軍議の間。地図を前にした姫発は、眉をひそめ、真剣なまなざしで問いを発する。
武王(姫発)(やや不安げに)「呂尚お姉様……もしも、もしもですのよ? 敵にぐるっと囲まれてしまって、退く道も、食糧を運ぶ道も断たれて……それでも、どうしても脱出しなきゃいけないときは……わたくしたち、どうすればいいのでしょう?」
呂尚(太公望)(きりっと瞳を光らせて)「――それ、まさに“天下の困兵”ってやつね。でも安心して、姫発ちゃん。そんな時こそ“スピード命”! もたもたしたら負けだけど、ズバッと動けば勝ちの芽はあるのよ!」
姫発(ハッと目を見開き)「暴用すれば勝ち、遅用すれば敗……ですわね!?」
呂尚「その通り♡ こういう時は“四武衝陣”って陣形で、戦車と騎兵をズラッと並べて、ドカーンと敵をびっくりさせるの! 一気に突き抜けて、突破するのよ!」
姫発「でも、お姉様! 突破したあと、わたくし……そのまま引き下がるのではなく、むしろ勝ちにつなげたいですの! 勢いそのままに!」
呂尚(少し微笑んで)「ふふっ、さすが姫発ちゃん。勇気ある王になる素質あるじゃん♡ じゃあ、突破したあとの戦術教えるね。左軍は敵の左をバシッと叩いて! 右軍は右を! 中央軍は……交互に前後からズドンと突くの。道の取り合いなんかしてるヒマないんだから、手早く分断して叩きましょ!」
姫発「でも、夜に動くって……ドキドキですわ。ばれませんの?」
呂尚「だからこそ“衔枚”ね。口に木の札を咥えて声を出させないの。みんな黒旗(玄旗)を持って、無音で移動。開道役には、足が速くてガッツのある子たちを前に出して。伏兵には、腕の立つ弓兵を後ろに配置。真ん中は、車騎と老弱兵で慎重に移動――四武衝陣を組んで、前後左右の防備もバッチリよ♡」
姫発「まあ……息を呑む作戦ですわ。でも敵に気づかれたら、どうしますの!?」
呂尚(真剣な眼差し)「即、突撃よ! 開道隊がズバッと前に出て、車騎はそのあとについて。伏兵はその場でピタッと止まって、追撃してきた敵を横から狙うの!」
姫発「なるほど……でも、お姉様。もし、前が川とか大きな堀だったら……渡れませんわ!」
呂尚「そういう場所、敵は逆に油断してるの。しかも守ってる兵も少ない。だから“飛江”“転関”“天潢”って渡河装置を使えばOK!」
姫発「でもでも、逃げる途中で辎重や食糧が足手まといになったら……」
呂尚(きりっと決意を込めて)「捨てるのよ。全部焼いちゃう。そして兵たちに伝えるの。“勇気出して突撃すれば生きられる。怯んだら……死ぬ”。それくらいの覚悟が、軍全体に火をつけるのよ!」
姫発(胸に手を当てて)「わたくし……覚悟、決めましたわ! お姉様と一緒なら、きっと乗り越えられます!」
呂尚「うん。でね、脱出したあとも気を抜いちゃダメ。斥候を出して、草木や丘、墓地みたいな場所に伏兵を置いて、追ってくる敵をピタッと止めるの。煙や火を使って合図して、先に出た部隊がそこに集合。また“四武衝陣”を組んで、最後まで整然と動くのよ!」
姫発「……すべてに意味があって、隙がなくて、なんて……かっこいいですわ……♡」
呂尚(デレ気味に微笑んで)「姫発ちゃんが将来どんな王になるか……楽しみすぎて、あたし、今から震えそう♡」
舞台はある日の早朝、王宮の戦術演習場。澄んだ空気の中、姫発が兵法書をぎゅっと抱えて、呂尚のもとに駆け寄ってきた。
武王(姫発)(息を弾ませながら)「呂尚お姉様っ! もし、敵にぐるっと包囲されて、前も後ろも断たれて、おまけに食糧の道まで絶たれちゃったら……わたくし、どうすればよいのでしょう!?」
呂尚(太公望)(きらりと瞳を光らせて)「――それが“困兵”ってやつよ、姫発ちゃん。四方を囲まれて、物資も絶たれて……普通なら詰み。でも、だからこそチャンスもあるのよ」
武王「チャンスですの!? この世の終わりみたいな状況なのに……?」
呂尚(鋭くも優しい笑みを浮かべて)「うん。こういう時って、“暴(はげ)しく動く者は勝つ。ぐずぐずしてると負ける”って決まってるの。まさに“疾戦”――スピード勝負ってわけ!」
武王(目をキラキラ)「わ、わたくし、もうドキドキしてきましたわっ!」
呂尚「だから部隊は“四武衝陣”に再編成よ。四方向全部に目を光らせつつ、戦車と騎兵をババーッと突撃させて、敵を混乱させるの! ビビった敵の隙を突いて、ズバッと突き抜けるのがポイント♡」
武王「“四武衝陣”……あぁ、なんだか名前からしてカッコよすぎますわっ! お姉様、突き抜けたあとも、追撃できたりするのでして?」
呂尚(にやり)「するする。脱出しても、勝機は続くわよ。左軍は左から疾(はや)く攻め、右軍は右から攻める。道なんて敵と奪い合わないでスルーして、中央軍は“前へ後ろへ”入れ替わり立ち替わり、敵をぐるぐる撹乱するの。――敵将? 逃げ出すか、袋のネズミね♡」
武王(拳を握って)「や、やはりお姉様はすごすぎますわ……っ! わたくしも、疾きこと風のごとく、民を守れる王になりますわ!」
呂尚(頬を緩めて、姫発の髪をそっと撫でる)「ふふっ、そうよ。疾戦って、ただのスピード勝負じゃなくて、敵の動揺を見抜いて、瞬時に突く“知略の技”なの。……姫発ちゃんも、だんだん将軍っぽくなってきたじゃん♡」
太史編「テーマ:疾戦(しつせん)ってなぁに?」
疾きこと、風のごとく! 困兵になったら迷わず突撃! 布陣とスピードの妙で脱出&勝利! 戦とは一瞬の機を見極める“知恵と覚悟”の勝負ですわ!
(ある星の美しい夜、軍営の天幕にて。姫発は夜空を見上げ、呂尚に問う)
姫発「お姉様……ひとつお訊ねしてもよろしいかしら? わたくし、戦の布陣には 天陣・地陣・人陣 の三つがあると聞きましたの。それぞれ、いったいどういう意味なのでしょう?」
呂尚(頬に手をあてて微笑みながら)「んふっ♡ 姫発ちゃん、なかなかイイとこ突いてくるじゃん。それは兵法における“天地人三才”ってやつよ。じゃ、あたしがバッチリ教えてあげるね!」
姫発「まぁ……ありがとうございます、お姉様♡」(小さな手を胸に当てて、わくわくした眼差し)
呂尚「まずね――日月・星辰・斗杓(とひしゃく)、つまり太陽や月、星々の運行を観て、陣形を決めるのが《天陣》。左か右か、背を向けるか正面に据えるか――この空の配置に従うことで、運も味方につけられるってワケ♡」
姫発「なるほど……星の導きに従って布陣するなんて、まるで神秘の術ですわね!」
呂尚「次に《地陣》。これは言わずもがな、丘陵・泉・川・谷とか、地形を活かした陣形よ。前後左右、どの地勢が有利かを見極めて、ズバッと配置する。たとえば高所を取るか、水を背にするか――そういう“場の力”を利用するの」
姫発「まさしく“地の利”ですわね! 戦いって、地図を読む力も大切なのですね……!」
呂尚(軽くウィンクして)「さすが姫発ちゃん、わかってきてるじゃん♡ ラストが《人陣》。これは人の力と知恵による布陣――戦車・騎馬・歩兵、それぞれの兵種をどう動かすか。さらには“武力で攻めるか” “言葉で降伏させるか”って判断もここに入るのよ」
姫発「わたくし、まだ未熟ですけれど……人の心を見極めて、戦わずして民を守れる王を目指しますわ!」
呂尚(優しく頷きながら)「それが本当の“人陣”よ、姫発ちゃん♡ 天を読み、地を測り、人を知る――この三つを合わせてこそ、兵法の真髄なんだから!」
姫発(小さく拳を握り)「はいっ! お姉様、わたくし……もっと勉強いたしますわっ!」
太史編「『三陳篇』のキホンをやさしく整理♡」
天地人――この三つを見極めてこそ、名将の一歩♡ 姫発ちゃんのように志高く、学びを重ねることで「戦わずして勝つ」理想の統治が目指せるのです!
宮廷の庭に並ぶ模型たち――戦車、矛、盾、謎の仕掛け。春の陽光に包まれて、姫発は今日も瞳をきらきらさせながら、呂尚のもとへ駆けてきた。
武王・姫発「ねえ、呂尚お姉様♡ わたくし、国を守るには何が必要か、もっとちゃんと知りたいんですの。戦のとき、軍を動かす王として、装備ってどのくらい整えるべきなのでしょう? なんとなくじゃダメで、決まりごとがあるんじゃなくて?」
呂尚「ふふっ、姫発ちゃん、いきなり核心くるじゃん♡ でもね、それってホントに超重要なテーマなの。戦って“気合い”だけじゃダメでさ、装備の数と種類――ぜんぶバッチリ決まってるんだよ。王者が軍を率いるなら、まずはそこから!」
姫発「まあ……やっぱりちゃんと法があるのね。では、お姉様、その“基準”ってものを教えてくださいませ♡」
呂尚「オッケー、それじゃまずは“1万人規模の軍”を基準にして説明いくよ!」
呂尚「まず基本!戦車は超大事。たとえば――」
姫発「震駭……!なんて強そうなお名前なの♡」
呂尚「でしょ?続いて――」
姫発「連弩……バンバン飛ぶ矢なんて、想像しただけでドキドキしますわ!」
呂尚「そして見た目も重要!」
姫発「なんてオシャレな戦車たち……お姉様、素敵すぎますわ♡」
呂尚「夜襲に備えるならこれ!」
姫発「暗闇の中でも……こんなに準備されているなんて……王ってすごいですわ……!」
呂尚「武器も種類がいっぱい!」
姫発「鉄棒に斧……本当に、たくさんあるんですのね……!」
呂尚「敵の侵攻を止めるのも兵法だよ♡」
姫発「守るにも、これほどまでの種類と戦略があるなんて……!」
呂尚「地形にも対応してるよ!」
呂尚「木を伐ったり設営したりするための工具も!」
呂尚「この編成が、“兵1万人の基本セット”ね!」
姫発(深く頷きながら)「なるほど……まさに“備えあれば憂いなし”ですわね♡ わたくし、これからは装備のことも、もっとしっかり学びますわ!」
呂尚(微笑みながら髪をかき上げて)「うん、姫発ちゃんがそうやって真面目に聞いてくれると、教えるあたしもめっちゃやりがいあるってば♡」
太史編「やっほー♡ 今回のテーマは戦の装備とその規模!
1万人の軍を動かすときって、実は兵だけじゃダメなの。戦車・障害物・投擲武器・防具・橋・工具――ぜーんぶ揃ってこそ『動ける軍』なんだよ!
しかも、昼夜・平地・山・水辺と、どんな地形にも対応できるように準備するの。武王さまみたいに“全部知ってる王”って、兵たちからもめっちゃ信頼されるよね♡」
戦とは、準備と整備の総合芸術である。
姫発のような若き王がその重みを知ること――それこそが真の「虎の巻」!
次回もお楽しみに♡
武王(膝に頬杖をついて)「ねえ、お姉様。今みたいに天下が平和なとき、兵器とかお城の守りって、わざわざ整える必要ありますの?」
呂尚(微笑を浮かべて)「うふふ、姫発ちゃん……甘いわね。そういう“何もない今”こそ、いちばん大事なのよ」
武王(小首をかしげる)「ええっ、戦もないのにですの?」
呂尚(ゆっくりと語る)「そもそも兵器ってね、急に天から降ってくるもんじゃないの。人の営みの中から、自然に生まれてくるものなのよ。たとえば──」
武王(感嘆の声)「わぁ……ぜ、全部、普段の暮らしにあるものでございますわ……!」
呂尚(真剣な瞳で)「そうよ。だからね、“民を豊かにする”ことがそのまま“国を強くする”ことに繋がるの。国を治めるって、まず田畑を守り、民の手を止めないことなのよ」
武王(胸に手を当てて)「……つまり、畑で耕しているお父様や、お家で糸を紡いでいるお母様が、未来の軍を支えているってこと……?」
呂尚(優しく頷いて)「その通り。戦うために鍛えるんじゃない。暮らしを守るために、鍛えられていくの。だから将来、姫発ちゃんが国を治めるなら──」
武王(きゅっと手を握って)「ええ、わたくし、きっと良い田畑をたくさん増やして、民の暮らしを豊かにしてみせます! それが、強い国の第一歩ですものね、お姉様♡」
呂尚(ふふっと微笑んで)「うん……そうやって強くなっていく姫発ちゃんの姿こそ、あたしにとって一番の誇りよ」
太史編(ちょこんと登場)「今回は“農器篇”だよ〜! 実はね、昔の戦争道具って、ほとんどが“農業の延長”からできてたの!」
Too史編(にっこりと)「天下泰平でも手を抜かないのが真の将。『平時こそ、備える時』──それが“農器篇”の教えなんだね!」
武王「民の営みが、そのまま戦いに繋がっているなんて……兵法って、こんなに深いものだったのですね……。お姉様のおかげで、わたくし、またひとつ賢くなれましたわ♡」
太史編(星の飾りを揺らしながら登場)「はーいっ☆ 今回は《必出篇》だよ! ぐるっと包囲されたらどうする!?っていう、ドキドキの突囲戦術をおさらいっ♡」
まとめ
突囲は、兵の士気・道具の整備・作戦の正確さがすべて! でも何より大事なのは――「一丸となる覚悟」なのね♡