた存在よ。」
武王「……やはり、将の選定は容易ならぬものなのですね」
呂尚「そうよ。だから――」
呂尚「よく見て、よく聞いて、よく感じなさい。 人の心を読むのが、“将を選ぶ”ってことなのよ♡」
武王「お姉さま……わたくし、がんばりますわ!」
武王(姫発)は玉座のそばで、真剣な瞳を呂尚へ向けた。
姫発「お姉さま……。わたくし、王として軍を率いることになりますのよね? でも、ただ立っているだけではダメだと……思うのですの」
呂尚(腕を組んで、ふむ、と一つ頷いた)「王が軍を率いるなら、ただの旗印じゃダメっしょ。 まじでヤバいぐらい有能な仲間たちが、あんたの“翼”にならなきゃね」
姫発(目がきらきらと輝いた)「翼……! わたくしに、翼が生えたら……きっと、空だって飛べますの!」
呂尚「いや、実際には飛ばないけどね? でも、王を支える存在は、まじで翼みたいなもんだよ」
呂尚「まず、将軍が軍を率いるには──その運命を握ってるのは自分自身ってワケ。 でも、全部ひとりでこなそうとしたら、即死するっしょ?」
姫発(ぷるぷると首を振った)「即死は、いやですの……!」
呂尚「だからこそ、通達できるヤツ、変化に対応できるヤツ、マジで使える仲間が大事。 将軍には、七十二人の補佐役が必要って言われてんの」
姫発「な、七十二人も……!? そんなにお友だち、できるかしら……!」
呂尚「お友だちっていうか、戦友? それぞれが専門職で、王の翼になる感じかな」
呂尚「……ぜえ、ぜえ……ちょっと長すぎたけど、こーゆー仲間たちが王の翼になるのよ」
姫発(ほぉ〜っと目を丸くして、そっと呟いた)「これが……わたくしの、翼……」
呂尚「そゆこと。だからあんたが王として羽ばたくなら、そんだけ信頼できる人材をそろえなきゃダメっしょ?」
姫発「わたくし……頑張ってみせますわ。お姉さまのように、堂々と…… 翼をひろげて、空を翔ける王になりますの!」
呂尚「王の翼とは、ただの飾りではない。 己が空を飛べるようにと、仲間が命を懸けて支える、真の力である」
六韜「論将篇」〜才能は光る石、磨かねば見えぬ
「良き将とは何か?」 姫発さまの問いに、ギャル師匠が語り出すのは、将才の条件。 小さな背に刻まれる、未来の王のまなざしとは……!
姫発「あのね、お姉さま……わたくし、どうしてもお伺いしたいことがございますの」
呂尚「ん、どうしたの、姫発?」
姫発「わたくし、いつか……ちゃんと“お役目”を果たせる立派な王になりたいって思ってるの。でもね、そのためには“手柄”を立てなければいけないでしょう?」
呂尚「……ふむ」
姫発「けれど、それには大きな悩みが三つあって……。ひとつは、わたくしたちの力だけじゃ、とても敵わないほどの強い相手だったらどうしようって……。ふたつめは、その敵がとても親しい家臣に囲まれていたら、きっと彼らを引き離せないって……。そして三つ目は……敵の兵たちが結束していたら、わたくしの言葉など届かないのではないかって……」
呂尚「あんた……本当に立派な悩み抱えてるじゃん。そっか、三つの“疑い”、ね」
呂尚「こういうときは、三つの柱で考えるといいわ」
姫発「三つ……でございますか?」
呂尚「うん。“状況を利用すること”──“慎重に策略を練ること”──そして“財を使うこと”。この三本柱」
姫発「なるほどですわ……!」
呂尚「まず、強すぎる相手には無理して正面からぶつかっちゃダメ。むしろ、調子に乗らせるの」
姫発「ちょ……ちょうしに、のせる?」
呂尚「うん。力をつけさせて、その力に酔わせるの。態度もデカくなって、隙が生まれる。“強すぎるものは、必ず折れる”って相場が決まってるのよ」
姫発「つまり……相手が勝手にバランスを崩すのを待つのですのね!」
呂尚「その通り! 焦らず、じっくり、ね」
姫発「では、親しい家臣を引き離すには……?」
呂尚「“親しき者”には“親しさ”で対抗するの。つまり、こっちがもっと信頼を与えて、懐柔するのよ」
姫発「まぁ……でも、敵の忠臣にそれが通じるかしら?」
呂尚「策を重ねればね。利を与え、地位を餌にし、周囲を味方につけてじわじわ孤立させる。そうすれば、どんな忠義もグラついてくる。あとは、いちばん可愛がられてる側近に贈り物やらなんやらで仲良くなって、そこから“離間”していくのよ」
姫発「人の心って……そんなに簡単に?」
呂尚「案外、ね。欲に喜ぶ者は疑いを忘れる。賢いフリしてる人ほど、簡単に落ちるものよ」
姫発「では最後の……敵の兵士たちが固くまとまっていたら?」
呂尚「民の心を手に入れるの。民が離れれば、兵は意気を失う。軍を散らすには、まず“民心”からよ」
姫発「……根っこから揺らす作戦、なのですね」
呂尚「戦いの基本ってのはね、情報を遮断して、気づかれないうちに囲い込むこと。そのうえで、大軍を叩き潰して、害を取り除く」
姫発「なんだか……とても静かで、でもとても恐ろしいのですね」
呂尚「ふふ、そうかも。女や宝、美味しい食べ物や音楽なんかで敵の王様を堕落させる。気づけば孤立し、味方も離れ、民もついてこない……そうなれば終わりよ」
姫発「……お姉さま。とっても、とっても……」
呂尚「ん?」
姫発「やっぱり、兵法って……難しくって、でも甘美ですのね」
呂尚「ふふっ、言うようになったじゃん? じゃ、次は“龍韜篇”だね。今度はもっと深い闇の話、覚悟してよ?
夕陽に照らされた書院。欄干に指を置き、文王が静かに口を開く。
文王「ねえ、呂尚──あたくし、思うのです。どうすればこの広き天下を、誰一人取り残すことなく治められるのかしら……。その道、あるのでしょう?」
呂尚(風に髪を揺らしながら)「もちろんあるわよ。あたしが“順啓”って呼んでるやり方──これはね、天下を抱くための六つのステップ。要は、どれだけ本気で“みんなを受け止める覚悟”があるかって話よ」
文王(感嘆の溜息)「まあ……それほどの高みまで至らねば、天下は託されぬものなのですね……!」
呂尚「天下ってのは、“あたしのモノ”って思った時点で、もうダメなの。天下は“みんなのモノ”。それを預かる覚悟がある人だけが、トップに立てるってワケ」
呂尚「要するに──天下の民の心は、鏡みたいなもん。あたしらがどういう存在か、ぜ〜んぶ映し返してくれるってことよね」
文王(やわらかく微笑み)「なんと慈愛に満ちた理なのかしら……。そして、なんと厳粛な覚悟が求められるのかしら……」
呂尚(照れ隠しに髪をかきあげながら)「ま、あたしに任せときなよ。うちの王様なら、ちゃんと“天下に愛される王”になれるって、信じてるから」
文王「まあ……ふふっ。なんて心強い軍師でいらっしゃるのでしょう。……ありがとう、呂尚♡」
太史編(元気に登場)「今回は“順啓篇”! 天下を治めるための心の持ち方を教えてくれるよ〜!」
静かな書院。窓の外では風に舞う花弁。文王は玉扇を静かに伏せ、呂尚を見つめる。
文王「ねえ、呂尚。戦といえば、剣や矛だけではございませんわよね? 言葉や策で敵を討つ──そのような“文伐”という手法、どのように行うべきかしら?」
呂尚(目線を上げ、真剣な表情で)「ふふん、ようやくそこに気づいたわね。あたしが“文伐”って呼ぶやり方には、ぜ〜んぶで十二のステップがあるの。ちゃんと聞いてよね?」
呂尚(口元に微笑を浮かべて)「ね? 文の戦いって、ちょっと怖いけど……効果は絶大なのよ。これらをぜんぶ使いこなせれば、剣を抜かずに天下を取れるってワケ。」
文王(感嘆の溜息を漏らし)「まあ……なんて恐ろしい、けれど精妙なお話。これこそ、まさに戦わずして勝つ道ですわね……!」
呂尚(肩をすくめつつ)「ま、あたしとしては最後の仕上げにちょこっとギャルの感覚を足してるだけなんだけどね?」
文王「ふふっ、呂尚ってば……本当に頼もしいお方ですわ♡」
太史編(元気に登場)「今回は“文伐”! 剣を使わずに、言葉と策略で敵をやっつける方法だよ〜!」
太史編(元気に登場)「今回は“論将篇”! 良き将の資質と、ダメな将の落とし穴を教えてくれるよ〜!」