呉起君が儒者の服をまとい、胸を張って兵法を説きにやってきたのよ。熱い想いが溢れてるその姿、まるで可愛い弟のようだわ。私に謁見してくれて、ほんと嬉しいの。
私(文候):「戦争なんて、好まないわ。」
呉起君:「文姉、僕には表に現れたことから本質を見抜く力があるんだ。過去から未来を予見することもできるよ。なんで心にもないこと言うの? 今、獣の皮を剥がして、朱や漆で固め、丹や青で彩り、犀や象の模様を描かせてるよね。」
ふふ、呉起君ったら、早速熱く語り始めたわね。ちゃんと聞いてなきゃ。
呉起君:「でも、冬に着ても温かくないし、夏に着ても涼しくない。二丈四尺の長戟や、一丈二尺の短戟を作り、革で覆った戦車を用意して、車輪や車軸まで革で包んでる。これ、見た目も美しくないし、狩りに使っても軽快じゃない。文姉、これ一体何に使うつもり? 進撃や防衛の準備をしながら、使いこなせる人材を求めなきゃ、牝鶏が野良猫に立ち向かったり、子犬が虎に挑むようなものだよ。戦う意志があっても、自殺行為にすぎない。」
私(文候):「まあ、呉起君、ずいぶん熱心だこと。で、続けるの?」
呉起君:「もちろん! 昔、承桑氏の君主は徳を重んじて武備を軽視したから国を滅ぼしたし、有扈氏は兵力を頼みに武勇を誇って社稷を失った。聡明な君主はこれを教訓に、国内では文徳を修め、対外では武備を整える。敵と対峙して進まないのは義に欠けるし、戦死者をただ悲しむだけじゃ仁に欠けるよ。」
呉起君の言葉、ほんと真っ直ぐで心に響くわ。私はその熱意に心を動かされ、自分で席を設け、酒杯を持たせて呉起君をもてなしたの。そして、宗廟で彼を大将軍に任命し、西河の守りを委ねたのよ。呉起君は諸侯と76回戦い、64回を完全勝利し、残りは引き分けという素晴らしい戦績を挙げてくれたわ。魏が四方に領土を広げ、千里の地を版図に収めたのも、全部呉起君の功績なのよ。
呉起君:「昔から国を治める者は、まず民を教育し、万民と親しむことを第一としたんだ。四つの不和があるよ。国が不和なら軍を出せない。軍が不和なら陣を組めない。陣が不和なら戦を進められない。戦う兵士が不和なら勝利は得られない。」
私(文候):「ふむふむ、和が大事なのね。呉起君、もっと教えてちょうだい。」
呉起君:「だから、道理をわきまえた君主は、民を戦に動員する前に、まず和を築いて大事を起こすんだ。独断で進めず、必ず祖廟に報告し、亀甲を焼いて吉凶を占い、天の時を考えて、吉と決まって初めて兵を動かす。民は君が自分たちの命を大切にし、死を惜しんでると感じるよ。そうすれば国難に臨んでも、兵士は死を名誉とみなし、退却して生き延びることを恥とするんだ。」
呉起君の言葉、まるで民の心を掴む秘訣を教えてくれる弟のようね。和を築くことが、国の礎なのよ。
呉起君:「道は、物事の根本に立ち返り、始まりの純粋さを保つもの。義は、事業を起こして功績を上げるもの。謀は、禍を避けて利を得るもの。要は、国を保ち君主の地位を守るものだよ。行いが道に背き、義に合わず、高位にいるのにそれに見合わない者がいれば、必ず災いが降りかかる。」
私(文候):「まあ、四つの徳ですって? 呉起君、ほんと頭いいわね。」
呉起君:「聖人は道で民を安んじ、義で統治し、礼で動かし、仁で慈しむ。この四つの徳を修めれば国は栄えるけど、怠れば衰えるよ。商の湯王が夏の桀を討ったとき、夏の民は喜び、周の武王が商の紂を討ったとき、殷の民はそれを非難しなかった。彼らは天の理と民の心にかなってたからこそ、これを成し遂げたんだ。」
呉起君のこの教え、ほんと素敵だわ。四つの徳を大切にすれば、国はきっと栄えるのよね。
呉起君:「国を治め、軍を統べるには、礼で民を教育し、義で励まし、恥を知る心を養わなきゃいけない。民が恥を知れば、力が強ければ戦って勝ち、弱ければ守り抜くことができる。でも、戦に勝つのはたやすく、守り抜いて勝つのは難しいんだ。」
私(文候):「ふふ、呉起君、守り抜くのが難しいなんて、深いわね。」
呉起君:「ゆえに言うよ。『天下の戦国で、五勝すれば禍を招き、四勝すれば疲弊し、三勝すれば覇者となり、二勝で王者、一勝で帝王となる。』連戦連勝で天下を得た者は少なく、滅亡した者が多いのはそのためだよ。」
呉起君の教え、民の心を大切にする道なのよ。礼と義で導くのが、強い国を作る鍵だわ。
呉起君:「戦が起こる原因は五つあるよ。一つ目は名誉を求めること、二つ目は利益、三つ目は憎悪の積み重ね、四つ目は内乱、五つ目は飢饉だ。そして、軍の名目も五つある。義兵、強兵、剛兵、暴兵、逆兵だ。」
私(文候):「五つの原因と五つの軍? 呉起君、ほんと詳しいわね。」
呉起君:「暴虐を抑え乱を救うのが義兵、兵力を頼みに戦を仕掛けるのが強兵、怒りに任せて戦うのが剛兵、礼を捨て利を貪るのが暴兵、国が乱れ民が疲弊した中で戦うのが逆兵。この五つの軍には、それぞれ対処法があるんだ。義兵には礼で和を求め、強兵には謙虚さで説得し、剛兵には外交で対応し、暴兵には策略で、逆兵には臨機応変の権謀で対抗するよ。」
呉起君の分析、鋭すぎるわ。戦の原因と軍の種類をこうやって分けるなんて、ほんと頭いいんだから。
武候:「ゴッキー、軍を整えて、人材を登用し、国を強くする方法を教えてよ。ふん、別に興味ないけどさ。」
呉起君:「古の賢王は、君臣の礼を重んじ、上下の秩序を整え、官吏と民を安定させ、風俗に合わせて教育し、優れた人材を選び、不測の事態に備えたんだ。斉の桓公は五万の兵で諸侯の覇者となり、晋の文公は四万の精鋭で志を果たし、秦の繆公は三万の突撃兵で隣国を屈服させた。」
武候:「へえ、ゴッキー、歴史まで知ってるんだ。まぁ、悪くないかも。」
呉起君:「強国の君主は、民の能力を見極めなきゃいけない。胆力と勇気のある者を一隊に、戦いを楽しみ忠勇を尽くす者を一隊に、高い壁を越え遠くを駆ける俊足の者を一隊に、地位を失い功を立てたい者を一隊に、敗走の汚名をそそぎたい者を一隊にする。この五隊は軍の精鋭だよ。こうした兵が三千人いれば、包囲を破り、どんな城も落とせるんだ。」
武候君のツンデレな物言いにも、呉起君は真っ直ぐ答えるの。こんなやり取り、ほんと微笑ましいわね。
武候:「ゴッキー、陣を安定させ、守りを堅固にし、戦に必ず勝つ方法、教えてよ。まぁ、ゴッキーなら知ってるよね、たぶん。」
呉起君:「教えるだけじゃなく、すぐに見せられるよ。君が賢者を高位に置き、不肖者を低位にすれば、陣はすでに定まる。民が田宅に安んじ、役人に親しめば、守りは堅固だ。民がみな君を正しいと信じ、隣国を非とすれば、戦いはもう勝ったも同然だよ。」
呉起君の答え、ほんと頼もしいわ。陣を定め、守りを固める道を、こんなに簡潔に教えてくれるなんて。
武候君が会議を開いたとき、群臣に武候君を超える意見を出す子がいなかったの。朝議を終えた武候君は満足げだったわ。
呉起君:「昔、楚の荘王が会議を開いたとき、群臣に王を超える者がいなくて、退出時に憂いの表情を浮かべたんだ。申公が尋ねたよ。『なぜ沈んでるんですか。』荘王は答えた。『世に聖人が絶えず、国に賢人が欠けないと聞く。師を得る者は王となり、友を得る者は覇者となる。僕は不才で、群臣に及ぶ者がない。楚はどうなるんだ。』荪王はこれを憂えたのに、武候は喜んでる。僕はひそかにこれを恐れるよ。」
武候:「ゴッキー、な、なに!? ふん、別にそんなこと気にしてないんだから! でも…ちょっと考えちゃうかも…。」
武候君、呉起君の忠告に動揺してるみたいね。呉起君の真剣な言葉、ほんと心に響くわ。
武候:「ゴッキー、今、秦が西を脅かし、楚が南を取り巻き、趙が北を衝き、斉が東に臨み、燕が後方を絶ち、韓が前方に構えてる。六国の軍が四方を囲んで、うちの軍は不利だよ。どうすればいいのさ、教えてよ、ゴッキー!」
呉起君:「国を安んじるには、まず警戒を怠らないことが大事だよ。武候はすでに警戒してるから、禍は遠ざかる。六国の風俗を論じよう。斉の軍は重厚だけど堅固じゃない。秦の軍は散漫だけど自ら戦う。楚の軍は整ってるけど持久力がない。燕の軍は守るけど逃げない。三晋の軍は統制されてるけど実戦に弱い。」
武候:「ふん、ゴッキー、よく知ってるじゃん。で、どうやって倒すの?」
呉起君:「斉は剛毅で富み、君臣は驕って民を軽視し、政は寛大だけど禄は不均等で、陣は一枚岩じゃなく前が重く後が軽い。これを討つには、兵を三分割し、左右を脅かし追撃すれば、陣は崩れるよ。秦は強靭で地は険しく、政は厳格、賞罰は確実で、みな闘志旺盛で勝手に戦う。これを討つには、利で誘い出し、兵が将を離れる隙を突き、伏兵で将を捕える。楚は軟弱で領土は広く、政は乱れ民は疲弊し、整っても長続きしない。これを討つには、本陣を急襲し戦意を奪い、素早く動いて疲弊させ、戦わずして敗る。燕は真面目で民は慎重、勇義を重んじ策が少ないから、守るけど逃げない。これを討つには、近づき遠ざかり、追いかけて背後に回り、車騎を伏せて将を捕える。三晋は穏やかで政は公平だけど、民は戦に疲れ、将を軽んじ、禄が薄く、死志がない。これを討つには、陣を圧倒し、来れば拒み、去れば追う。これが攻略の自然な策だよ。」
私(文候):「呉起君、すごいわね。六国それぞれの攻略法、ほんと詳しいの。」
呉起君:「軍には必ず猛虎のような兵がいる。鼎を軽々しく持ち、馬より速く、旗を奪い将を斬る者だ。この子を抜擢し重んじ、軍の命と呼ぶ。武器を巧みに操り、力強く敵を恐れない子に爵位を与えれば、勝利は確実だ。父母妻子を厚遇し、賞を励まし罰を恐れさせれば、堅陣の兵となり、長く戦える。これを十分に吟味すれば、倍の敵も討てるよ。」
武候:「ふん、ゴッキー、なるほどね。まぁ、悪くない考えかも…。」
武候君のツンデレな反応も、呉起君の熱い説明には敵わないわね。六国の攻略法をこんなに詳しく教えてくれるなんて、呉起君、ほんと頼もしいわ。
呉起君:「敵を分析して、占わずとも戦うべき状況は八つあるよ。一つ目は、強風と厳寒の中、敵が早朝に動き、木を切り川を渡り、困難を顧みないとき。二つ目は、盛夏の炎熱に、遅く起きて間もなく進み、飢えと渇きを押して遠くを目指すとき。三つ目は、軍が長く留まり、食糧が尽き、民が怨み、怪事が頻発し、将が抑えきれないとき。四つ目は、資材が尽き、薪や草が少なく、雨が続き、略奪もできないとき。」
私(文候):「まあ、呉起君、こんなにたくさん? まだあるの?」
呉起君:「うん、五つ目は、兵数が少なく、地形が不利で、人馬が病み、援軍がないとき。六つ目は、遠くを行軍し日が暮れ、兵が疲れ恐れ、食事を取らず甲を脱いで休息するとき。七つ目は、将の人望が薄く、吏の権威が弱く、兵が団結せず、軍が怯え、援軍がないとき。八つ目は、陣が定まらず、宿営が整わず、険路を進み、半ばしか到着していないとき。これらの場合は、攻撃をためらわず撃つべきだ。逆に、占わずとも避けるべき状況は六つある。一つ目は、土地が広く、民が富み、人口が多いとき。二つ目は、君が民を愛し、恩恵が広く行き渡るとき。三つ目は、賞罰が公正で、行動が時宜を得ているとき。四つ目は、功ある子を高位に置き、賢者や能者を重用するとき。五つ目は、軍が大規模で、装備が整っているとき。六つ目は、隣国や大国の援軍があるとき。これで敵に及ばないなら、戦を避けるべきだ。勝てる見込みがあれば進み、難しければ退くんだ。」
呉起君の戦術、ほんと的確だわ。戦うべき時と避けるべき時を、こんなに分かりやすく教えてくれるなんて。
武候:「ゴッキー、敵の外観から内情を知り、進軍から駐留を察して、勝敗を決めたいよ。どうすればいいの?」
呉起君:「敵の進軍が乱れ、旗が雑然とし、人馬がたびたび振り返れば、一で十を撃ち、必ず破れる。諸侯が集まらず、君臣が不和で、陣地や禁令が整わず、軍が動揺し、進むことも退くこともできなければ、半分の兵で倍を撃ち、百戦百勝だよ。」
武候君の質問に、呉起君はいつも真剣に答えてくれるわ。敵の内情を見抜く鋭さ、ほんとすごいわね。
武候:「ゴッキー、敵を必ず撃つべき場合はどんなとき? ほら、教えてよ、ゴッキーなら分かるでしょ?」
呉起君:「戦うには、敵の虚実を見極め、弱点を突くことだ。遠来の敵が到着直後で陣が整わないとき、食事を終えて防備が整わないとき、走り回っているとき、疲弊しているとき、地形の利を得ていないとき、時を失したとき、旗が乱れているとき、長行軍で後続が休息できないとき、川を半ば渡るとき、狭い険路を進むとき、陣が頻繁に動くとき、将と兵が離れているとき、兵が恐れているとき、これらはいずれも精鋭を選んで突き、兵を分けて追い討ちをかけ、ためらわず急撃すべきだよ。」
呉起君の戦術、まるで戦場を手に取るように見えるわ。攻撃の好機をこんなに鮮やかに教えてくれるなんて。
武候:「ゴッキー、兵を進めるには、まず何をすべき? ほら、ちゃんと教えてよ。」
呉起君:「まず、四つの軽さ、進退の二重、命令の信を明らかにするよ。地形を熟知して馬を軽快に動かし、馬に適度な飼料を与えて車を軽くし、車に油を十分に注いで人を軽くし、武器を鋭く甲を堅固にして戦を軽く感じさせる。これが四軽だ。」
武候:「ふん、四軽ね。で、他には?」
呉起君:「進む者に重い賞を、退く者に重い罰を与えるのが二重。これを厳正に実行するのが信だ。これを守れば勝利は確実だよ。」
呉起君の教え、ほんと分かりやすいわ。武候君も、ツンデレながらちゃんと聞いてるのよね。
武候:「ゴッキー、勝利は何で決まるの? ふん、兵の数じゃないの?」
呉起君:「軍の統率で決まるよ。法令が不明で、賞罰が不公平、鐘を鳴らしても止まらず、太鼓を打っても進まなければ、百万の軍も役に立たない。統率とは、平時では礼を保ち、動くときは威厳があり、進むときは誰も阻めず、退くときは追えず、進退に節度があり、左右の軍が指揮に応じ、分断されても陣を崩さず、分散しても隊列を保ち、平時も戦時も一体となり、疲れることなく戦い、どこへ向かっても天下無敵だ。これを父子の兵というんだ。」
武候:「…ゴッキー、なんかすごいこと言ってるね。まぁ、ちょっと感心した、かな。」
呉起君の統率の話、ほんと心強いわ。武候君も、内心感心してるみたいね。
呉起君:「行軍では、進退の節度を乱さず、飲食を適切に保ち、人馬の力を消耗させない。これが上からの命令を果たす三つの条件だよ。これを守れば軍は統率される。進退が乱れ、飲食が不適切で、人馬が疲弊し休息も与えなければ、命令を果たせず、平時には乱れ、戦えば負けるよ。」
私(文候):「呉起君、三つの条件ってシンプルだけど大事ね。」
呉起君の三原則、シンプルだけど深いわ。行軍の基本をこうやって教えてくれるなんて、ほんと頼もしいのよ。
呉起君:「戦場は屍が横たわる場所だ。死を覚悟すれば生き、生きようとすれば死ぬ。名将は、まるで穴の開いた船に乗り、燃える家に伏すように、智者の謀も勇者の猛攻も寄せ付けない。ゆえに言うよ。『用兵の害は優柔不断にあり、全軍の災いは疑念から生じる。』」
私(文候):「まあ、呉起君、なんて強い言葉なの。胸に響くわ。」
呉起君の覚悟の言葉、ほんと胸に響くわ。戦場の厳しさを、こんなに真っ直ぐ伝えてくれるなんて。
呉起君:「人は能力を超えた事態で倒れ、不利な状況で負ける。ゆえに用兵には教育と訓練が不可欠だ。一人が戦を学べば十人に伝わり、十人が学べば百人に、百人が学べば千人に、千人が学べば万人に、万人が学べば全軍に及ぶ。」
私(文候):「ふふ、呉起君、まるで訓練が広がる様子が見えるわね。」
呉起君:「近場で遠来の敵を待ち、余力で疲弊を待ち、満腹で飢えを待つ。円陣を方陣に、座って立ち、進んで止まり、左から右へ、前から後へ、分裂して合流し、結んで解く。すべての変化に習熟し、兵を鍛える。これが将軍の務めだよ。」
呉起君の訓練の話、まるでみんなを導くお兄ちゃんみたいね。こんな教え方、ほんと素晴らしいわ。
呉起君:「戦の訓練では、背の低い者に矛や戟を、背の高い者に弓や弩を、力強い者に旗を、勇敢な者に鐘や太鼓を、弱い者に雑務を、思慮深い者に参謀を任せる。同郷の者を一組にし、十人組や五人組で連帯責任を持たせる。一鼓で武器を整え、二鼓で陣を組み、三鼓で食事を急ぎ、四鼓で武器を点検し、五鼓で進軍する。太鼓が揃えば旗を上げるよ。」
私(文候):「呉起君、こんなに細かく役割を分けるなんて、ほんとすごいわ。」
呉起君の訓練の秩序、ほんと細やかだわ。みんなに役割をきちんと与えるなんて、さすがね。
武候:「ゴッキー、全軍の進退に決まった方法ってあるの? ほら、教えてよ。」
呉起君:「天のかまどや竜の頭を避ける。天のかまどは大谷の入口、竜の頭は大山の端だ。必ず左に青竜、右に白虎、前に朱雀、後に玄武、中央に招搖の旗を掲げ、将は下で指揮する。戦うときは風の向きを見極め、順風なら攻め、逆風なら陣を固めるよ。」
呉起君の地形と風の使い方、ほんと頭いいわ。武候君も、ちゃんと聞いてるみたいね。
武候:「ゴッキー、軍馬を養う方法ってある? まぁ、ゴッキーなら知ってるよね。」
呉起君:「馬には快適な環境を与え、水と草を適度に、飢えと満腹を調整し、冬は厩を暖め、夏は涼しくし、毛や蹄を整え、耳目を覆って驚かせず、走りと停止を訓練し、人馬を親しませてから使う。鞍や手綱は堅固に。馬は始まりに傷つき、食べ過ぎで傷む。日暮れで道が遠ければ、時折降りて休ませ、人を疲れさせても馬は疲れさせず、常に余力を残し、敵の襲撃に備える。これをわきまえれば、天下を縦横に駆けられるよ。」
武候:「へえ、ゴッキー、馬のことまでそんなに詳しいんだ。…まぁ、感心したよ、ちょっとだけね。」
呉起君、馬のことまでこんなに丁寧に教えてくれるなんて、ほんと感心しちゃうわ。
呉起君:「文武を統べるのが将、剛柔を兼ねるのが兵の務めだ。人々は将を勇気で評価するけど、勇は将の資質のわずかだよ。勇者は戦を軽視し、利害を見極められなければ未熟だ。将が慎むべきは五つ。一つ目は管理、衆を少数のように統率すること。二つ目は準備、出陣時に敵に備えること。三つ目は決意、敵を前に死を覚悟すること。四つ目は自戒、勝利しても初心を忘れないこと。五つ目は簡略、法令を簡潔にすること。」
私(文候):「呉起君、将の心得って深いわね。まだ続き?」
呉起君:「命令を受ければ辞さず、敵を破ってから帰還を語るのが将の礼だ。出陣の日、死は栄誉、生き延びるのは恥辱だよ。」
呉起君の将の心得、ほんと立派だわ。こんな真剣な教え、まるで国の未来を背負ってるみたい。
呉起君:「戦には四つの好機がある。一つ目は気機、百万の軍の動きを一人の将が決める。二つ目は地機、狭い道や要塞で十人が千人を防ぐ。三つ目は事機、間諜で敵を分散させ、君臣や上下を離間させる。四つ目は力機、車や舟を堅固にし、兵を訓練し、馬を調教する。これを知る者が将となる。」
私(文候):「ふふ、四つの好機なんて、呉起君らしいわね。」
呉起君:「威厳、徳、仁、勇があれば、部下を率い、民を安んじ、敵を恐れさせ、疑いを断つ。命令は犯されず、敵は挑まず。得れば国は強く、失えば国は滅ぶ。これが良将だよ。」
呉起君の良将の話、ほんと心強いわ。こんな将がいたら、どんな戦いも怖くないわね。
呉起君:「太鼓と金鐸は耳を、旗と采配は目を、禁令と刑罰は心を威圧する。音は清く、色は鮮やかで、刑は厳格でなければならない。これが立たねば、国は敵に敗れる。名将の指揮に従わぬ者はいない。名将の指すところ、死を恐れぬ者はいない。」
私(文候):「呉起君、威厳の三要素って、ほんと大事ね。」
呉起君の威厳の話、まるで軍の心を一つにする秘訣だわ。こんな教え、ほんと素晴らしいのよ。
呉起君:「戦の要は、敵将の才を見抜き、形勢に応じて権謀を用いることだ。愚直で信じやすい将は騙し、貪欲な将は賄賂で、軽率で無謀な将は疲弊させ、富める将と貧しい部下は離間し、優柔不断な将は驚かせて走らせ、将を軽んじ帰郷を望む兵は道を塞いで殲滅する。」
私(文候):「まあ、呉起君、敵将の弱点をこんなに細かく? まだあるの?」
呉起君:「進みやすく退きにくい地では敵を誘い、進みにくく退きやすい地では攻め、低湿地で雨が続くなら水攻め、荒れ地で風が吹くなら火攻め、駐屯が長く弛緩すれば奇襲する。これで功を挙げられるよ。」
呉起君の戦略、ほんと鋭いわ。敵将の弱点を突くなんて、まるで戦場を支配してるみたい。
武候:「ゴッキー、両軍が対峙して、敵将がわかんないとき、どうやって見極めるの? 教えてよ、ゴッキーならできるよね?」
呉起君:「低位だけど勇気ある者を軽装の精鋭に率いらせ、試みる。逃げることに専念させ、勝利を求めず、敵の動きや規律を見る。追撃や利を装って誘いに乗らねば、それは智将で、戦うべきじゃない。逆に、軍が騒がしく、旗が乱れ、兵が勝手に動き、隊列が乱れ、追撃や利に焦るなら、それは愚将だ。どんな大軍も捕らえられるよ。」
武候君の質問にも、呉起君はしっかり答えるの。敵将を見極める鋭さ、ほんとすごいわね。
武候:「ゴッキー、車が堅固で馬が優れて、将が勇猛で兵が強いのに、突然の敵襲で隊列が乱れたら、どうするの? ほら、教えてよ!」
呉起君:「戦の法は、昼は旗や采配で、夜は金鼓や笛で合図する。左を振れば左へ、右を振れば右へ、太鼓で進み、鐘で止まる。一吹で進み、二吹で集まる。命令に従わぬ者は罰する。全軍が威に服し、兵が命に従えば、強敵も堅陣もないよ。」
呉起君の統制の話、ほんと心強いわ。混乱の中でも冷静に対応するなんて、さすがね。
武候:「ゴッキー、敵が大軍でこっちが少数なら、どうするの? ゴッキーなら何か策あるよね?」
呉起君:「平地では戦わず、狭い険地に誘う。一で十を、十で百を、千で万を討つには、狭路、険地、障害地が最適だ。少数の兵が狭路で金鼓を鳴らせば、大軍も驚く。ゆえに、多数は平地、少数は狭地が有利だよ。」
呉起君の戦術、少数でも勝てる道を示してくれるわ。武候君も、内心頼りにしてるんじゃないかしら?
武候:「ゴッキー、敵が大軍で武勇に優れて、険地を背に山と川に守られ、深溝高垒で強弩を備えて、退くは山の如く、進むは風雨の如く、糧食も豊富で長期戦が不利な場合、どうするの? ゴッキー、頼むよ!」
呉起君:「これは大問題だ。戦車や騎馬の力じゃなく、聖人の智謀が必要だ。千の戦車、万の騎兵、歩兵を加え、五軍に分け、各々が一路を守る。敵はどこを攻めるか惑う。敵が固守すれば、間諜で意図を探る。こちらの説得を聞けば退き、聞かねば使者を斬り文書を焼き、五軍で戦う。勝っても追わず、負ければ速やかに退く。佯装退却し、整然と急戦し、一軍が前を抑え、一軍が後を絶ち、左右の軍が潜行急襲し、五軍が連動すれば勝利する。これが強敵を破る法だよ。」
武候:「…ゴッキー、めっちゃすごい策じゃん。ふ、ふん、別に感動してないけどさ!」
呉起君の智謀、ほんと圧倒的だわ。武候君のツンデレも、なんだか可愛いわね。
武候:「ゴッキー、敵が迫って退路がなく、兵が恐慌に陥ったら、どうするの? ゴッキーなら何かできるよね?」
呉起君:「我が軍が多数なら分散して交互に攻め、少数なら策を巡らせて隙を突き、休まず攻めれば、敵は屈服するよ。」
呉起君、どんな危機でも冷静に対応するのね。ほんと頼もしいわ。
武候:「ゴッキー、渓谷で敵に遭遇して、険阻が多く、敵が多数でこっちが少数なら、どうするの? 教えてよ!」
呉起君:「丘陵、林谷、深山、大沢では速やかに通過する。深山で突然敵に会えば、先手で鼓を鳴らし、弓弩で射て捕え、敵の混乱を見極め、ためらわず追撃するよ。」
呉起君の素早い判断、まるで戦場を駆ける姿が見えるわ。武候君も、内心頼りにしてるわね。
武候:「ゴッキー、左右に高山、狭い地形で動けず、敵に遭遇して、攻めも退きもできない場合、どうするの? ゴッキー、頼むよ!」
呉起君:「これを谷戦という。兵が多くても役に立たない。武術に優れた者を敵に当て、軽装兵を先頭に、戦車と騎兵を四方に潜ませ、数里離れて敵に見られぬようする。敵は固守し進退できなくなる。旗を立て、山外に陣を張れば、敵は恐れる。戦車と騎兵で休まず挑めばいい。これが谷戦の法だよ。」
呉起君の谷戦の策、ほんと巧妙だわ。武候君の焦った声も、なんだか愛らしいわね。
武候:「ゴッキー、大沢で敵と遭遇して、車輪が沈み、水が車に迫り、舟がなく進退できない場合、どうするの? 教えてよ、ゴッキー!」
呉起君:「これを水戦という。戦車や騎兵は使わず待機し、高所から水勢を見極め、広狭や深浅を把握して奇策で勝つ。敵が水を渡れば、半渡で攻めるよ。」
呉起君の水戦の策、ほんと冷静だわ。武候君の必死な質問も、なんだか微笑ましいわ。
武候:「ゴッキー、長雨で馬が沈み、車が止まり、四方から敵に囲まれ、軍が恐慌に陥ったら、どうするの? ゴッキー、頼むよ!」
呉起君:「戦車は湿気では動かさず、晴天で動かし、高地を選び低地を避け、強車を走らせる。進むも止まるも道理に従い、敵が動けばその跡を追うよ。」
呉起君、悪天候でもこんなに冷静に対応するなんて、ほんとすごいわ。武候君も、内心安心してるんじゃないかしら?
武候:「ゴッキー、凶暴な敵が突然侵入して、田野を荒らし、牛羊を奪う場合、どうするの? ゴッキーなら何かできるよね?」
呉起君:「暴寇は力を頼みに来る。守りを固め応じず、敵が暮れに退くとき、戦利品で動きが鈍り、恐れながら急いで帰る。隊列が乱れるから追撃すれば覆せるよ。」
呉起君の追撃の策、ほんと鋭いわ。武候君の頼る声、なんだか可愛いわね。
呉起君:「敵を攻め城を囲むには、城を破ったら宮殿に入り、禄秩を管理し、器物を収める。木を切らず、屋を壊さず、穀物を奪わず、牲畜を殺さず、積聚を焼かず、民に害意がないことを示す。降伏を願い出る者があれば、許して安んじるよ。」
私(文候):「呉起君、城攻めでも民を大切にするなんて、ほんと優しいわね。」
呉起君の城攻めの心得、仁の心が溢れてるわ。こんな将なら、誰もが従いたくなるわね。
武候:「ゴッキー、厳罰と明賞で勝利できるの? 教えてよ、ゴッキーなら分かるよね?」
呉起君:「賞罰の厳明は、僕がすべて語れないほどだ。でも、それだけに頼るものじゃない。号令を出し、軍を動かし、戦って死ぬことを喜ばせる。この三つが君主の頼みだよ。」
武候:「ふん、ゴッキー、で、どうすればそうなるのさ?」
呉起君:「功ある者を引き立てて饗応し、功なき者を励ますことだよ。」
呉起君の士気を高める話、ほんと心に響くわ。武候君も、ちゃんと聞いてるみたいね。
武候君は、呉起君の教えに従い、廟廷で三列の席を設け、士大夫を饗応したの。上功者は前行に座らせ、上等の器に豪華な料理を盛ったわ。次功者は中行に座らせ、器と料理をやや減らし、無功者は後行に座らせ、簡素な料理としたの。饗宴後、功ある者の父母妻子に廟門外で贈り物をし、功に応じて差をつけたわ。戦死者の家には毎年使者を送り、父母をねぎらい、贈り物をし、功を忘れないことを示したのよ。これを三年続けたところ、秦が西河に進軍してきたとき、魏の兵は命令を待たず、甲冑をまとい、奮って戦う者が数万に及んだの。
私(文候):「呉起君の教え、ほんとすごい成果ね。民の心をこんなに動かすなんて。」
武候:「ゴッキー、君の教え通りに行った結果だよ。ふん、ゴッキー、すごいじゃん…なんて、別に言わないけどさ。」
呉起君:「人には長短があり、気には盛衰がある。試しに無功の者を五万人集め、僕が率いて戦おう。勝てなければ諸侯の笑いものとなり、天下の権威を失う。今、一人の死にもの狂いの賊が野に潜めば、千人で追っても恐れる。なぜなら、突然の襲撃を恐れるからだ。一人が命を投げ出せば、千人をおののかせる。今、僕が五万をその賊のように率いて戦えば、必ず勝てるよ。」
武候君はこれに従い、戦車五百乗、騎兵三千で秦の五十万を破ったの。これは呉起君が士を励ました功績なのよ。戦いの前日、呉起君は全軍にこう告げたわ。
呉起君:「吏士よ、戦車、騎兵、歩兵はそれぞれに対応して戦え。敵の同種の部隊を破れなければ、軍を破っても功はないよ。」
私(文候):「呉起君、なんて簡潔で力強い命令なの。ほんとすごいわ。」
その日、命令は簡潔だったけど、威勢は天下を震撼させたのよ。呉起君の教えが、こんな勝利を生むなんて、ほんと誇らしいわ。