呉起君が儒者の服をまとい、胸を張って兵法を説きにやってきたのよ。熱い想いが溢れてるその姿、まるで可愛い弟のようだわ。私に謁見してくれて、ほんと嬉しいの。
私(文候):「戦争なんて、好まないわ。」
呉起君:「文姉、僕には表に現れたことから本質を見抜く力があるんだ。過去から未来を予見することもできるよ。なんで心にもないこと言うの? 今、獣の皮を剥がして、朱や漆で固め、丹や青で彩り、犀や象の模様を描かせてるよね。」
ふふ、呉起君ったら、早速熱く語り始めたわね。ちゃんと聞いてなきゃ。
呉起君:「でも、冬に着ても温かくないし、夏に着ても涼しくない。二丈四尺の長戟や、一丈二尺の短戟を作り、革で覆った戦車を用意して、車輪や車軸まで革で包んでる。これ、見た目も美しくないし、狩りに使っても軽快じゃない。文姉、これ一体何に使うつもり? 進撃や防衛の準備をしながら、使いこなせる人材を求めなきゃ、牝鶏が野良猫に立ち向かったり、子犬が虎に挑むようなものだよ。戦う意志があっても、自殺行為にすぎない。」
私(文候):「まあ、呉起君、ずいぶん熱心だこと。で、続けるの?」
呉起君:「もちろん! 昔、承桑氏の君主は徳を重んじて武備を軽視したから国を滅ぼしたし、有扈氏は兵力を頼みに武勇を誇って社稷を失った。聡明な君主はこれを教訓に、国内では文徳を修め、対外では武備を整える。敵と対峙して進まないのは義に欠けるし、戦死者をただ悲しむだけじゃ仁に欠けるよ。」
呉起君の言葉、ほんと真っ直ぐで心に響くわ。私はその熱意に心を動かされ、自分で席を設け、酒杯を持たせて呉起君をもてなしたの。そして、宗廟で彼を大将軍に任命し、西河の守りを委ねたのよ。呉起君は諸侯と76回戦い、64回を完全勝利し、残りは引き分けという素晴らしい戦績を挙げてくれたわ。魏が四方に領土を広げ、千里の地を版図に収めたのも、全部呉起君の功績なのよ。
呉起君:「昔から国を治める者は、まず民を教育し、万民と親しむことを第一としたんだ。四つの不和があるよ。国が不和なら軍を出せない。軍が不和なら陣を組めない。陣が不和なら戦を進められない。戦う兵士が不和なら勝利は得られない。」
私(文候):「ふむふむ、和が大事なのね。呉起君、もっと教えてちょうだい。」
呉起君:「だから、道理をわきまえた君主は、民を戦に動員する前に、まず和を築いて大事を起こすんだ。独断で進めず、必ず祖廟に報告し、亀甲を焼いて吉凶を占い、天の時を考えて、吉と決まって初めて兵を動かす。民は君が自分たちの命を大切にし、死を惜しんでると感じるよ。そうすれば国難に臨んでも、兵士は死を名誉とみなし、退却して生き延びることを恥とするんだ。」
呉起君の言葉、まるで民の心を掴む秘訣を教えてくれる弟のようね。和を築くことが、国の礎なのよ。
呉起君:「道は、物事の根本に立ち返り、始まりの純粋さを保つもの。義は、事業を起こして功績を上げるもの。謀は、禍を避けて利を得るもの。要は、国を保ち君主の地位を守るものだよ。行いが道に背き、義に合わず、高位にいるのにそれに見合わない者がいれば、必ず災いが降りかかる。」
私(文候):「まあ、四つの徳ですって? 呉起君、ほんと頭いいわね。」
呉起君:「聖人は道で民を安んじ、義で統治し、礼で動かし、仁で慈しむ。この四つの徳を修めれば国は栄えるけど、怠れば衰えるよ。商の湯王が夏の桀を討ったとき、夏の民は喜び、周の武王が商の紂を討ったとき、殷の民はそれを非難しなかった。彼らは天の理と民の心にかなってたからこそ、これを成し遂げたんだ。」
呉起君のこの教え、ほんと素敵だわ。四つの徳を大切にすれば、国はきっと栄えるのよね。
呉起君:「国を治め、軍を統べるには、礼で民を教育し、義で励まし、恥を知る心を養わなきゃいけない。民が恥を知れば、力が強ければ戦って勝ち、弱ければ守り抜くことができる。でも、戦に勝つのはたやすく、守り抜いて勝つのは難しいんだ。」
私(文候):「ふふ、呉起君、守り抜くのが難しいなんて、深いわね。」
呉起君:「ゆえに言うよ。『天下の戦国で、五勝すれば禍を招き、四勝すれば疲弊し、三勝すれば覇者となり、二勝で王者、一勝で帝王となる。』連戦連勝で天下を得た者は少なく、滅亡した者が多いのはそのためだよ。」
呉起君の教え、民の心を大切にする道なのよ。礼と義で導くのが、強い国を作る鍵だわ。
呉起君:「戦が起こる原因は五つあるよ。一つ目は名誉を求めること、二つ目は利益、三つ目は憎悪の積み重ね、四つ目は内乱、五つ目は飢饉だ。そして、軍の名目も五つある。義兵、強兵、剛兵、暴兵、逆兵だ。」
私(文候):「五つの原因と五つの軍? 呉起君、ほんと詳しいわね。」
呉起君:「暴虐を抑え乱を救うのが義兵、兵力を頼みに戦を仕掛けるのが強兵、怒りに任せて戦うのが剛兵、礼を捨て利を貪るのが暴兵、国が乱れ民が疲弊した中で戦うのが逆兵。この五つの軍には、それぞれ対処法があるんだ。義兵には礼で和を求め、強兵には謙虚さで説得し、剛兵には外交で対応し、暴兵には策略で、逆兵には臨機応変の権謀で対抗するよ。」
呉起君の分析、鋭すぎるわ。戦の原因と軍の種類をこうやって分けるなんて、ほんと頭いいんだから。
武候:「ゴッキー、軍を整えて、人材を登用し、国を強くする方法を教えてよ。ふん、別に興味ないけどさ。」
呉起君:「古の賢王は、君臣の礼を重んじ、上下の秩序を整え、官吏と民を安定させ、風俗に合わせて教育し、優れた人材を選び、不測の事態に備えたんだ。斉の桓公は五万の兵で諸侯の覇者となり、晋の文公は四万の精鋭で志を果たし、秦の繆公は三万の突撃兵で隣国を屈服させた。」
武候:「へえ、ゴッキー、歴史まで知ってるんだ。まぁ、悪くないかも。」
呉起君:「強国の君主は、民の能力を見極めなきゃいけない。胆力と勇気のある者を一隊に、戦いを楽しみ忠勇を尽くす者を一隊に、高い壁を越え遠くを駆ける俊足の者を一隊に、地位を失い功を立てたい者を一隊に、敗走の汚名をそそぎたい者を一隊にする。この五隊は軍の精鋭だよ。こうした兵が三千人いれば、包囲を破り、どんな城も落とせるんだ。」
武候君のツンデレな物言いにも、呉起君は真っ直ぐ答えるの。こんなやり取り、ほんと微笑ましいわね。
武候:「ゴッキー、陣を安定させ、守りを堅固にし、戦に必ず勝つ方法、教えてよ。まぁ、ゴッキーなら知ってるよね、たぶん。」
呉起君:「教えるだけじゃなく、すぐに見せられるよ。君が賢者を高位に置き、不肖者を低位にすれば、陣はすでに定まる。民が田宅に安んじ、役人に親しめば、守りは堅固だ。民がみな君を正しいと信じ、隣国を非とすれば、戦いはもう勝ったも同然だよ。」
呉起君の答え、ほんと頼もしいわ。陣を定め、守りを固める道を、こんなに簡潔に教えてくれるなんて。
武候君が会議を開いたとき、群臣に武候君を超える意見を出す子がいなかったの。朝議を終えた武候君は満足げだったわ。
呉起君:「昔、楚の荘王が会議を開いたとき、群臣に王を超える者がいなくて、退出時に憂いの表情を浮かべたんだ。申公が尋ねたよ。『なぜ沈んでるんですか。』荘王は答えた。『世に聖人が絶えず、国に賢人が欠けないと聞く。師を得る者は王となり、友を得る者は覇者となる。僕は不才で、群臣に及ぶ者がない。楚はどうなるんだ。』荪王はこれを憂えたのに、武候は喜んでる。僕はひそかにこれを恐れるよ。」
武候:「ゴッキー、な、なに!? ふん、別にそんなこと気にしてないんだから! でも…ちょっと考えちゃうかも…。」
武候君、呉起君の忠告に動揺してるみたいね。呉起君の真剣な言葉、ほんと心に響くわ。
武候:「ゴッキー、今、秦が西を脅かし、楚が南を取り巻き、趙が北を衝き、斉が東に臨み、燕が後方を絶ち、韓が前方に構えてる。六国の軍が四方を囲んで、うちの軍は不利だよ。どうすればいいのさ、教えてよ、ゴッキー!」
呉起君:「国を安んじるには、まず警戒を怠らないことが大事だよ。武候はすでに警戒してるから、禍は遠ざかる。六国の風俗を論じよう。斉の軍は重厚だけど堅固じゃない。秦の軍は散漫だけど自ら戦う。楚の軍は整ってるけど持久力がない。燕の軍は守るけど逃げない。三晋の軍は統制されてるけど実戦に弱い。」
武候:「ふん、ゴッキー、よく知ってるじゃん。で、どうやって倒すの?」
呉起君:「斉は剛毅で富み、君臣は驕って民を軽視し、政は寛大だけど禄は不均等で、陣は一枚岩じゃなく前が重く後が軽い。これを討つには、兵を三分割し、左右を脅かし追撃すれば、陣は崩れるよ。秦は強靭で地は険しく、政は厳格、賞罰は確実で、みな闘志旺盛で勝手に戦う。これを討つには、利で誘い出し、兵が将を離れる隙を突き、伏兵で将を捕える。楚は軟弱で領土は広く、政は乱れ民は疲弊し、整っても長続きしない。これを討つには、本陣を急襲し戦意を奪い、素早く動いて疲弊させ、戦わずして敗る。燕は真面目で民は慎重、勇義を重んじ策が少ないから、守るけど逃げない。これを討つには、近づき遠ざかり、追いかけて背後に回り、車騎を伏せて将を捕える。三晋は穏やかで政は公平だけど、民は戦に疲れ、将を軽んじ、禄が薄く、死志がない。これを討つには、陣を圧倒し、来れば拒み、去れば追う。これが攻略の自然な策だよ。」
私(文候):「呉起君、すごいわね。六国それぞれの攻略法、ほんと詳しいの。」
呉起君:「軍には必ず猛虎のような兵がいる。鼎を軽々しく持ち、馬より速く、旗を奪い将を斬る者だ。この子を抜擢し重んじ、軍の命と呼ぶ。武器を巧みに操り、力強く敵を恐れない子に爵位を与えれば、勝利は確実だ。父母妻子を厚遇し、賞を励まし罰を恐れさせれば、堅陣の兵となり、長く戦える。これを十分に吟味すれば、倍の敵も討てるよ。」
武候:「ふん、ゴッキー、なるほどね。まぁ、悪くない考えかも…。」
武候君のツンデレな反応も、呉起君の熱い説明には敵わないわね。六国の攻略法をこんなに詳しく教えてくれるなんて、呉起君、ほんと頼もしいわ。
呉起君:「敵を分析して、占わずとも戦うべき状況は八つあるよ。一つ目は、強風と厳寒の中、敵が早朝に動き、木を切り川を渡り、困難を顧みないとき。二つ目は、盛夏の炎熱に、遅く起きて間もなく進み、飢えと渇きを押して遠くを目指すとき。三つ目は、軍が長く留まり、食糧が尽き、民が怨み、怪事が頻発し、将が抑えきれないとき。四つ目は、資材が尽き、薪や草が少なく、雨が続き、略奪もできないとき。」
私(文候):「まあ、呉起君、こんなにたくさん? まだあるの?」
呉起君:「うん、五つ目は、兵数が少なく、地形が不利で、人馬が病み、援軍がないとき。六つ目は、遠くを行軍し日が暮れ、兵が疲れ恐れ、食事を取らず甲を脱いで休息するとき。七つ目は、将の人望が薄く、吏の権威が弱く、兵が団結せず、軍が怯え、援軍がないとき。八つ目は、陣が定まらず、宿営が整わず、険路を進み、半ばしか到着していないとき。これらの場合は、攻撃をためらわず撃つべきだ。逆に、占わずとも避けるべき状況は六つある。一つ目は、土地が広く、民が富み、人口が多いとき。二つ目は、君が民を愛し、恩恵が広く行き渡るとき。三つ目は、賞罰が公正で、行動が時宜を得ているとき。四つ目は、功ある子を高位に置き、賢者や能者を重用するとき。五つ目は、軍が大規模で、装備が整っているとき。六つ目は、隣国や大国の援軍があるとき。これで敵に及ばないなら、戦を避けるべきだ。勝てる見込みがあれば進み、難しければ退くんだ。」
呉起君の戦術、ほんと的確だわ。戦うべき時と避けるべき時を、こんなに分かりやすく教えてくれるなんて。
武候:「ゴッキー、敵の外観から内情を知り、進軍から駐留を察して、勝敗を決めたいよ。どうすればいいの?」
呉起君:「敵の進軍が乱れ、旗が雑然とし、人馬がたびたび振り返れば、一で十を撃ち、必ず破れる。諸侯が集まらず、君臣が不和で、陣地や禁令が整わず、軍が動揺し、進むことも退くこともできなければ、半分の兵で倍を撃ち、百戦百勝だよ。」
武候君の質問に、呉起君はいつも真剣に答えてくれるわ。敵の内情を見抜く鋭さ、ほんとすごいわね。
武候:「ゴッキー、敵を必ず撃つべき場合はどんなとき? ほら、教えてよ、ゴッキーなら分かるでしょ?」
呉起君:「戦うには、敵の虚実を見極め、弱点を突くことだ。遠来の敵が到着直後で陣が整わないとき、食事を終えて防備が整わないとき、走り回っているとき、疲弊しているとき、地形の利を得ていないとき、時を失したとき、旗が乱れているとき、長行軍で後続が休息できないとき、川を半ば渡るとき、狭い険路を進むとき、陣が頻繁に動くとき、将と兵が離れているとき、兵が恐れているとき、これらはいずれも精鋭を選んで突き、兵を分けて追い討ちをかけ、ためらわず急撃すべきだよ。」
呉起君の戦術、まるで戦場を手に取るように見えるわ。攻撃の好機をこんなに鮮やかに教えてくれるなんて。
武候:「ゴッキー、兵を進めるには、まず何をすべき? ほら、ちゃんと教えてよ。」
呉起君:「まず、四つの軽さ、進退の二重、命令の信を明らかにするよ。地形を熟知して馬を軽快に動かし、馬に適度な飼料を与えて車を軽くし、車に油を十分に注いで人を軽くし、武器を鋭く甲を堅固にして戦を軽く感じさせる。これが四軽だ。」
武候:「ふん、四軽ね。で、他には?」
呉起君:「進む者に重い賞を、退く者に重い罰を与えるのが二重。これを厳正に実行するのが信だ。これを守れば勝利は確実だよ。」
呉起君の教え、ほんと分かりやすいわ。武候君も、ツンデレながらちゃんと聞いてるのよね。
武候:「ゴッキー、勝利は何で決まるの? ふん、兵の数じゃないの?」
呉起君:「軍の統率で決まるよ。法令が不明で、賞罰が不公平、鐘を鳴らしても止まらず、太鼓を打っても進まなければ、百万の軍も役に立たない。統率とは、平時では礼を保ち、動くときは威厳があり、進むときは誰も阻めず、退くときは追えず、進退に節度があり、左右の軍が指揮に応じ、分断されても陣を崩さず、分散しても隊列を保ち、平時も戦時も一体となり、疲れることなく戦い、どこへ向かっても天下無敵だ。これを父子の兵というんだ。」
武候:「…ゴッキー、なんかすごいこと言ってるね。まぁ、ちょっと感心した、かな。」
呉起君の統率の話、ほんと心強いわ。武候君も、内心感心してるみたいね。
呉起君:「行軍では、進退の節度を乱さず、飲食を適切に保ち、人馬の力を消耗させない。これが上からの命令を果たす三つの条件だよ。これを守れば軍は統率される。進退が乱れ、飲食が不適切で、人馬が疲弊し休息も与えなければ、命令を果たせず、平時には乱れ、戦えば負けるよ。」
私(文候):「呉起君、三つの条件ってシンプルだけど大事ね。」
呉起君の三原則、シンプルだけど深いわ。行軍の基本をこうやって教えてくれるなんて、ほんと頼もしいのよ。
呉起君:「戦場は屍が横たわる場所だ。死を覚悟すれば生き、生きようとすれば死ぬ。名将は、まるで穴の開いた船に乗り、燃える家に伏すように、智者の謀も勇者の猛攻も寄せ付けない。ゆえに言うよ。『用兵の害は優柔不断にあり、全軍の災いは疑念から生じる。』」
私(文候):「まあ、呉起君、なんて強い言葉なの。胸に響くわ。」
呉起君の覚悟の言葉、ほんと胸に響くわ。戦場の厳しさを、こんなに真っ直ぐ伝えてくれるなんて。
呉起君:「人は能力を超えた事態で倒れ、不利な状況で負ける。ゆえに用兵には教育と訓練が不可欠だ。一人が戦を学べば十人に伝わり、十人が学べば百人に、百人が学べば千人に、千人が学べば万人に、万人が学べば全軍に及ぶ。」
私(文候):「ふふ、呉起君、まるで訓練が広がる様子が見えるわね。」
呉起君:「近場で遠来の敵を待ち、余力で疲弊を待ち、満腹で飢えを待つ。円陣を方陣に、座って立ち、進んで止まり、左から右へ、前から後へ、分裂して合流し、結んで解く。すべての変化に習熟し、兵を鍛える。これが将軍の務めだよ。」
呉起君の訓練の話、まるでみんなを導くお兄ちゃんみたいね。こんな教え方、ほんと素晴らしいわ。
呉起君:「戦の訓練では、背の低い者に矛や戟を、背の高い者に弓や弩を、力強い者に旗を、勇敢な者に鐘や太鼓を、弱い者に雑務を、思慮深い者に参謀を任せる。同郷の者を一組にし、十人組や五人組で連帯責任を持たせる。一鼓で武器を整え、二鼓で陣を組み、三鼓で食事を急ぎ、四鼓で武器を点検し、五鼓で進軍する。太鼓が揃えば旗を上げるよ。」
私(文候):「呉起君、こんなに細かく役割を分けるなんて、ほんとすごいわ。」
呉起君の訓練の秩序、ほんと細やかだわ。みんなに役割をきちんと与えるなんて、さすがね。
武候:「ゴッキー、全軍の進退に決まった方法ってあるの? ほら、教えてよ。」
呉起君:「天のかまどや竜の頭を避ける。天のかまどは大谷の入口、竜の頭は大山の端だ。必ず左に青竜、右に白虎、前に朱雀、後に玄武、中央に招搖の旗を掲げ、将は下で指揮する。戦うときは風の向きを見極め、順風なら攻め、逆風なら陣を固めるよ。」
呉起君の地形と風の使い方、ほんと頭いいわ。武候君も、ちゃんと聞いてるみたいね。
武候:「ゴッキー、軍馬を養う方法ってある? まぁ、ゴッキーなら知ってるよね。」
呉起君:「馬には快適な環境を与え、水と草を適度に、飢えと満腹を調整し、冬は厩を暖め、夏は涼しくし、毛や蹄を整え、耳目を覆って驚かせず、走りと停止を訓練し、人馬を親しませてから使う。鞍や手綱は堅固に。馬は始まりに傷つき、食べ過ぎで傷む。日暮れで道が遠ければ、時折降りて休ませ、人を疲れさせても馬は疲れさせず、常に余力を残し、敵の襲撃に備える。これをわきまえれば、天下を縦横に駆けられるよ。」
武候:「へえ、ゴッキー、馬のことまでそんなに詳しいんだ。…まぁ、感心したよ、ちょっとだけね。」
呉起君、馬のことまでこんなに丁寧に教えてくれるなんて、ほんと感心しちゃうわ。
呉起君:「文武を統べるのが将、剛柔を兼ねるのが兵の務めだ。人々は将を勇気で評価するけど、勇は将の資質のわずかだよ。勇者は戦を軽視し、利害を見極められなければ未熟だ。将が慎むべきは五つ。一つ目は管理、衆を少数のように統率すること。二つ目は準備、出陣時に敵に備えること。三つ目は決意、敵を前に死を覚悟すること。四つ目は自戒、勝利しても初心を忘れないこと。五つ目は簡略、法令を簡潔にすること。」
私(文候):「呉起君、将の心得って深いわね。まだ続き?」
呉起君:「命令を受ければ辞さず、敵を破ってから帰還を語るのが将の礼だ。出陣の日、死は栄誉、生き延びるのは恥辱だよ。」
呉起君の将の心得、ほんと立派だわ。こんな真剣な教え、まるで国の未来を背負ってるみたい。
呉起君:「戦には四つの好機がある。一つ目は気機、百万の軍の動きを一人の将が決める。二つ目は地機、狭い道や要塞で十人が千人を防ぐ。三つ目は事機、間諜で敵を分散させ、君臣や上下を離間させる。四つ目は力機、車や舟を堅固にし、兵を訓練し、馬を調教する。これを知る者が将となる。」
私(文候):「ふふ、四つの好機なんて、呉起君らしいわね。」
呉起君:「威厳、徳、仁、勇があれば、部下を率い、民を安んじ、敵を恐れさせ、疑いを断つ。命令は犯されず、敵は挑まず。得れば国は強く、失えば国は滅ぶ。これが良将だよ。」
呉起君の良将の話、ほんと心強いわ。こんな将がいたら、どんな戦いも怖くないわね。
呉起君:「太鼓と金鐸は耳を、旗と采配は目を、禁令と刑罰は心を威圧する。音は清く、色は鮮やかで、刑は厳格でなければならない。これが立たねば、国は敵に敗れる。名将の指揮に従わぬ者はいない。名将の指すところ、死を恐れぬ者はいない。」
私(文候):「呉起君、威厳の三要素って、ほんと大事ね。」
呉起君の威厳の話、まるで軍の心を一つにする秘訣だわ。こんな教え、ほんと素晴らしいのよ。
呉起君:「戦の要は、敵将の才を見抜き、形勢に応じて権謀を用いることだ。愚直で信じやすい将は騙し、貪欲な将は賄賂で、軽率で無謀な将は疲弊させ、富める将と貧しい部下は離間し、優柔不断な将は驚かせて走らせ、将を軽んじ帰郷を望む兵は道を塞いで殲滅する。」
私(文候):「まあ、呉起君、敵将の弱点をこんなに細かく? まだあるの?」
呉起君:「進みやすく退きにくい地では敵を誘い、進みにくく退きやすい地では攻め、低湿地で雨が続くなら水攻め、荒れ地で風が吹くなら火攻め、駐屯が長く弛緩すれば奇襲する。これで功を挙げられるよ。」
呉起君の戦略、ほんと鋭いわ。敵将の弱点を突くなんて、まるで戦場を支配してるみたい。
武候:「ゴッキー、両軍が対峙して、敵将がわかんないとき、どうやって見極めるの? 教えてよ、ゴッキーならできるよね?」
呉起君:「低位だけど勇気ある者を軽装の精鋭に率いらせ、試みる。逃げることに専念させ、勝利を求めず、敵の動きや規律を見る。追撃や利を装って誘いに乗らねば、それは智将で、戦うべきじゃない。逆に、軍が騒がしく、旗が乱れ、兵が勝手に動き、隊列が乱れ、追撃や利に焦るなら、それは愚将だ。どんな大軍も捕らえられるよ。」
武候君の質問にも、呉起君はしっかり答えるの。敵将を見極める鋭さ、ほんとすごいわね。
武候:「ゴッキー、車が堅固で馬が優れて、将が勇猛で兵が強いのに、突然の敵襲で隊列が乱れたら、どうするの? ほら、教えてよ!」
呉起君:「戦の法は、昼は旗や采配で、夜は金鼓や笛で合図する。左を振れば左へ、右を振れば右へ、太鼓で進み、鐘で止まる。一吹で進み、二吹で集まる。命令に従わぬ者は罰する。全軍が威に服し、兵が命に従えば、強敵も堅陣もないよ。」
呉起君の統制の話、ほんと心強いわ。混乱の中でも冷静に対応するなんて、さすがね。
武候:「ゴッキー、敵が大軍でこっちが少数なら、どうするの? ゴッキーなら何か策あるよね?」
呉起君:「平地では戦わず、狭い険地に誘う。一で十を、十で百を、千で万を討つには、狭路、険地、障害地が最適だ。少数の兵が狭路で金鼓を鳴らせば、大軍も驚く。ゆえに、多数は平地、少数は狭地が有利だよ。」
呉起君の戦術、少数でも勝てる道を示してくれるわ。武候君も、内心頼りにしてるんじゃないかしら?
武候:「ゴッキー、敵が大軍で武勇に優れて、険地を背に山と川に守られ、深溝高垒で強弩を備えて、退くは山の如く、進むは風雨の如く、糧食も豊富で長期戦が不利な場合、どうするの? ゴッキー、頼むよ!」
呉起君:「これは大問題だ。戦車や騎馬の力じゃなく、聖人の智謀が必要だ。千の戦車、万の騎兵、歩兵を加え、五軍に分け、各々が一路を守る。敵はどこを攻めるか惑う。敵が固守すれば、間諜で意図を探る。こちらの説得を聞けば退き、聞かねば使者を斬り文書を焼き、五軍で戦う。勝っても追わず、負ければ速やかに退く。佯装退却し、整然と急戦し、一軍が前を抑え、一軍が後を絶ち、左右の軍が潜行急襲し、五軍が連動すれば勝利する。これが強敵を破る法だよ。」
武候:「…ゴッキー、めっちゃすごい策じゃん。ふ、ふん、別に感動してないけどさ!」
呉起君の智謀、ほんと圧倒的だわ。武候君のツンデレも、なんだか可愛いわね。
武候:「ゴッキー、敵が迫って退路がなく、兵が恐慌に陥ったら、どうするの? ゴッキーなら何かできるよね?」
呉起君:「我が軍が多数なら分散して交互に攻め、少数なら策を巡らせて隙を突き、休まず攻めれば、敵は屈服するよ。」
呉起君、どんな危機でも冷静に対応するのね。ほんと頼もしいわ。
武候:「ゴッキー、渓谷で敵に遭遇して、険阻が多く、敵が多数でこっちが少数なら、どうするの? 教えてよ!」
呉起君:「丘陵、林谷、深山、大沢では速やかに通過する。深山で突然敵に会えば、先手で鼓を鳴らし、弓弩で射て捕え、敵の混乱を見極め、ためらわず追撃するよ。」
呉起君の素早い判断、まるで戦場を駆ける姿が見えるわ。武候君も、内心頼りにしてるわね。
武候:「ゴッキー、左右に高山、狭い地形で動けず、敵に遭遇して、攻めも退きもできない場合、どうするの? ゴッキー、頼むよ!」
呉起君:「これを谷戦という。兵が多くても役に立たない。武術に優れた者を敵に当て、軽装兵を先頭に、戦車と騎兵を四方に潜ませ、数里離れて敵に見られぬようする。敵は固守し進退できなくなる。旗を立て、山外に陣を張れば、敵は恐れる。戦車と騎兵で休まず挑めばいい。これが谷戦の法だよ。」
呉起君の谷戦の策、ほんと巧妙だわ。武候君の焦った声も、なんだか愛らしいわね。
武候:「ゴッキー、大沢で敵と遭遇して、車輪が沈み、水が車に迫り、舟がなく進退できない場合、どうするの? 教えてよ、ゴッキー!」
呉起君:「これを水戦という。戦車や騎兵は使わず待機し、高所から水勢を見極め、広狭や深浅を把握して奇策で勝つ。敵が水を渡れば、半渡で攻めるよ。」
呉起君の水戦の策、ほんと冷静だわ。武候君の必死な質問も、なんだか微笑ましいわ。
武候:「ゴッキー、長雨で馬が沈み、車が止まり、四方から敵に囲まれ、軍が恐慌に陥ったら、どうするの? ゴッキー、頼むよ!」
呉起君:「戦車は湿気では動かさず、晴天で動かし、高地を選び低地を避け、強車を走らせる。進むも止まるも道理に従い、敵が動けばその跡を追うよ。」
呉起君、悪天候でもこんなに冷静に対応するなんて、ほんとすごいわ。武候君も、内心安心してるんじゃないかしら?
武候:「ゴッキー、凶暴な敵が突然侵入して、田野を荒らし、牛羊を奪う場合、どうするの? ゴッキーなら何かできるよね?」
呉起君:「暴寇は力を頼みに来る。守りを固め応じず、敵が暮れに退くとき、戦利品で動きが鈍り、恐れながら急いで帰る。隊列が乱れるから追撃すれば覆せるよ。」
呉起君の追撃の策、ほんと鋭いわ。武候君の頼る声、なんだか可愛いわね。
呉起君:「敵を攻め城を囲むには、城を破ったら宮殿に入り、禄秩を管理し、器物を収める。木を切らず、屋を壊さず、穀物を奪わず、牲畜を殺さず、積聚を焼かず、民に害意がないことを示す。降伏を願い出る者があれば、許して安んじるよ。」
私(文候):「呉起君、城攻めでも民を大切にするなんて、ほんと優しいわね。」
呉起君の城攻めの心得、仁の心が溢れてるわ。こんな将なら、誰もが従いたくなるわね。
武候:「ゴッキー、厳罰と明賞で勝利できるの? 教えてよ、ゴッキーなら分かるよね?」
呉起君:「賞罰の厳明は、僕がすべて語れないほどだ。でも、それだけに頼るものじゃない。号令を出し、軍を動かし、戦って死ぬことを喜ばせる。この三つが君主の頼みだよ。」
武候:「ふん、ゴッキー、で、どうすればそうなるのさ?」
呉起君:「功ある者を引き立てて饗応し、功なき者を励ますことだよ。」
呉起君の士気を高める話、ほんと心に響くわ。武候君も、ちゃんと聞いてるみたいね。
武候君は、呉起君の教えに従い、廟廷で三列の席を設け、士大夫を饗応したの。上功者は前行に座らせ、上等の器に豪華な料理を盛ったわ。次功者は中行に座らせ、器と料理をやや減らし、無功者は後行に座らせ、簡素な料理としたの。饗宴後、功ある者の父母妻子に廟門外で贈り物をし、功に応じて差をつけたわ。戦死者の家には毎年使者を送り、父母をねぎらい、贈り物をし、功を忘れないことを示したのよ。これを三年続けたところ、秦が西河に進軍してきたとき、魏の兵は命令を待たず、甲冑をまとい、奮って戦う者が数万に及んだの。
私(文候):「呉起君の教え、ほんとすごい成果ね。民の心をこんなに動かすなんて。」
武候:「ゴッキー、君の教え通りに行った結果だよ。ふん、ゴッキー、すごいじゃん…なんて、別に言わないけどさ。」
呉起君:「人には長短があり、気には盛衰がある。試しに無功の者を五万人集め、僕が率いて戦おう。勝てなければ諸侯の笑いものとなり、天下の権威を失う。今、一人の死にもの狂いの賊が野に潜めば、千人で追っても恐れる。なぜなら、突然の襲撃を恐れるからだ。一人が命を投げ出せば、千人をおののかせる。今、僕が五万をその賊のように率いて戦えば、必ず勝てるよ。」
武候君はこれに従い、戦車五百乗、騎兵三千で秦の五十万を破ったの。これは呉起君が士を励ました功績なのよ。戦いの前日、呉起君は全軍にこう告げたわ。
呉起君:「吏士よ、戦車、騎兵、歩兵はそれぞれに対応して戦え。敵の同種の部隊を破れなければ、軍を破っても功はないよ。」
私(文候):「呉起君、なんて簡潔で力強い命令なの。ほんとすごいわ。」
その日、命令は簡潔だったけど、威勢は天下を震撼させたのよ。呉起君の教えが、こんな勝利を生むなんて、ほんと誇らしいわ。
兵って、国のとっても大事なことなのよ。民の生死を決めて、国の存亡がかかってるのよね。だから、しっかり考えるのが大事なの!
勝敗を考えるには、五つのことを基準にして、七つの計で敵と味方の状況を比べるのよ。それでハッキリさせなきゃ!
五つのことって、道・天・地・将・法のことなの。
この五つのことをしっかり知ってる子は勝っちゃうわ。知らない子は勝てないのよ。だから、七つの計で敵と味方を比べて、ほんとの状況を突き止めるの。
七つの計は、こんな感じよ:
この七つの計をちゃんと見れば、戦わなくても勝敗が分かるのよ。私の計を使う将は必ず勝っちゃうし、使わない子は必ず負けちゃうわ。
勝てる算段ができたら、勢いを借りてその場に応じて動くのよ。勢いって、道理に合って、状況に応じて機を制するものなのよね。
兵は騙す道なのよ。だから、できるのにできないように見せたり、使うのに使わないように見せたり、近くにいて遠くにいるように見せたり、遠くにいて近くにいるように見せるの。
利で敵を誘って、乱れで取っちゃうの。敵の備えが厚ければ慎重に、強ければ避けて、怒れば撓めて、驕れば謙虚にして、楽なら疲れさせて、親しければ離間するのよ。敵が備えてないところを攻めて、予想してないところに出るの。これが兵家の勝ち方で、事前に決めるんじゃなくて、機に応じてやるのよ。
廟堂で計を立てて勝算が多ければ戦場で勝つし、少なければ負けちゃうわ。勝算がないなんて、なおさらよね。この計でちゃんと見れば、勝敗は戦う前にハッキリしてるのよ。
兵を使うには、戦車千輌、輜重千輌、士卒十万を千里に送るのよ。内外の費用は毎日千金もかかるのよね。だから、早く戦って、早く勝たなきゃ!
長引く戦いは兵を鈍らせて、鋭気を挫いて、攻城は力を尽くして、国を貧しくしちゃうわ。兵が鈍って、力が尽きて、財がなくなれば、諸侯が乗じて叛くのよ。どんな賢い子でも、後でうまく対処できないの。
だから、兵は拙速が大事で、長引く戦いは得じゃないの。長引く戦いで国に益したなんて、聞いたことないわ。兵の害を知らない子は、兵の利も知れないのよ。
上手く兵を使う子は、繰り返し民を徴兵せず、糧を何度も送らないの。軍費は国内で賄って、糧は敵地で取るのよ。それで軍の食糧は足りるわ。
国が貧しくなるのは、遠征の輸送のせいなの。輸送が遠ければ民は貧しくなるわ。軍の近くは物価が上がって、民の財は尽きて、力も屈し、国庫は空っぽになるの。民は財の七割を失って、国は戦車や馬、甲冑、弓矢の補修で六割を使うのよ。
だから、賢い将は敵の糧を食らうの。敵の一鐘は私の二十鐘に値して、敵の馬料一石は私の二十石に相当するのよ。
敵を挫くには、士卒の敵意を盛り上げて、利を取るには敵の財貨を奪うの。戦車十輌以上を獲ったら、最初に功を立てた子に賞を与えて、敵の旗を私のものに替えて、捕虜を優しく扱って使うの。これが敵に勝って私の力を増す道なのよ。
だから、戦いは勝つのが大事で、長引くのは良くないの。将が兵の利害を知ってる子なら、民の生死と国の安危を握る子なのよ。
兵を使う道は、敵国を丸ごと保つのが一番で、壊すのは次なのよ。軍や旅、卒、伍を丸ごと保つのが一番で、壊すのは次なの。百戦百勝は最高の善じゃないわ。戦わずに敵を屈服させるのが、ほんとの最高なのよ。
一番の策は敵の謀を未然に破って、次は敵の交わりを断って、次は敵の軍を撃って、一番下は城を攻めるの。城攻めは仕方ないときだけなのよ。攻城の道具を揃えるのに三月、塁を築くのに三月、将が我慢できずに人海戦術をやると、士卒の三分の一を失って、城はまだ落ちないの。これが城攻めの災いなのよ。
上手く兵を使う子は、戦わずに敵を屈服させて、攻めずに城を取って、長引かずに国を破るの。必ず丸ごと保って天下を争うのよ。それで兵を損なわずに、利を全部得ちゃうわ。これが謀攻の法なの。
兵を使う法は、十倍なら囲んで、五倍なら攻めて、倍なら分けて、等しいなら戦って、少なければ退いて、劣れば避けるの。小さくて大きさに抗えば、必ず捕まっちゃうわ。
将は国の支えなのよ。君と将が仲良ければ国は強くて、隙があれば国は弱るの。君が気をつけるべき三つのことがあるわ:
軍が惑って疑えば、諸侯が乗じて叛くのよ。これ、自分で乱して勝ちを失うことなの。
勝ちを知る五つのことがあるわ:
この五つのことを知れば、敵を知って自分を知るのよ。敵を知って自分を知れば、百戦しても危なくないわ。自分を知って敵を知らなければ、勝敗は半々。両方知らなければ、必ず危ういのよ。
昔の上手い戦士は、まず自分が負けない形を作って、敵が勝てる隙を待つ子なのよ。負けないのは自分にあるけど、敵を勝つのは敵にあるの。善い戦士は負けないようにはできるけど、敵を必ず勝つことはできないわ。
だから、勝ちを知るのは簡単だけど、勝つのは難しいのよ。勝つ形は守りにあって、勝つ機は攻めにあるの。守りは力の足りないのを補って、攻めは力の余りを活かすのよ。守りは地に潜むようで、攻めは天を翔るようよ。それで自分を守って、敵を破っちゃうわ。
勝ちが見えやすい戦いは、最高の善じゃないのよ。細い毛を挙げるのは大力じゃないし、雷鳴を聞くのは耳が鋭いわけじゃないわ。善い戦士は、勝ちやすいところで勝つ子なの。勝っても知恵の名も勇の功もないのよ。必ず勝つのは、負けた敵を撃つからなの。
善い戦士は不敗の形に立って、敵の負ける隙を逃さないの。勝つ兵はまず勝ちを決めて戦って、負ける兵は戦って勝ちを求めるのよ。善い戦士は五事・七計を整えて、勝敗を操るの。
兵法の要は、度・量・数・称・勝なのよ。
勝つ兵は、重い鎰で軽い銖を撃つようで、負ける兵は軽い銖で重い鎰を争うようなものなの。善い戦士は、溜まった水を千仞の谷に決壊させるような勢いで勝っちゃうわ。
多くの人を治めるのは、少ない人を治めるようで、分数にかかってるのよ。多くの人を戦わせるのは、少ない人を戦わせるようで、形名にかかってるわ。軍が負けないのは奇正にかかって、軍の威は虚実の使い方にあるのよ。
戦いは正で敵に当たって、奇で勝つものなの。奇正の変化は、天地の変化のようで無限なのよ。五音は少なくても曲は無尽だし、五色は少なくても彩りは尽きないわ。味は五つでも調理は無限。奇正は二つでも、その変化は無限なのよ。
勢いは水が石を流すようで、節は猛禽が獲物を砕くようよ。善い戦士の勢いは弩の弦のようで、節は機を発するように素早いの。乱れの中でも乱れず、円い形でも破れないわ。
治乱は分数に、勇怯は勢に、強弱は形にかかってるの。善い戦士は敵を動かして、利を示して誘うのよ。勢いで勝って、人の勇気に頼らないの。適材適所に置いて、勢いを木や石が転がるように操るの。木や石は平らなら静まり、傾けば動き、四角なら止まり、丸なら転がるわ。善い戦士の勢いは、丸い石を高い山から転がすようで、めっちゃ速いのよ!
先に戦地に着いて敵を待つ子は楽で、遅れて着く子は疲れるのよ。善い戦士は敵を動かして、自分は動かされないの。利を示して敵を来させ、害を加えて敵を遠ざけるの。敵を疲れさせ、満腹なのを飢えさせ、静かなのを動かすのよ。
千里を行っても疲れないのは、敵がいないところを行くからなの。攻めて必ず取れるのは、敵が守ってないところを攻めるからよ。守って必ず固いのは、敵が攻めにくいところにいるからなの。善い戦士の攻めは敵が守る所を知らず、守りは敵が攻める所を知らないのよ。
微妙で、無形に至るの。神妙で、声がないのよ。それで敵の命を制しちゃうわ。
進んで敵が防げないのは、虚を突くから。退いて敵が追えないのは、速くて追いつけないからなの。戦いたいときは、敵の城壁が高く堀が深くても、出ざるを得ないの。戦いたくないときは、地に線を引くだけで守れるのよ。
自分の形を隠して、敵の形を現わして、私は一つに集まり、敵は十に分かれるの。それで私の多くは敵の少なくを撃つわ。戦う所を敵が知らなければ、備えが多くて私が少なくなるのよ。
戦地を予め知って、戦う日を決めて、主導権を握れば、千里でも戦えるわ。知らなければ、左右前後が助け合えず、バラバラにやられちゃうの。
無形の形は、間者も窺えず、智者も謀れないの。敵の形に応じて無限に変わって、決まった勢いなんてないわ。水のようで、高い所を避けて低い所に流れ、兵は敵に応じて勝つものなの。変わって勝つのが神技なのよ。
兵を使うのは、君の命令を受けて、軍を集めて、陣を張って、利を争うことなのよ。軍争の難しいのは、遠回りを直に変えて、害を利にすることにあるわ。
利を争うのに全軍を動かせば遅くて、輜重を捨てて強行すれば、百里行けば将が捕まり、五十里行けば半分落ち、三十里行けば三分の二しか着かないの。輜重がなく、糧が尽き、財が乏しければ、軍は滅びちゃうわ。
地勢を知らなければ軍を進められないし、郷導を使わなければ地の利を得られないのよ。
兵を使うのは、騙しが基本で、利に従って、分合を機にするの。速ければ風のようで、ゆっくりなら林のようで、侵すのは火のようで、動かないのは山のようで、秘めるのは闇のようで、動くのは雷のようよ。物資を分けて取り、地を分けて守り、兵を分けないの。これが遠回りと直の計を知る子で、軍争に勝つわ。
戦場は声が遠いから鐘鼓を使って、視界が遠いから旌旗を使うの。鐘鼓旌旗は士卒を一つにするわ。勇者は進まず、怯者は退かないのよ。
敵の気を奪って、将の心を挫くの。敵の気は朝は鋭く、昼は鈍り、夜は衰えるの。善い戦士は鋭気を避けて、衰えたのを撃つわ。治めて乱に当たり、静で動に当たり、近くで遠を待つのよ。
高陵を背にして、偽って退いて、鋭気盛んな敵を撃っちゃダメよ。囲むときも一つの隙を残して、窮鼠を迫っちゃダメなの。これが軍争の法なのよ。
兵を使うのに、君の命令を受けて、軍を集めるの。地形に応じて、九つの変化の処置をするのよ。
道があれば必ず進むわけじゃないし、敵がいれば必ず戦うわけじゃないわ。城があれば必ず攻めるわけじゃなく、地があれば必ず争うわけじゃないの。君の命令も時には従わないことがあるのよ。
賢い子は利と害を一緒に考えるの。害に利を交えて、利に害を併せるの。諸侯を屈服させるのは害を加えて、使役するのは事を与えて、走らせるのは利を示すのよ。
敵が来るのを当てにせず、自分の備えを信じるのよ。
将には五つの危ないことがあるわ:
この五つの危ないのは、将の災いなの。軍が負けて将が死ぬのは、これが原因なのよ。しっかり考えるのが大事なの!
軍の動きと敵の様子を見る方法を教えるわ。
この四つの方法は、黄帝が四帝に勝った理由なのよ。
高地を選んで低地を避けて、陽地に拠って陰地を遠ざけて、給養を厚くして病を防ぐの。洪水の川は静まるのを待って、絶壁や低地、狭いところ、草木が茂るところは速やかに通り過ぎて、敵を近くして自分を遠ざけるのよ。
敵が近くで静かなのは地を頼ってるの。遠くで挑むのは私を誘ってるわ。木が動くのは潜行、草が覆うのは疑兵、鳥が飛び立つのは伏兵、獣が走るのは奇襲なの。塵が高く尖るのは戦車、低く広がるのは歩兵、散るのは薪採り、細く動くのは野営なのよ。
敵の使者が卑屈なら進む謀、強気なら退く計、戦車が先駆なら戦いの備え、和睦は陰謀なの。士卒が武器に凭るのは飢え、汲む水を飲むのは渇き、利を前に進まないのは疲れ、鳥が集まるのは去った後よ。夜騒ぐのは怖れ、営が乱れるのは将の威がないの。旗が動くのは軍が乱れ、吏が怒るのは士が怠けてるのよ。
兵が多いのを貴ぶんじゃなくて、力を集めて、敵を見て勝つわ。無謀に戦えば、将は自分で捕まっちゃうの。法令を整えて、威で治めて、士卒の心を一つにするのよ。
地形は、通・挂・支・隘・険・遠の六つに分かれるのよ。
この六つの地形は、将の大事な責任なのよ。
負ける軍には六つの過ちがあるわ:
地形は兵の支えなの。敵を測って、地を利して勝つのは、上手な将の務めよ。知れば勝つし、知らなければ負けるわ。
勝算があれば君の命令に背いて戦って、勝算がなければ戦わないの。功名を求めず、罪を避けず、民と国の利を先に考えるのよ。
将が士卒を赤ちゃんのよう愛せば、深い谷でも一緒に行くわ。愛しても治めなければ、わがままな子になって使えないのよ。
敵を知って、自分を知って、地を知れば、勝ちは揺るがないわ。天時と地利を知れば、勝ちは完璧なのよ。
兵を使うのに、散・軽・争・交・衢・重・圮・囲・死の九つの地があるのよ。
昔の善い戦士は、敵の前後を断ち、衆寡を分かち、上下を離間して、兵を散じ、備えを破る子なの。有利なら動いて、不利なら止まるのよ。
もし、敵の大軍が整然と来たらどうするかしら? 敵の急所を突けば勝つわ。
敵の奥深く進むと、兵は団結して、敵は対抗しにくいわ。肥沃な地を掠めて、給養を足して、力を蓄えて、謀を練るの。死地に投じれば、士卒は死を決めて戦うわ。
兵は窮すれば怖れず、逃げ場がなければ固く、深く進むと団結して、やむを得なければ奮戦するのよ。占いを禁じて、疑いを去って、死を決めるの。
善い戦士は、突然のようで、首を撃てば尾が応じ、尾を撃てば首が応じるわ。呉越の敵でも、危難で舟を共にするように助け合うのよ。
将は静かで深く、正大で、耳目を隠して、謀を秘して、行路を変えるの。兵を死地に投じれば、羊を駆るようで、行く所を知らないわ。この九地の変化を知るのが、将の務めなのよ。
火攻めには五つあって、火人、火積、火輜、火庫、火隧なのよ。
火攻めは道具を揃えて、時を選ぶの。時は乾燥した日で、月が箕・壁・翼・軫の星にある日なのよ。そんな日は風が起こるわ。
火攻めは、敵の陣内に火が起これば外から応じて、敵が静なら待って、動揺すれば攻めるの。外から火を放つのは、風上にいてやるのよ。風下から攻めちゃダメなの。
火は知恵で治めて、水は力に頼るの。水は遮れるけど、敵を奪えないわ。
戦いに勝って地を得ても、疲弊すれば功にならないのよ。
君は怒りで兵を起こさず、将は苛立ちで戦わないの。利があれば動いて、利がなければ止まるの。亡国は再興できないし、死者は戻らないわ。だから、明君は慎重で、良い将は戒めるの。これが国を安んじて、軍を全うする道なのよ。
十万の軍を千里に送れば、毎日千金の費用がかかって、内外が騒乱して、農を廃する戸が七十万にもなるの。数年戦って、一日に勝敗が決まるわ。俸禄を惜しんで間を使わないのは、不仁なのよ。将帥の資格がなくて、君の支えじゃなく、勝ちの主じゃないわ。
明君や賢い将が勝つのは、敵の情を先に知るからなの。間を使わずに知るのは、神や占いじゃなくて、必ず人の力に頼るのよ。
間には五つあって、郷間、内間、反間、死間、生間なの。五つの間を一緒に使って、敵も味方も知らない、これが神の技なのよ。
間は密に親しんで、賞を厚くして、事を秘すの。知恵がなくて間を使わず、仁がなくて間を活かせず、微妙を知らなくて間の利を得られないわ。
間事が漏れそうなら、間とその者を誅さなきゃ。攻める所、殺す者を先に知らなきゃダメよ。
反間を得て厚く遇すれば、敵の情が分かるわ。反間によって五つの間を活かすの。だから反間は大事なのよ。
昔の興った国は、間を使うのが上手だったの。明君や賢い将だけが、間を使って大功を成すのよ。間は軍の要で、兵の動きはこれにかかってるの。
昔の聖人は、仁を政治の根本にして、義で国を治めたのよ。これを正と呼ぶの。義が民の心を満たせないときは、やむなく力に頼るの。でも、力は戦いから生まれるもので、私利私欲からじゃないわ。みんなの命を守るためなら人を討ち、他国の民を救うためなら国を攻め、戦いを終わらせるためなら戦いを起こしてもいいのよ。これが力の正しい使い方なの。
仁は民に愛されて、義は民に称えられ、智は民に信頼され、勇は正直に、信は誠実に行われるの。内に仁を養えば民の心を得て国を守れるし、外に義を示せば力を得て戦いに臨めるわ。これが古来の治世の道なのよ。
民を愛して、季節を問わず無理に兵を動かさず、喪を重んじず、災いを起こさないように心がけるの。民の病を顧みず、時節を無視して兵を起こせば、民の心は離れちゃうわ。大きな国でも戦いを好めば必ず滅び、平和な世でも軍備を忘れれば危険にさらされるの。天下を平定した後、天子は春と秋に軍事演習をして、諸侯もそれに従って戦いの備えを怠らなかったのよ。
昔の戦いでは、敗走する敵を百歩以上追わず、撤退する敵を三舎以上追わなかったわ。これが礼を示す道なの。戦闘不能の敵にはとどめを刺さず、傷ついた敵には情けをかけるの。これが仁を明らかにする道よ。敵が陣形を整えるのを待ってから太鼓を鳴らし、利益を争わず大義だけを求めるの。これが信と義を示す道なの。降伏した敵を許し、戦いの終わりをわきまえるのよ。これが勇と智を示す道なの。この六つの徳――礼、仁、信、義、勇、智――を民に教えて、守るべき規範としたのが、昔の軍政だったのよ。
聖人の治世は、天の道に則り、土地の利を生かし、徳ある子を官吏に登用したわ。名を正し、職務を定め、位階に応じて俸給を与えるの。諸侯を説得し、諸国を心服させ、戦乱を鎮めたのよ。これが徳による統治なの。
賢王の時代になると、礼楽と法を整え、五刑を定め、軍を備えて不義を討ったわ。国を巡り、諸侯と会して不正を正したの。天命に背き、徳を乱す子がいれば、諸侯に告げて罪を明らかにしたわ。天皇や神々に祈り、先王に報告し、軍を動かして不義を討つの。そのとき、宰相は諸侯に命じて、「某国に不義があるわ。何年何月何日に軍を進めて、天子がこれを罰するのよ」と宣言したの。
軍に命じるとき、宰相はこう言うのよ。「罪人の土地に入っても、神々を穢さず、狩猟をせず、土地や家を壊さず、木を切り倒さず、作物や家畜、道具を奪っちゃダメよ。老人や子に会えば傷つけず家に送り、強者に会っても無闇に戦わず、傷ついた敵には手当てを施してちょうだい。」
不義を討った後、王は国を正し、徳ある子を登用し、賢者を重んじ、秩序を回復したの。これが正しい戦いの結末だったわ。
王侯が諸国を治めるには、六つの道があるのよ。一つ目は、国境を定めて領土を整えること。二つ目は、法令を出して従わせること。三つ目は、礼と信で心服させること。四つ目は、才と力で説得すること。五つ目は、顧問を遣わして関係を深めること。六つ目は、軍事力で威服させること。同じ苦楽を共有し、小事を大局と比べることで、諸国を一つにまとめたのよ。
不義を正すため、九つの禁令を定めたわ。一つ目は、弱国を攻める子は領土を削るの。二つ目は、賢人を害し民を苦しめる子は討伐するの。三つ目は、内外を乱す子は幽閉するの。四つ目は、田畑を荒らし民を離散させる子は領土を削るの。五つ目は、頑なに服従を拒む子は侵略するの。六つ目は、親族を殺す子は罪を問うの。七つ目は、君主を追放し弑殺する子は誅殺するの。八つ目は、禁令を破り政治を乱す子は諸国との往来を禁じるの。九つ目は、獣のごとく乱行する子は滅ぼすの。これが義による統治の要諦なのよ。
昔の聖人は、天の理と古の教えに基づいて国を治めたの。これを天子の義と呼ぶのよ。学者や民の義は、父母や君主、長老への敬意に根ざすの。どんなに賢い君主でも、まず民を教化しなきゃ、力を発揮することはできないわ。
昔は、国の儀礼を軍に持ち込まず、軍の儀礼を国に持ち込まなかったの。文と武の徳が互いに踏み越えることはなかったわ。高貴な子は攻撃せず、攻撃しない子は優れた道具を使ったの。求めず戦わず、戦えば必ず正義を貫いたわ。国の命は状況に応じ、軍の命は適宜に定め、才能や技が埋もれないよう努めたの。君主は従順な子を賞し、背く子を罰したわ。ゆえに、勇と力が衝突することはなかったのよ。
民を教化した後、厳選して登用し、政を正せば民を養えるわ。教化が簡明なら民は徳を積み、習慣が定まれば民はそれに従うの。これが教化の極みなのよ。
昔は、遠くの敵を追っても捕まえず、誘い込まず、罠にかけなかったわ。礼をもって軍を固め、仁をもって勝利を確実にしたの。勝利の後は、必ず礼と仁で民を教えたわ。君子は教化をそれほど重んじたのよ。
昔の王朝は、軍事を行うとき、次のように誓いを立てたの。幽邑氏は国内に布告し、民が天命を理解するよう求めたわ。夏氏は軍中で誓い、民が戦いの覚悟を整えるよう促したの。殷氏は軍門の外で誓い、民の戦意を高めたわ。周氏は戦いの直前に誓い、民が必死に戦う心を掴んだの。夏氏は徳を重んじ、武器を用いなかったわ。殷氏は義を重んじ、初めて武器を用いたの。周氏は力を重んじ、あらゆる武器を駆使したわ。夏は朝廷で賞を与え、善を奨励したの。殷は市場で悪を罰し、悪を抑えたわ。周は朝廷で賞を与え、市場で罰を加え、君子を励まし悪人を戒めたの。三王朝は方法こそ違えど、徳を明らかにする点では同じだったのよ。
武器は用途に応じて使い分けなきゃ役に立たないわ。長い武器は守りに、短い武器は攻めに使うの。長すぎれば攻撃が難しく、短すぎれば力が足りないの。軽すぎれば鋭いけど壊れやすく、重すぎれば鈍くて役に立たないわ。ゆえに、武器は混ぜ合わせて使うのが戦いの道なのよ。
夏王朝は戦車を「正しい」と呼び、殷王朝は「速い」と呼び、周王朝は「優れた」と呼んだわ。旗もまた、夏は黒旗で民の団結を、殷は白旗で天の義を、周は黄旗で地の道を示したの。夏は日月で光明を、殷は虎で力を、周は龍で文化を象徴したわ。これが王朝ごとの戦いの象徴だったのよ。
軍が強すぎれば民は萎縮し、弱すぎれば民は勝利を得られないわ。君主が正義を示さず、欺瞞や力に頼り、服従を強いて善を軽んじれば、軍は弱くなるの。節度ある統率が軍の基盤なのよ。節度があれば、兵は余裕を持って戦い、戦車も隊列も乱れず、速さも統制を超えないわ。これが軍の調和なの。
国の儀礼と軍の法は表裏一体で、文と武は左右の手のごとく補い合うの。国では礼儀正しく穏やかに話し、朝廷では敬意をもって謙虚に振る舞うの。軍では毅然と立ち、行軍では果断に行動するわ。召されぬまま進まず、求められぬまま語らず、進むは難く退くは容易なの。これが文と武の調和なのよ。
昔の聖人は、民の徳を明らかにし、その長所を引き出したの。幽邑氏は賞罰を用いず、民を有益に導いたわ。これが徳の極みなの。夏氏は賞を与えて教化を進め、殷氏は罰を与えて権威を示したわ。周氏は賞罰を併用したけど、徳は衰えたの。賞は速やかに与え、罰は階級を問わず行ったわ。善行は即座に報われ、悪行は即座に正されたの。大勝利でも功を誇らず、大敗北でも罪を責めず、上司も部下も謙虚だったわ。これが謙虚さの極みなのよ。
辺境の守備に三年従事した兵は、民の苦労を顧み、その後一年は徴用されなかったわ。上司と部下が互いに報告し合い、調和を保ったの。これが民を労わる道なのよ。
勝利の喜びは歌で表し、休息の時は民の勤労に応じて休息を命じたの。これが民心を掴む道なのよ。
戦いに臨むのは、爵位を定め、功罪を明らかにし、遊説の士を登用し、命令を徹底することなのよ。民の意見に耳を傾け、技量を探り、疑念を解き、力を養い、創意を尽くし、民心に従って行動しなきゃいけないわ。これが戦いの準備の要諦なの。
常に天の時に従い、財を蓄え、民を喜ばせ、地の利を得、武器を有効に使うの。これを五慮と呼ぶのよ。天の時を逃さず、敵の財を利用し、民を励まし、険しい地を守り、弓矢や槍、戟で備えるの。長い武器は短いものを守り、短いものは長いものを助けるの。戦いを重ねれば長く続き、戦いは必ず強くなるわ。これが戦いの五つの備えなのよ。
戦いとは、戦略を駆使し、勇猛に戦い、陣形を固め、技量を発揮することなの。敵の望むものを利用し、敵のできることを行い、敵の望まぬこと、できぬことは捨てるの。敵に対しては、その逆を行えばいいわ。これが戦いの権変の道なのよ。
戦いには天の時、財の備え、善の徳があるの。天とは、好機を逃さないこと。財とは、民に衣食を保障すること。善とは、平時から備えを整えることなの。大軍は堅固で、統率が容易く、事に臨んで対処できるわ。戦車は軽く、歩兵は機敏で、弓矢は守りを固めるの。これが軍の力の基盤なのよ。
戦いにおいては、大と小、堅と柔、集中と分散、衆と寡を使い分けるの。大軍は堅固に、少数は機敏に動くわ。静かに構えつつ内に力を秘め、進退は自由に。これが戦いの調和なのよ。
戦いを起こすには大義が必要で、事を成すには好機を捉えなきゃいけないわ。人を用いるには恩恵を施し、危険にあっても兵を忘れず、国では信頼を得、軍では寛大に武勇を重んじるの。国内では善を尊び、軍では正道を貫き、剣を振るう時は迅速に。これが将の務めなのよ。
兵を教え、義を守らせ、謀を立てれば、軍は一つにまとまるわ。義を奉ずれば兵は勇猛に、計を重ねれば兵は従順になるの。時宜に適えば統率は容易く、物事が明らかなら目は澄み、計を立てれば心は強くなるわ。進退に迷わず、敵を見て計を巡らすの。これが軍の規律なのよ。
戦いの道は、善を永続させ、古の道を貫き、誓いを戒めとし、民を強くし、悪を滅ぼすことなの。義は信頼され、基盤を築き、天下を統一し、万民を幸福にするわ。力は人を溢れさせ、善を奪うけど、内に宿るものじゃないの。これが義と力の違いなのよ。
七つの方針があるわ。一つ目は人材を登用すること。二つ目は義を貫くこと。三つ目は言葉を慎むこと。四つ目は技を磨くこと。五つ目は火を備えること。六つ目は水を確保すること。七つ目は武器を揃えること。これらを守れば、怪しげな予言なんて信じる子はいなくなるわ。名誉、利益、恥、死は四つの守りなの。仁は人を親しませるけど、信のない仁は身を滅ぼすわ。これが人の道なのよ。
戦いの法は、まず士気を高め、作戦を実行するの。偽りの態度で敵を惑わし、言葉で説き、恐怖で戒め、欲望で動かすの。敵を罠にかけ、地形を制し、任務に応じて命令を下すのよ。これを兵法と呼ぶの。
軍の姿は民に求められるわ。名をもって行動し、正しく振る舞うの。できねば自ら動き、できれば忘れないわ。これが将の務めなのよ。軍の混乱を治めるには、七つの道があるわ。一つ目は仁を施すこと。二つ目は信を守ること。三つ目は義を貫くこと。四つ目は軍をまとめること。五つ目は正道を守ること。六つ目は臨機応変に対応すること。七つ目は権限を集中させることなの。
軍法を立てるには、七つの原則があるわ。一つ目は意見を聞くこと。二つ目は法を守ること。三つ目は勝手に改変しないこと。四つ目は迅速に執行すること。五つ目は服装を定めること。六つ目は色を統一すること。七つ目は淫らな装いを禁じること。軍では法を自ら作り、部下に法を畏れさせるの。これが軍法の要諦なのよ。
戦況が不利なら将が対処し、従わねば法を執行し、不信なら団結させ、怠惰なら動員し、疑念なら交代させるの。民が将を信じねば、将は復職しないわ。これが古来の戦いの道なのよ。
戦いに臨むのは、階級を厳格に定め、軍令を徹底し、機動力を発揮し、士気を高め、全軍の心を一つにまとめることなのよ。陣形は厳しく、政治は慎重に、兵は軽やかに、気は悠然と、精神は統一しなきゃいけないわ。これが戦いの要諦なの。
軍の規律は、兵の道義を等しくし、隊列を整え、縦横を正し、名と実を一致させるの。立つ時は礼を尽くし、座る時は膝をつくわ。恐れあれば集まり、危うければ座るの。遠くの子は恐れず、近くの子は散らないわ。低い位置では左右を低くし、鎧はゆっくり進むことを誓うの。兵や鎧を捕らえる時は重さを量り、馬を動かし叫び声を上げて恐れを集めるの。膝をつき、座り、うずくまる時は優しく誓い、太鼓を鳴らして進む時は鐘で止めるの。御璽を掲げる時は膝をつき、剣を構え、振り返らず、まず声をかけなさいな。恐れる子がいれば殺さず、顔を見せ、出自を告げ、職務を復習するのよ。これが軍の礼法なの。
軍の三つの部隊は、それぞれ別々の断食日を守るの。民は休まず断食し、食を分け与えないわ。これは民が疑問を抱く時であり、教えに従う時なのよ。これが軍の統率の道だったの。
戦いとは、力で耐え、精神で勝ち、堅固さで持ちこたえ、危機で勝利を得ることなの。心が堅固なら新たな精神で勝ち、鎧で守れば勝利を得るわ。戦車は密集すれば強く、歩兵は静止すれば強く、鎧は重く、兵は軽やかに動くの。勝とうとする子は敵のみを見、恐れる子は恐怖のみを見るわ。二つの心を合わせ、決心すれば力のみを見るの。これが戦いの心構えなのよ。
軽率に動けば危険に陥り、重率に動けば負けるわ。軽率かつ重率なら敗北し、重率かつ軽率なら勝利するの。ゆえに、戦いの重さはとっても大切なのよ。鎧や武器を整え、陣形を固め、進退は慎重に。これが戦いの備えなの。
将が慎重に対処すれば兵は喜んで従い、陣頭に立てば兵は勇んで戦うわ。急ぐより戦うことが、太鼓を鳴らすより休息することが、見た目より心が大切なの。これが将の務めなのよ。
馬と戦車が強く、鎧と武器が鋭ければ、軽い方が重いわ。優勢が互角なら利益はなく、忠誠なら死者が出るの。優勢が疑わしければ勝利はないわ。ゆえに、装備と心の調和が戦いの鍵なのよ。
人は愛、怒り、権力、正義、利益のために死ぬわ。戦いの道は、死を軽んじさせるけど、人生の道は正義のために死なせるの。これが戦いと人の違いなのよ。
勝利と敗北は運命と人に懸かるわ。三つの軍の警戒は三日を超えず、一人の兵の警戒は一日を超えず、一人の抑制は一呼吸を超えないの。これが戦いの節度なのよ。
最善は根本を利用し、次善は終わりを利用するの。戦略を貫き、細部を守るわ。根本と終わりは慎重さのみなの。これが戦いの原則なのよ。
太鼓を鳴らすには七つの指示があるわ。一つ目は旗を掲げること。二つ目は戦車を進めること。三つ目は馬を動かすこと。四つ目は歩兵を進めること。五つ目は兵士を動かすこと。六つ目は頭を動かすこと。七つ目は進退や座を命じることなの。これが軍の合図なのよ。
有利な位置では激しく攻めず、遠く進む時は余力を残すの。陣形を作るのは簡単だけど、兵にその要領を覚えさせるのは難しいわ。人々の性質は国や州によって異なり、教化は風俗を形作り、風俗は州によって異なるの。これを統合するのが道なのよ。
兵が武器の鋭さ、鎧の堅さ、戦車の強さ、馬の質、兵力の多寡を不満に思う時は、戦いの備えが整わない証なの。これを正さなきゃ勝利はないわ。
勝利すれば手柄を分け、再度戦う時は賞罰を重くするの。負ければ責任を負い、再度戦う時は先頭に立つわ。先陣を切る策は用いず、勝敗を問わないの。これが戦いの正則なのよ。
民を仁で救い、義で戦い、智で判断し、勇で進み、信で忠誠を集め、恩で励まし、功で勝利するの。仁を心に、義を行に尽くせば、賢く勇敢で信頼される子になるわ。和に従えば民も和すの。身を捨て規律を乱さず、徳を競えば民は心を称え、励むわよ。
戦いにおいては、弱く静かな子を討ち、強く静かな子は避けるの。疲れた子を討ち、怠ける子は避けるわ。恐れおののく子を討ち、わずかに恐れる子は避けるの。これが古来の戦いの道なのよ。
戦いの道は、少数を用いて結束を固め、多数を用いて規律を正すことなのよ。少数は小回りを利かせて有利に戦い、多数は堂々と正攻法で臨むの。大軍では進退を厳格に保ち、混乱を避けるわ。少数では自由に進退し、機を活かすの。大軍と少数が合わさる時は、距離を置いて包囲し、分断して攻めるの。敵が多数なら集結して迎え撃ち、敵が少なくて恐れる時は避けて急襲するわ。これが戦いの権変の道なのよ。
戦場では、風を背にし、高地を後ろや右に置き、険しい地を左に配するの。湿地は速やかに通過し、亀の背のごとく四方から囲まれた地には布陣しないわ。これが戦場の地の利なのよ。
戦いに臨むのは、まず軍を配置し、敵の動きを観察することなの。待機する時は戦術に従い、軍を動かさず敵の行動を待つわ。攻撃する時は軍を整え、機会を伺うの。兵力の増減で敵の変化を、進退で敵の強さを、窮地で敵の動揺を、休息で敵の怠慢を、移動で敵の疑心を、奇襲で敵の規律を見極めるの。敵が疑心を抱く時を突き、兵力を増し、降伏させ、計画を破り、回避しない弱みを攻め、思考を乱し、恐怖を利用するのよ。これが戦いの観察の道なの。
追撃する時は休まず追い、敵が立ち止まるなら伏兵を疑うの。進む時は必ず前進の策を持ち、退く時は引き返す計画を立てるわ。これが戦いの節度なのよ。
戦いにおいて、先に動けば疲れ、遅れれば恐れ、休めば士気が落ち、休まねば疲弊し、休みすぎれば恐怖に囚われるわ。親族への手紙は憂いを晴らし、優れた兵を選ぶは民の力を高め、責任を捨て食を節約するは民の心を開くの。これが古来の戦いの心得なのよ。
将になる子は、兵士たちの心をしっかりつかまなきゃいけないのよ。功を立てた子にはちゃんと賞を与えて、禄を厚くして、みんなの志を一つにすれば、好みも嫌いも一緒にできて、成功するわ。敵を倒すこともできるのよ。国を治めて家を安泰にするには、人を得ることが大事なの。国を亡ぼし家を壊すのは、人を失うからなのよね。生きてる子はみんな、自分の志を叶えたいって願ってるわ。
柔らかさは剛を制して、弱さは強さを制するのよ。柔は徳で、剛は害を及ぼすものなの。弱さは人の助けを得て、強さは人の恨みを招くわ。柔を用意して、剛を使い、弱を用いて、強を加えるの。この四つをちゃんと備えて、うまく使い分けるのよ。
物事の始まりと終わりが見えないとき、子たちは知ることができないわ。天地の神明は、万物と一緒に移り変わるの。変化は無常だから、敵に応じて自由に変わらなきゃいけないのよ。事前に備えず、動けばすぐについていくの。それで無限の計略を立てて、天の威を成して、八方を正し、九夷を定めるのよ。そんな謀は、帝王の師になるわ。
みんな強さを欲しがるけど、微細を守れる子は少ないのよ。微細を守れば、命を全うできるわ。聖人はこれを大切にして、時機に応じるの。広げれば四海を覆って、収めれば杯にも満たないの。室や城に頼らず、胸に秘めて敵国を服させるのよ。
柔と剛を使い分ければ、国はどんどん栄えるわ。弱と強を使い分ければ、国は輝くのよ。純粋に柔や弱だけだと国は削られて、純粋に剛や強だけだと国は滅びちゃうの。
国を治める道は、賢人と民に頼ることなの。賢人を腹心にして、民を四肢のよう使えば、策に漏れはないわ。肢体が一緒についてきて、骨節が互いに助け合うように、天道は自然に巧みで、隙がないのよ。
軍国の大事は、民の心を察して、たくさんの務めを施すことなのよ。危うい子を安らかにして、怖がる子を喜ばせ、叛く子を帰らせ、冤罪を許し、訴えを聞いて、卑しい子を尊び、強者を抑えて、敵を倒し、欲する子に与え、求める子を満たし、畏れる子を隠し、謀る子を近づけ、讒言する子を退け、壊す子を正し、逆らう子を廃し、横暴を挫き、満ちる子を損じ、帰る子を招き、従う子を生かし、降伏する子を解くの。固いところを得れば守り、険しいところを得れば塞ぎ、難しいところを得れば屯し、城を得れば割き、地を得れば裂き、財を得れば散らすのよ。敵が動けば伺い、近づけば備え、強ければ下がり、楽なら去り、陵すれば待ち、暴なら緩め、悖れば義で臨み、親しければ離間するの。順を挙げて挫き、勢いに乗って破り、言葉を放って過ちを暴き、四つの網で絡め取るのよ。得ても持たず、居ても守らず、抜いても長くせず、立てても取らないの。自ら為して、士に持たせるの。利のありかを知って、諸侯を従え、天子になるのよ。城を自分で保たせ、士を自分で処せしめるの。
世は祖を尊ぶけど、下に下る子は少ないわ。下に下る子こそ本当の君なのよ。耕作や養蚕に励み、時を奪わず、税を軽くして、財を枯らさず、労役を少なくして、民を疲れさせないの。そうすれば国は富み、家は楽しくなるわ。その後に士を選んで、民を治めるのよ。
士は英雄なのよ。英雄を集めれば、敵国は困っちゃうわ。英雄は国の幹で、庶民は国の本なの。幹を得て本を収めれば、政は行われて、怨みもないのよ。
兵を使う要は、礼を尊び、禄を重んじることなの。礼を厚くすれば賢い子たちが集まり、禄を重くすれば義士は死を軽んじるわ。賢人に財を惜しまず、功に賞を与えれば、下は力を合わせて、敵国は削られるの。人の道は、爵で尊び、財で見せれば、士は自然に来るわ。礼で接して、義で励ませば、士は死を賭けるのよ。
将たる子は、士卒と食事を共にし、安危を共有しなきゃ、敵を倒すことはできないのよ。そうすれば兵は全勝して、敵は完全に負けちゃうわ。昔、良将は贈られた一簞の酒を河に投じて、士卒と一緒に飲んだの。一簞の酒じゃ河の味は変わらないけど、三軍の士は将の恩に感じて、死を賭したのよ。
軍の井戸が整わなければ将は渇きを言わず、幕が整わなければ疲れを言わず、灶が炊けなければ飢えを言わないの。冬に裘を着ず、夏に扇を使わず、雨に蓋を張らないのよ。これが将の礼なの。安も危も一緒にすれば、みんなは団結して離れず、使っても疲れないわ。恩を蓄えて、謀を合わせて、一で万を取るのよ。
将の威は号令にあって、戦の全勝は軍政にあって、士が死を軽んじるのは命令に従うことにあるの。号令を貫き、賞罰を信じ、天や地のように人を動かし、士卒を命令に従わせれば、国境を越えられるわ。
軍を統べる勢いは将にあり、勝敗を決めるのはみんななのよ。乱れた将は軍を保てず、みんなを動かす子は人を伐たないわ。城を抜かず、邑を囲んでも壊さず、功がなければ士の力は疲れ、将は孤立し、みんなは逆らうの。守りは固まらず、戦えば負けちゃうわ。これを老兵というのよ。兵が老いれば、将の威は行かず、士卒は刑を軽んじ、軍は隊列を失い、士卒は逃げ、敵は利に乗って、軍は必ず滅びちゃうの。
良将は自分を許し、人を治め、恵みを施し、恩を与えるの。士の力は日々新しくなるわ。戦いは風のようで、攻めは河のようよ。みんなは望んでも当たらず、下しても勝てないの。身を以て率先するから、兵は天下の雄になるのよ。軍は賞を表とし、罰を裏とするの。賞罰が明らかなら将の威は行われ、官人は納得し、士卒は従い、賢を任じれば敵国は怖れるわ。
賢者が適うところ、前には敵がいないわ。士は下しても驕らず、将は楽しんでも憂えず、謀は深くても疑わないの。士が驕れば下は従わず、将が憂えれば内外は信じず、謀が疑われれば敵国は奮い、攻めれば乱を招くのよ。将は国の命なの。勝利を制すれば国は安定するわ。
将は清く、静かで、平らかで、整い、諫めを受け、訴えを聞き、人を納れ、言葉を取り、国俗を知り、山川を計り、険難を明らかにし、軍の権を制するの。仁賢の知恵、聖明の思慮、薪を負う子の言葉、廟堂の語、興衰のこと、将はこれを聞かなきゃいけないわ。士を渇望するように思えば、策は従うの。将が諫めを拒めば英雄は散り、策に従わなければ謀士は叛くわ。善悪を同じくすれば功臣は疲れ、己を専らにすれば下は咎め、自らを伐てば下の功は少なく、讒を信じればみんなは離れ、財を貪れば姦は禁じられず、内顧すれば士卒は乱れるの。一つあればみんなは従わず、二つあれば軍に規律がなく、三つあれば下は敗走し、四つあれば禍は国に及ぶのよ。
将の謀は密に、士卒は一つに、敵を攻めるのは素早くしなきゃいけないわ。謀が密なら姦心は閉じ、士卒が一つなら軍心は結び、攻めが速ければ備えは及ばないの。この三つがあれば計は奪われないわ。謀が漏れれば軍に勢いはなく、外が内を窺えば禍は抑えられず、財が営に入れば姦は集まるの。この三つがあれば軍は必ず負けちゃうわ。将に思慮がなければ謀士は去り、勇気がなければ士卒は怖れ、妄動すれば軍は重みを失い、怒りを移せば一軍は怖れるのよ。
思慮と勇気は将が重んじるもので、動きと怒りは将が使うものなの。この四つは将の戒めよ。
軍に財がなければ士は来ないし、賞がなければ士は行かないわ。
香り良い餌の下には死んだ魚がいて、重い賞の下には勇夫がいるのよ。礼は士が帰するところ、賞は士が死を賭するところなの。帰するところを招き、死するところを示せば、求めるものはやってくるわ。礼や賞を悔いれば士は止まらず、賞を悔いれば士は使われないの。礼や賞を怠らなければ、士は死を争うのよ。
師を興す国は、まず恩を厚くしなきゃいけないわ。攻め取る国は、まず民を養うのよ。少ない子で多くの子に勝つのは恩、弱い子で強い子に勝つのは民なの。良将は士を養い、身を変えず、三軍を一心にして、勝ちを全うするのよ。
兵を使う要は、敵の情を察し、倉庫を見て、糧食を計り、強弱を占い、天地を観察し、隙を伺うことなの。軍に難がなく糧を運べば虚、民に菜色があれば窮するわ。千里に糧を運べば士は飢え、樵蘇の後で炊けば軍は満腹にならないの。千里の糧は一年の食がなく、二千里なら二年の食がなく、三千里なら三年の食がないわ。これを国虚というのよ。国が虚しければ民は貧しく、上下は親しまないの。敵は外から攻め、民は内から盗むわ。これ、必ず潰れちゃうのよ。
上が暴虐を行えば、下は苛酷になり、税が重く刑罰が極まれば、民は互いに賊するの。これを亡国というのよ。
内に貪り外に清廉を装い、偽って名を取り、公を盗んで恩とする、上下を惑わし、身を飾り顔を正して高官を得るのよ。これを盜端というの。
吏が朋党を組み、各自の親を進め、姦を招き、仁賢を挫き、公を背き私を立て、同位で互いに非難するの。これを乱源というのよ。
強い宗族が姦を集め、位がなくても尊く、威があっても震えず、葛のようにつながり、恩を立て権を奪い、下民を侵し、国内は騒がしく、臣は隠れて言わないの。これを乱根というのよ。
世々に姦を作り、官を侵し、進退に便を求め、文を弄して君を危うくするの。これを国姦というのよ。
吏が多く民が少なければ、尊卑は等しくなり、強弱は互いに捕らえ合い、禁じる者がいなく、君子に及び、国は咎を受けるのよ。
善を善として進めず、悪を悪として退けなければ、賢者は隠れ、不肖が位に就くわ。国は害を受けるのよ。
枝葉が強大になり、卑賤が貴を凌げば、久しく大きくなれば、上は廃れず、国は負けちゃうのよ。
佞臣が上にいれば、一軍は皆争い、威を自分で引き、みんなに逆らって動くの。進退がなく、苟も容を取るわ。己を専らにし、功を伐り、盛徳を誹り、庸を誣すの。善悪を自分と同じくするわ。事を遅らせ、命令を通さず、苛政を作り、古を変え常を易えるの。君が佞人を用いれば、必ず禍を受けるわ。
姦雄が互いに称し、主の明を隠し、毀誉が並び、主の聡を塞ぐの。私を阿ねて忠を失うわ。主は異言を察して、その萌しを見るのよ。儒賢を招き、姦雄は逃げ、旧歯を任じ、万事は整うわ。巖穴を招き、士は実を得、薪を負う子に謀り、功は成され、人心を失わず、徳は大きく広がるのよ。
三皇は言葉なくして四海を化し、功を帰する子はいなかったの。帝は天を体し地に則り、言と令で天下を平らかにするわ。君臣は功を譲り、四海に化が行き、民はその理由を知らないの。礼賞を待たず、功は美しく害はないわ。王は道で人を制し、心を降し志を服し、規矩を設け衰えを備えるの。四海は会同し、王の職は廃れないわ。甲兵は備えるけど戦いの患はないの。君は臣を疑わず、臣は君を疑わず、国は定まり民は安らぐわ。臣は義で退き、美しく害はないのよ。覇者は権で士を制し、信で結び、賞で使うの。信が衰えれば士は疎くなり、賞が欠ければ士は命を用いないわ。
軍を出し師を動かすのに、将は自分で専らにしなきゃいけないわ。進退を内から御されると、功は成りにくいのよ。
智者を立て、勇者を遣い、貪者を誘い、愚者を駆るのよ。智者は功を立てるのを楽しみ、勇者は志を行うのが好きで、貪者は利に走り、愚者は死を顧みないわ。その本心に因って使うの、これが軍の微妙な権なのよ。
弁士に敵の美を語らせず、みんなを惑わさないようにしなきゃ。仁者に財を主らせず、下に施して従うのを避けるのよ。
巫祝を禁じて、吏士に軍の吉凶を占わせちゃダメよ。
義士を財で動かしちゃいけないわ。義は不仁のために死なず、智は暗い主のために謀らないのよ。
主に徳がなければ臣は叛き、威がなければ権を失うわ。臣に徳がなければ君に仕えず、威がなければ国は弱り、威が多ければ身は倒れるのよ。
聖王は世を治め、盛衰を観、得失を計り、制を為すの。諸侯は二師、方伯は三師、天子は六師なの。世が乱れれば叛逆が生じ、王の恩沢が尽きれば盟誓して誅伐するわ。
徳も勢も敵と等しければ、傾けることはできないわ。英雄の心を攬り、みんなと好悪を共にし、権変を加えるの。計策がなければ嫌疑を決められず、奇策がなければ姦を破り寇を抑えられないわ。陰謀がなければ功は成らないのよ。
聖人は天を体し、賢人は地に則り、智者は古に学ぶの。三略は衰えた世のために作られたわ。上略は礼賞を設け、姦雄を分け、成敗を明らかにするの。中略は徳行を分け、権変を審らかにするわ。下略は道徳を述べ、安危を察し、賊賢の咎を明らかにするのよ。人主が上略を理解すれば賢を任じ敵を捕らえ、中略を理解すれば将を治めみんなを統べ、下略を理解すれば盛衰の源を明らかにし、治国の規律を審らかにするのよ。
人臣が中略を理解すれば、功を全うし身を保つわ。高鳥が死ねば良弓は蔵され、敵国が滅べば謀臣は亡ずるの。亡ずるのは身を失うんじゃなくて、威を奪われ権を廃されることなの。朝に封じられ、人臣の位を極め、功を顕すわ。中州の善国を与え、家を富ませ、美色や珍玩で心を喜ばせるのよ。
人々が一度合すれば離れず、権威を一度与えれば移らないわ。師を還し軍を罷めるのは、存亡の階なの。位で弱くし、国で奪う、これが覇者の略なのよ。覇者の作は、論駁することなの。
社稷を存し、英雄を集めるのは、中略の勢なのよ。勢は秘さなきゃいけないわ。
天下の危を支える子は、天下の安を据え、天下の憂いを除く子は、天下の楽しみを得るの。天下の禍を救う子は、天下の福を得るわ。民に恩沢を及ぼせば賢人が帰し、昆虫にまで恩沢を及ぼせば聖人が帰すのよ。賢人が帰れば国は強くなり、聖人が帰れば六合は一つになるわ。賢は徳で求め、聖は道で招くの。賢が去れば国は弱り、聖が去れば国は離れるわ。微弱は危の階、離れるのは亡の徴なのよ。
賢人の政は体を降し、聖人の政は心を降すの。体を降せば始めを計り、心を降せば終わりを保つわ。体は礼で降し、心は楽で降すのよ。楽は金石や絲竹じゃなくて、民が家を楽しみ、風俗を楽しみ、業を楽しみ、都邑を楽しみ、政令を楽しみ、道徳を楽しむことなの。君人は楽を作り、和を失わないよう節するの。徳ある君は人々を楽しませ、徳のない君は自分を楽しむのよ。人を楽しませる子は長く続き、自分を楽しむ子は速やかに亡ぶわ。
近くを捨てて近くを謀る子は労して功がないわ。遠くを捨てて遠くを謀る子は楽で終わりがあるの。楽な政は忠臣が多く、労する政は怨む民が多いわ。地を広めるのに務めれば荒れ、徳を広めるのに務めれば強いわ。自分の持つものを有すれば安く、人の持つものを貪れば滅ぶのよ。滅ぶ政は世々に患いを受け、過度な制を作れば成るけど必ず負けるわ。
自分を捨てて人を教えるのは逆で、自分を正して人を化するのは順なの。逆は乱を招き、順は治の要なのよ。道・徳・仁・義・礼は一体なの。道は人が踏むところ、徳は人が得るところ、仁は人が親しむところ、義は人が正しいところ、礼は人が体するところ、一つも欠かしちゃダメよ。早起きして夜遅くまで働くのは礼の制、賊を討ち讎を報じるのは義の決、憐れむ心は仁の発、自分を得て人を得るのは徳の道、人を均しく平らかにし所を失わないのは道の化なのよ。
君から出て臣に下るのが命で、竹帛に施すのが令なの。それを奉って行うのが政よ。命が失われれば令は行かず、令が行かなければ政は立たないわ。政が立たなければ道は通じず、道が通じなければ邪臣が勝ち、邪臣が勝てば主の威は傷つくのよ。
賢を千里に迎えるのは道が遠く、不肖を招くのは道が近いわ。明君は近くを捨てて遠くを収めるから、功を全うし人を尊び、下は力を尽くすのよ。
一つの善を廃すれば多くの善が衰え、一つの悪を賞すれば多くの悪が集まるわ。善は守られ、悪は誅され、国は安らぎ、多くの善が至るの。多くの疑いは国を定めず、多くの惑いは民を治めないわ。疑いを定め惑いを返せば、国は安らぐの。一つの令が逆なら百の令が失われ、一つの悪が失われれば百の悪が結ぶわ。善は順な民に施し、悪は凶人に加え、令が行われて怨みがないのよ。
怨みで怨みを治めるのは天に逆し、讎で讎を治めるのは禍を救えないわ。民を治め平らかにし、清らかさを致せば、民は所を得て、天下は穏やかになるのよ。
上を犯す子が尊ばれ、貪欲で卑しい子が富めば、聖主でも治められないわ。上を犯す子を誅し、貪欲で卑しい子を拘えれば、化が行きて多くの悪が消えるのよ。
清白の士は爵や禄で動かず、節義の士は威や刑で脅せないわ。明君は賢を求め、その理由を観て招くの。清白の士には礼を修め、節義の士には道を修めるのよ。そうすれば士は招かれ、名は保たれるわ。
聖人君子は盛衰の源を明らかにし、成敗の端を通じ、治乱の機を審らかにし、去就の節を知るのよ。
窮しても亡国の位に居ず、貧しても乱邦の禄を食まないわ。名を潜め道を抱く子は、時が来れば動き、人臣の位を極め、徳が合えば特別な功を立てるの。その道は高く、名は後世に揚がるわ。
聖王が兵を用いるのは楽しみじゃなくて、暴を誅し乱を討つためなの。義で不義を誅するのは、江河を決して小さな火を消すようで、不測に臨み落ちそうな子を押し出すようよ。必ず勝つわ。優游恬淡として進まないのは、人物を傷つけるのを重んじるからなの。兵は不祥の器で、天道はこれを嫌うわ。やむを得ず使うのが、天道なのよ。
人が道に在るのは、魚が水に在るようよ。水を得て生き、水を失って死ぬわ。君子は常に恐れ、道を失うのを敢えないのよ。
豪傑が職を握れば国威は弱り、殺生が豪傑にあれば国勢は尽きるわ。豪傑が首を下げれば国は長く、殺生が君にあれば国は安らぐの。四民が虚を用いれば国は儲けがなく、四民が足を用いれば国は安楽なのよ。
賢臣が内なれば邪臣は外に、邪臣が内なれば賢臣は倒れるわ。内外が正しくなければ、禍乱は世に伝わるのよ。
大臣が主を疑えば、姦が集まり、臣が君を尊べば上下は惑い、君が臣の処に当たれば上下は秩序を失うわ。
賢を傷つければ禍は三世に及び、賢を隠せば身は害を受け、賢を嫉めば名は全うされないわ。賢を進めれば福は子孫に流れ、君子は賢を急いで進めて美名を彰すのよ。
一を利して百を害せば、民は城郭を去り、一を利して万を害せば、国は散ることを思うわ。一を去りて百を利せば、人は恩を慕い、一を去りて万を利せば、政は乱れないのよ。